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一人だけ男前発言

 俺が真剣な顔で尋ねると、エルザは「えっ」と声を上げた。


 上げただけではなく、なぜかギチギチッと目に見えて表情が強ばった。

 おまけに、俺の背後でローズが「いやっ」と黄色い声を上げたりする……別に歓声ではなく。


 さすがに「あれっ」と思って振り向くと、ローズは自分の身体に両手を回して震えていて、しかもレイバーグまで内股で両方の眉を下げていた。


 それこそ、夜中にトイレに立つ幼女みたいに。




「な、なんだよ、三人とも……過敏に反応してからに」


「花瓶も土瓶もないわよっ。いきなり怖い話しないでよっ」

 エルザが怯えたような声で言う。

「あ、あたし、すぐ逃げたとはいえ、その女性を遠目に見ちゃってるんだからっ」


 いや、すぐ逃げるなよっと突っ込みたかったが、意外にもローズとレイバーグまで追従した。


「わ、私、実はその手の話題、ものすごく苦手なんです。暗いところ自体、あまり好きじゃなくて」

「申し訳ないけど……ボクも」

 こ、こいつら、どんだけ神経細いのかと!

 俺に呆れられるって、相当ヤバいぞ。



「いやいやっ。幽霊がどうのって話じゃないから!」


 あと、エルザはいつものことだが、ローズとレイバーグは意外だな。

 仮にも魔界の軍属と、勇者だってのに。


「わからぬな。ゴーストごときがなんだというのだ? 所詮、この世に未練タラタラのつまらん輩ではないかっ」


 なんて言ってるマヤ様は、逆にあまりにも予想通りかつ、男前すぎるが。

 だいたいその言い方って、ゴーストの存在を認めた上での言葉だから、余計にすげーよ。

「幽霊は置いても、ちらっと見たあの人が死人だって、なんで思うわけ?」

 エルザが不機嫌そうに言う。


「だって、ダンジョン内なんて魔法の松明があるとはいえ、だいぶ暗いだろ? ましてや、地下神殿なんてただっ広いと相場が決まってるし。そんなトコに一人で立ってるなんて、ちょっとおかしいだろ。それに、遠目に背中が見えただけなら、生きてるか死んでるか、わからないじゃないか」



「ま、まあ、あの広い場所は、特に明かりが乏しくて、ほとんど暗闇に近かったかなあ」

 エルザは思い出すように眉根を寄せた。

「だから、こっちが立ってた通路の明かりで、辛うじてぼんやり見えたのよね」

「あ、そういえばっ」

 少し回復したレイバーグが、思い出したように話に加わった。


「ホテルで泊まった時、暇な時間に街の古老に訊いてみたんだ。ユメが暴れた頃の時代の話を知らないかと思って。そしたら何人かから『当時の噂じゃが、抵抗軍だけじゃなくて、邪神の闇の軍勢も、地下に拠点を持ってたそうな』と聞いたよ」




「それだっ、まさに俺の言いたいこともそれっ」


 俺はレイバーグをびしっと指差した。


「つまりエルザが見た神官みたいな女性って、例の封印されたユメじゃないのかと主張したいんだって! 無論、今じゃなくて、邪神として有名だった元の姿のね。ほら、前にサクラが言ってたじゃないか、『おそらく今から向かう場所には、未だにユメの肉体だけは残っているはずだわ』って」


 明確な返事はなかったが、皆が小さく喉の奥で唸ったのがわかった。



 さてはこいつら、サクラの発言なんかころっと忘れてたな?


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