表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
271/317

謎の空間


 その発見は、実は全くの偶然だった。


 敵は基本的に回避とはいえ、避けられない場合も出てくる。

 何時間かして、俺達が何度目かの傭兵チームに出くわし、それぞれ倒すか眠らせるかした時、問題は起きた。


 体力に乏しいエルザが例によってヘバってしまい、「もう疲れたわぁ~、足が震えてるぅ~、MPもない~。どこかで休みたいわあっ」と完璧な膨れっ面で主張したのだ。


 俺としては、マヤ様以下の仲間を早く探し出すか、サクラを見つけるまでは苦しくても進みたいんだが、目に見えてエルザが遅れるようになってしまい、そうも言ってられなくなってしまった。


 エルザの不満はいつものことだが、疲れているのも事実のようだ。

 というか、個人差はあれど、それはみんな同じだった。俺だって、できればどっかで大の字になって休みたいくらいだ。





 そこで、やむなくミュウに頼んだ。


「ごめん。また休憩が必要らしい。サクラが見つけた休憩ポイントみたいなの、今回も見つけてくれないか? ほら、色違いの石材ブロックみたいな印のあるところ」


「はぁい!」

 一人だけ元気度マックスのミュウは、すかさずきょろきょろと通路を見渡し、幾らも進まないうちにすぐに問題の場所を見つけてくれた。

「あ、ここかもしれません!」

 さすがっと皆でヨイショしたのだが……ただ、この時のミュウはなぜか可愛らしく小首を傾げていた。

「どうしたの、ミュウ?」


「ええと……この向こうにさっきみたいな部屋があるのは確実なんですが……その隣にも、奇妙な空間があるんです……今、ざっと壁の密度を測定していて、偶然見つけました」


「むう?」

 俺達は顔を見合わせたが、別の場所を探すような気力もないし、とにかく入ってみることにした。


「まあいいさ。とにかく中へ入ろう」


 決断し、また色違いの石材に触れ、問題の隠し部屋を開けた。

 開けた途端、夜を迎えた吸血鬼みたいな勢いでエルザがダッシュを決め、例によって隅に置かれたベッドへ直行する。

 男の俺の目もあるというのに、即座に、思いっきり奔放な姿勢で横になっていた。


「あぁ、やっと横になれた……外の通路だと、ろくに休めないもの。これじゃ、体力ももたないわよう」

「言えてますね……」


 いつもは厳格なローズも、諸手を下げて賛成し、水飲み場で一息ついていた。

 俺は彼女達の苦情は聞こえない振りをして、ミュウに水を向けた。

 さすがにまだ、そこまで疲れ切っていないしな。


「それで、隠し部屋って?」

「ええと……ちょっと待ってください……多分、どこか開く仕掛けが……う~ん」


 ミュウは文字通り、奥の壁を見通すような目つきでじんわりと見つめ、しばらくして呟いた。

「あ、ここかもしれません……」

 声にすると同時に、胸の辺りの高さにある石材ブロックに触れた。

 すると――そのブロックが奥に引っ込み、ギギギィッと壁の一部が開いたではないか。


「おおっ」


 ミュウの背中に隠れつつ、俺は思わず声を洩らす。

 警戒はしたものの、特に何かが飛び出してくる様子はなく、代わりにそこの壁にあった魔法の明かりが自動で点灯する。

 すぐに、ぼんやりと殺風景な空間を照らし出した。


「あれ……何もない……いや、待て」


 その謎の部屋から、三方向へ向けて細い道が分岐していることに気付き、俺は密かに息を呑む。


「もしかしてこれ、隠し部屋ならぬ、隠し通路か!?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ