むくれる
「は、はあ……」
なぜかみんな俺達の顔を見比べているし、居心地悪いぞ。
俺はさっさと秘密の出口を開き、ダンジョンの本通路に出ることにした。
一応、出るなり素早く前後を見たが、特に人影はない……今のところ。
「よし、じゃあ行こうっ。みんな、後からついてきてくれ」
声をかけると、俺は早速先頭に立ち、そろそろと進み始めた。
しかし、すぐに左横にミュウが並んでくれて、密かにほっとした。
「よ、用心した方がいいよ」
「本当にそうです、はい」
ミュウは並んで歩きつつ、コクコク頷く。
「どういうわけか、ここでは私のセンサーが上手く作動しないんです」
「え、マジ!?」
聞き捨てならないことを囁かれ、思わず足を止めそうになったが、俺はなんとか我慢した。しかし、これはちょっと予想外だったぞ……いざとなれば、前方の広間に入る前に、ミュウに確かめようと思ってたのに。
この子も、ちょっと調子が戻ってきたと思ったのに、まだどこか不調なんだろうか。
「どうして効果がないんだろ」
「全然わかりませんが……私の機能障害ではありません」
俺の心を読んだように、ミュウが答える。
「それに、前方の黒い闇が広がる空間は、著しく磁場が乱れてて……なんだか、ミュウも怖いです」
「えぇええええ」
辛うじて悲鳴は避けたが、俺は正直、度肝を抜かれた。
またしてもミュウの弱気か!
しかし過去の経験上、この子はゴーストくらいでは全然恐れないはずなので、一体、どんな化け物が先に待ち受けているのかと、ビビるじゃないか。
「ナオヤっ」
生唾を呑み込んでいると、後ろからマヤ様が尖った声をかけた。
「なんでミュウはナオヤと仲睦まじく歩いているのに、マヤが放置されているのだっ」
振り向くと、めちゃくちゃ膨れっ面のマヤ様が睨んでいた。
「い、いえ……どうやらミュウはこの先の神殿――らしき場所について、得体の知れないところがあると思っているようなので、いま報告を聞いているところです」
「なにが報告かっ。ただイチャイチャしているようにしか見えぬ。腕も組んでいるではないか!?」
おぉ、それは確かに。最近この子、ナチュラルに腕を組んでくるんで。
俺ももう、すっかり慣れてしまってたりして。
「い、いやぁ」
それがしどろもどろで言い訳を考えていると、マヤ様は自らずんずん歩いてミュウとは反対側につくと、強引に俺と腕を組んだ。
「な、なんです!?」
「なんですではない。もう大人しくナオヤの後ろからついていくのはやめだ。マヤもナオヤと触れ合っている方がよいわっ」
「ええと――」
「ちょっとナオヤ君!」
「戦士将っ」
「ナオヤっ」
「死体がぁああっ」
また背後から、女性陣の声が重なった。
ていうか、最後のエグい声はエルザか? なんて声出すんだ。
「な、なんだよ、驚くだろ!」
「こんなトコで揉めてる場合じゃないわよ。前を見て、前を! 問題の死体よっ」
「えっ」
俺は慌てて、目前に迫った神殿らしき場所を見た。




