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重大な見落とし?


 いずれにせよ、戦うしかない。


 こいつとやり合う場合、説得なんか期待できないから、否応なく命のやりとりになっちまうからな。

 それにどう考えても、これ以上よいチャンスが巡ってくるとは思えない。

 最善なのは、来た道を戻ってミュウ達――いや、ミュウに応援を頼むことだが、あいにくそんな時間はない。


 行って帰ってくる間に、ユメが戻ってきちまう。

 時間が経てば他の傭兵も戻ってくるだろうし、チャンスはおそらく、今のこの短い時間しかない。


 ――よし、やるか!


 気は進まないながらも、俺は決断した。

 俺一人だけで、救出作戦開始だっ。




 というわけで、早速、今俺が立っている裏通路をくまなく見て回った。ここは見張り用の通路だと推測されるから、外が見える場所の近くには、必ずそっちへ出られる出口のようなものがあるはずなのだ。

 ……で、やっぱりその推測は正しかった。


 今立っていた場所から少し右にズレた場所の石材ブロックが、一カ所だけ色違いになっている。これを押せば、前と同じく一部が開く仕組みだろう。

 よ、よしっ。

 俺は生唾を飲み込み、腰の刀に手をやる。


 しかし……一応、飛び出す前に、もう一度アランの位置を確認しておくかな。


 ふとそう思い、最後の最後にまた覗き穴から広間の中を見た。

 これがまた、見て正解だった!

 というのも、問題のアランはちょうど、残った二人の傭兵に「僕も少し、周囲を点検してくる。ナオヤが来るかもしれないから」などと声をかけ、外へ出るところだったからだ!


「留守番してなくていいんですかい?」

 きょとんとして一人が訊いたが、アランはにこやかに答えた。

「いや、すぐ戻るからね。十分くらいだよ」

 そして本当に、スタスタと広間から出て行ってしまったという……。


 な、なんという幸運っ。


 十分もくれりゃ、十分だろう。マヤ様達を逃がして、とっとと別な出口から遁走できるじゃないか。

 宝くじでも三百円以上当たったことのない俺なのに、なんで今日はこんなにツイてんだよ。ちょっと気味が悪くなってきたぞ。


 しかし、逆に言えば最大のチャンスは、この十分程度に集約されたってことだ。

 乗るしかない、このビッグウェーブに!


 俺は元の世界で見たCMの煽り文句を心中で唱え、石材ブロックに手を触れ、出口を開いた。


 さすがに開く時は、ゴギゴギゴギッとそれなりの音がするので、当然、残っていた傭兵二人にたちまち見つかった。





「おわっ。な、なんだ!?」

「て、てめえっ、どっから出てきやがるっ」


 二人して喚いたが、俺は思いっきり無視して、連中と逆方向にある、マヤ様達の魔法陣の方へ駆けていこうとした。上手い具合にレイバーグ達も目覚めていたし、これは上手く行きそうだっ。


 実際、マヤ様がいの一番に俺を見つけ、ぱっと顔を輝かせてくれた。何か叫んでいるようだが、あいにく魔法陣を解除しないと、もう何も聞こえない。


「待っててください! すぐに俺が――」


 だが……俺の幸運はここまでだった。



 迂闊な俺は、一つ重大なことを忘れていたんである。



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