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地下牢到達(寸前)

 

 ――後ろっ、と叫びかける間も惜しみ、俺はエルザの手を振り切って、やっと人形共に躍り込む。

 なんとか、マヤ様の背中に斬りかかる前に、剣撃を受けることができた。




「確かに、こうなると戦うしかないです、ねっ」


 俺は敵の剣を力任せに跳ね上げた瞬間、前進して胴を薙ごうとする。人形野郎は「敵を――滅ぼす」とまたほざいて飛び退きやがった。

 しかも、そいつと交代するように、もう一体がびっくり箱から飛び出す人形みたいに、ヤツの背後から駆け込んできた。

「死――ねっ」

「おまえがな!」

 なかなかのスピードで振り下ろされた斬撃だったが、俺は寸前で身をさばいてかわし、次の瞬間、逆に相手の首を刎ねた。


 そいつの首が落ちる前に、後退した一体を猛追し、とっととその間合いに飛び込む。

 すかさず人形野郎の剣が突き出されたのは計算のうちで、俺は同時に剣撃を放ち、ヤツの剣を今度こそ下方から叩き上げた。

「合い――言葉を」

 ボケたセリフを吐いたそいつは、たまらず手にした剣を放してしまい、唯一の武器が明後日の方へ飛んでしまう。

「リベレーターを相手にするよりゃ、全然楽だっ」

 最後の「楽だっ」のところで、身体を捻った後に豪快に振り切った斬撃が、人形野郎の胴体を横から真っ二つにいだ。

 ……泣き別れになった身体が通路に倒れた時点で、ようやく俺は動きを止める。

 前後を確かめ、他に敵が来ないことを確認してから、静かに刀を戻した。



 

 やっと落ち着いて振り向くと……仲間は誰一人として動いてなかったというね!


「いや、マヤ様はいいとして、後のみんなは、当たり前のような顔で見物してんなよっ」

 さすがにむっとして文句つけたんだが、なぜかみんなから拍手された。

「ナオヤさん、素敵ですっ」

「ナオヤ様は腕を飛躍的に上げましたなぁ」

「そもそも、援護する暇もなかったわ。あっという間だったもの」

 ミュウとギリアム、それにエルザがほぼ同時に言う。

 他のみんなも口々に賞賛してくれてちょっと小っ恥ずかしかったが……しかしみんな、本気かねぇ。

 とジト目で見ていたら、マヤ様が寄ってきて上機嫌で肩を叩いてくれた。


「よくやったぞ、ナオヤ! もはや、魔界の最強戦士になりつつあるな」


「いやいやいやっ」

 さすがに苦笑しちまった。

「それはさすがに無いかと」

 全力で否定したのに、無視された。

 マヤ様は転がってもまだぴくぴく動いてる人形共を見て、舌打ちした。

「しかし、余計な手間をかけさせてくれた。結局、合い言葉はなんだったのだ」

「さあ? リベレーターを追い出せ、とか」

 何気なしに俺が答えると、首だけになって転がっていた人形が、急にしゃべった。


「合い言葉――は承認された。通ってよし」


 次の瞬間、くわっとマヤ様が目を剥き、まだ手に持っていた大剣で、ドカッと残ってた頭を叩き壊してしまった。

「今更、遅いっ!!」

「うわ」

 なんか完全破壊されたら、白い石みたいな固まりになっちまったけど……ホント、こいつらも災難だよな。






 幸い、その後は特に邪魔など入らず、俺達は黙々と暗闇の通路を進み、行き止まりまで歩き続けた。

 終点はT字路になっていて、左右に延びた道はまた他へ続いているようである。

 で、正面の壁のみに、わざとらしく抉れたようなくぼみが二列で縦に刻まれ、階段みたいに上へ行けるようになっている。


「……そして、天井には入り口の落とし戸みたいな区切りがあるな。今度のは木製じゃなくて、四角い石のタイルみたいなヤツだけど。あれを下から押し上げれば、庁舎の地下へ出る……ということかな?」


「おそらく」

 俺は賛成し、大きく深呼吸した。

「では、まずは俺が先で、後は――」


「次はマヤが続く」

 

 身も蓋もない強引さで、マヤ様が断言する。

「まさかここに見張りを置く意味もないし、ナオヤとマヤの後は、全員がそれぞれ続けばよかろう? どうだ、ナオヤ?」

「まあ……ここまで来たら、マヤ様に留守番もさせられませんねぇ」

 俺は渋々頷く。

 ゴスロリ風のミニワンピースみたいなドレス着込んだこの人を連れていくのは、どうも気が進まないのだが。

 今更、絶対に残るわけないしな。


「では、俺が上がって、まずはあの切れ込みを持ち上げてみます。合図するまで、そのまま下で待っててください」

 そう言い含め、俺は慎重に壁に刻まれた窪みを上がっていく。

 手が届く位置まで上ると、そっと切れ込みを押し上げてみた。

「む? やっぱ力がいるか?」

 やたら重たいそれを、全力で持ち上げる……何とか動き、隙間から地下が見えた。

「おぉ……」


「どうなのだ、ナオヤっ?」

 気の短いマヤ様が、早速、下から尋ねる。

 俺は一旦、その石蓋を戻し、マヤ様にぐっと親指を立てて見せた。

「あの市長の言った通りです。地下牢の隅に出るようですよ」

 みんなを見渡し、宣言した。


「人の気配もないようですし、急いでヤツを探しましょう!」


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