新たな疑惑
――決意を新たにしていると、レイバーグが考え込むように呟いた。
「もしかして……司令官のレージが行方不明なのも、彼が関係しているんじゃないかなあ」
「そりゃどういう意味?」
驚く俺を横目に、マヤ様が大きく頷く。
「有り得るな。マヤもその意見に賛成だ。あいつは完全に、マヤとナオヤへの復讐心で凝り固まっている。我々に不利なことなら、なんでもやりそうだ」
「むううっ」
しかし……あの森で行方不明になったレージの件にあいつが絡んでいるとしたら、もしかしてレージはもうこの世にいないんじゃ?
俺は思わず顔をしかめた。
マヤ様の指摘通り、あいつは俺達が窮地に陥りそうなことなら、なんだってやりそうだ。でもって、あの晩、あの森にアランがいて、レージに遭遇したとしたら……あいつは俺達に罪をかぶせるためにレージをばっさり殺るくらい、鼻歌交じりにやるんじゃないか?
「それは……まずいな」
俺が難しい顔で唸っていると、焦った顔のネージュが促した。
「皆さんっ。それより、さっさとここを離れましょう! さもないと、アランどころか、あのユメが戻ってきますよ」
「そ、そうだった!?」
俺は一瞬で我に返って、マヤ様を促した。
「とにかく、今はここから離れましょうっ。それに、ダンジョン内に置いてきた、エルザ達とも合流しないとっ」
「待て、まだ大事な情報があるのだ!」
マヤ様がいきなり俺の腕を掴んだ。
「サクラとかいう元ブレイブハートはどうした?」
「いや……あいつとは、途中ではぐれてしまって」
俺はとっさに、サクラに置いていかれたことを話さなかった。
そんなこと白状したら、またマヤ様の機嫌が悪くなるからな。
「む……しかし、ナオヤが救出に来る前、妙なことを聞いた。あのチビ邪神のユメが、配下との会話の中で、サクラの名前を頻繁に出していたのだ」
「えっ」
ネージュに急かされるまでもなく、今にも逃げ出しそうだった俺は、思わず足を止めた。
「サクラの名前を? それはまた、どういう理由で?」
「あいにく、途中でマヤが聞き耳を立てていることに勘付き、ユメはひそひそ声に変えたからな。しかし、『サクラにもちゃんと、使いどころが~』という部分はきっちり聞こえたのだぞ。いかにも怪しいではないか!」
「え、えぇええええっ」
俺は顔をしかめて呻いた。
それはホントに、どういう意味だろう。
いや、マヤ様の顔つきからして、もう半ば以上、サクラもユメ達の側だと決めつけている感じだけど、一緒にいた時はそんな様子はなかったけどな――いや、最後は置いていかれたわけで、やっぱりどこか疑わしいのか。
嫌な情報を聞いて混乱しちまったが、あいにく状況は刻々と動いている。
のんびり話している間に、新たな気配が近付いてくるのを感じた……しかも、これはかなりの大人数だっ。
「ナオヤっ」
「ナオヤさんっ」
同じく接近に気付いたレイバーグとミュウが、俺に声をかけた。
俺は大きく頷き、マヤ様に進言した。
「とにかく、今はここを離れることですっ。さあ!」
さすがにマヤ様も反対せず、ようやくみんな走り出した。




