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裏道探索

「だからっ」

 俺が考え込んだのを見て、エルザはここぞとばかりに畳みかけた。



「ミュウちゃんはこの部屋でヘルプ要員として残り、ローズは単独で三方向のどれかの通路を探る。そして、あたしとナオヤは残りの道のどっちかに探索に行くわけよ!」



「ふむふむ……えっ」

「はあっ!?」


 途中で俺とローズが、眉根を寄せてエルザを見た。

 しかし、彼女は我関せずの姿勢で、しかも早口で俺達を睨みつけるように言う。


「なんたってあたしが一番死にやすいんだから、全力で守ってもらわないと困るものっ」


 おぉ……この色気ねーちゃん、開き直って力一杯言いやがったぞ。

「却下ですよ、そんなの! 当然じゃないですかっ」

 ローズがガツンと言ったのはともかく、黙ったまま聞いていたミュウが、めちゃくちゃ膨れっ面になったのに驚いた。

 普段、あんまりこんな顔、見せないからな。


「マスター、エルザさん、ちょっとぶっていいですか!」


「いいわよ。時にはガツンといくのも必要だわ」

 俺の代わりにローズがきっつい顔で頷いてしまう。

「なんでようっ」

 エルザが半分逃げ腰で反論したものの、ミュウが動きかけたので、やむなく俺が割り込んだ。


「待って待って!」


 エルザに詰め寄ろうとしたミュウの肩を押さえ、俺は慌てて言った。

 まさかとは思うが、今のミュウはホントにエルザをどやしつけるかもしれない。危なっかしい。


「とにかく、エルザのセリフも前半は正しいんだ。確かに、俺達がなんらかの事情で迷うと、探しに来られるのはミュウくらいのもんだ」


 実際、遥か南の砦からこの俺を捜し当てたもんな、ミュウは。


「そこで、ミュウはここに残ることとする。俺を含むあとの三人は、それぞれ三方向の道を進んで、探りを入れる。時間は……おおよそ一時間ってトコかな。なんかあったら、まずこの休憩所に戻ると」

「えぇえええええええっ」


 超早口で言ってのけると、エルザが早速、でっかい金切り声を上げたが、俺は無視した。やっぱここは、効率優先だ。神器もだが、マヤ様が行方不明のままだし!


「これは、もう決定!」


 俺以外は全員が不満そうだったが、とにかく押し切った。





「あと、時間わかるのはミュウだけなんで、一時間を大きくオーバーしたら、探しに来てくれ。俺達の方は……時計もないんで、体感時間でいいや。だいたい一時間くらい進んでみて、なにもなければ戻る。これで決まりだ!」

 めちゃくちゃ膨れっ面の女性三名に申し渡した。


「あたしが通路の奥で傭兵とかに出会って怪我した挙げ句、押し倒されて貞操の危機に陥ったら、どうすんのようっ」


 エルザが豊かな胸元を押さえ、据わった目つきで言う。

「魔法使いだろ? あらかじめ敵の接近に気付いたら、後は後ろも振り返らずに逃げ帰っていいよ。悲鳴を上げたら、ミュウだって助けに来てくれるさ」


「……ミュウちゃんは、むしろこっそりナオヤの方へすっ飛んでいきそうですけど!」

「とにかく、これで決定だって!」


 俺は無理に話を打ち切った。


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