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他力本願ならず

 ふと気付いた時には、俺はこの狭苦しい通路の中で、迷っていた。


 慌てて一番近い分岐の場所まで戻ろうとしたが、その方角らわからない。

 分岐が多い上に、視界に入るのが石壁と石床ばかりで単調すぎるので、方向感覚が狂わされたらしい……まあ、単に俺が方向音痴なのかもしれんが。


 やむなく、ひとまずまたどこかダンジョンを覗けるような場所を見つけようとウロウロし、歩くこと十分くらい、ようやく石壁に、さっきみたいな赤い丸印を見つけた。

 よしよし、せめてダンジョンの状況くらいは確認したいからな。


 早速、そこから外を覗くと――

(うおうっ!?)


 危うく大声を出しそうになり、俺は慌てて自分の口を手で塞いだ。

 というのも……今度覗いた場所はさっきみたいな外のダンジョンではなく、広々とした吹き抜けの空間で、しかも関係者がほぼ全員いたからだ!

 関係者というのは無論、マヤ様やレイバーグ、それにネージュである。


 つ、捕まってる……みんな、思いっきり捕まってやんの!


 密かに、はぐれた仲間の救援をアテにしていた他力本願信者の俺は、アテが外れて頭を抱えた。


 もうホント、がっかりだよっ。


 彼らは、大きな円形の……サークルみたいな中にいて、マヤ様以外は倒れている。

 この派手な模様と文字が入ったサークルは、おそらく閉じ込めておくための魔法陣の類いだろう。


 その証拠に、サークル内には薄赤い光が満ちていて、岩盤層の天井までその光が届いているのだ。おそらく、あの光の外には出られないってことだろうな。

 幸い、倒れている仲間も死んでいるようには見えない……胸が上下しているし、単に気絶しているだけのはずだ。


 その中で、マヤ様一人だけは健在で、腰に手を当ててサークルの外を睨みつけていた。

 そう、この広間みたいな空間には、敵もいるんである。それも、例のユメと……それに、あのアラン・リムスキーだっけ? 

 とにかくそいつが! 






「それで――ええと、アランだったかしら? 今の話は本当なの?」


 会話の途中だったらしく、一人だけ偉そうに座っているユメが、不意に尋ねた。

 ……ていうか、この黒いドレスの女の子、なんとでっかいライオンに似た獣……おそらく、魔獣の上に腰掛けている。

 自分が生み出した一種のホムンクルスかもしれんが、魔獣の方は大人しくしていて、一切動かない。こんなのを椅子役に使うとは。


「はい、本当です、ユメ様」

 裏切り者のアランが、恭しく頭を下げる。


「僕があの森で、逃げるサクラや敵のナオヤ達を追いかけていた時、確かに司令官のレージ様を目撃しました。あのお方は血まみれで、ナオヤに担がれていましたね」


 それを聞いて、俺はまたしても「げっ」と声に出しそうになった。

 血まみれのレージを肩に担いだ俺だぁ? なに、その派手な濡れ衣っ。

 俺は狭い通路の中で無駄に憤慨したが、マヤ様も魔法陣の内側から怒鳴ってくれた。


「大嘘をつくな、アラン! 我々とナオヤ達があのサクラと森で遭遇したのは本当だが、レージはナオヤによって解放されたわっ。貴様、何を考えてそのような嘘をつく!」


 そうだそうだ、もっと言ってやって言ってやって。

 俺はかなり久しぶりに、マヤ様の罵倒を頼もしく思ったね!


「うるさいわねっ。捕虜その一は黙ってなさい!」


 もっとも、ユメの方は歯牙にもかけなかったし、俺はすぐにハラハラする羽目になったけど。



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