第三十四話 宣戦布告
数ある作品の中から興味を持っていただき、本当にありがとうございます!
思わぬ所で思わぬ再開をしたタヴァータ一行。
再開を喜ぶ彼らだったが、その裏で何やら大変なことが起きているみたいで………!?!?
「…………おーい、2人とも!!! 遅いぞ!!!!
いったい、いつまで油を売っておるんじゃ!!!!!!!」
「・・・・げ、まずい!!!!」
廊下の奥の方から響き渡る…おじいさんと思われる、怒気をはらんだ大きな声。
その声の主であろう人影が、段々とこちらに近づいてくる。
「……国を揺るがす大惨事だというのに、いったい何をやっておるんじゃ………
・・・・・って、おおっ!!!! お主はもしや……!?!?!?」
長い廊下から表れたのは……犬の耳を生やした、かなり頑固そうな腰の曲がったおじいさん。
そんな彼が僕を見るなり…心底驚いたような表情をしている。
うーん……どこかで見たことがあるような………向こうは僕のことを知っていそうなんだけど……
僕が訝しみながら目の前のおじいさんを見ていると、彼は心底嬉しそうに僕に話しかけた。
「………おお……タヴァータ様!!! またもやお会いできて、光栄ですぞ………!!!
先日は魔力障害を解消してくださり、本当にありがとうございました……!!!」
「……は、はい。 ええと…失礼ですが、どこかでお会いしましたっけ………?」
「…………ふぉっふぉっふぉ。 お忘れですかな?
先日森の中の宿にて『まんが』を語っていただいた、このギルドの主人の『クヴァシーラ・ダイゴ』ですよ。」
「・・・あっ!!!! あのときの!!!!!」
僕の頭の中に、少し前の懸命に蘇る。
・・そういえば、僕たちが魔力障害で宿にこもりきりだったときに…宿にこんな見た目のおじいさんが居た気がする!!!!
まさか、隣の国のギルドマスターだったなんて…!!!
「………すみません、僕…ギルドマスターであるクヴァシーラさんになんて無礼を……」
僕があわてて謝ると、クヴァシーラさんは心底愉快そうに笑いながらこう僕たちに告げた。
「……ふぉっふぉっふぉ!! 気にするでない!!
いやー、タヴァータ様たちが来てくださるなんて、なんて有り難い……!!!!
これで、儂らの首の皮もなんとか一枚つながったというわけじゃ…!!!!」
「…………ええ。 万事休すかと思われましたが、野垂れ死なずに済むかもしれませんね。」
・・・ん? 首の皮? 野垂れ死なずに済むかもしれない…?
ランドレーさんとクヴァシーラさんの会話の節々で、ものすごく不穏なワードが見え隠れしているような……
心底ホッとして嬉しそうにしているが、いったいクヴァシーラさんたちに何があったのだろうか…?
「……ああ、申し訳ありません、タヴァータ様。
少々…我々のお話を聞いていただきたいのですが………よろしいですかな?」
僕が訝しんでいると、クヴァシーラさんが真剣な表情で僕たちをまっすぐ見てきた。
◆◆
「……それでは、皆様に単刀直入に説明いたします。」
ギルドの中の大きな会議室に通された僕たちが、用意された立派な椅子に座りながら、クヴァシーラさんの話を真剣に聞いている。
場の空気はピリピリと突き刺さるように重苦しく、本当に切羽詰まっている状況だということが理解できた。
メガネをくいっと上げたランドレーさんが、冷静沈着に低く重い声色で説明をしてくれている。
「……これは決して外部に漏れ出てはいけない極秘情報なのですが……
…………今からおよそ二日前、鬼の里から宣戦布告を受けました。」
「…………なっ…………は、はぁぁ………!?!?!?!?!?!?」
ランドレーさんのその発言を聞いたナキシーさんが、驚きと焦りが入り混じった大声をあげた。
僕には詳しい事情はわからないが………おそらく、ただ事ではないことは確かだ。
「………詳しく…………詳しく聞かせてくれ!!!!!!!」
「…ええ。
二日前の深夜、このギルドに我が国王と……その従者たち十数名の亡骸が送られてきたのです。」
「……………は………………?」
あまりの奇想天外かつ急展開な話に、僕たちを含めたみんながひどく困惑する。
国の政治に全く詳しくない僕でさえ、王様が殺されてしまったという事実はとんでもない大惨事だと理解が出来る。
「……その亡骸には、みな何十箇所も鋭い牙で喰いちぎられた痕が残されており………
その痕に付着していた唾液を調べた所、鬼族の女のものだと見て間違いないという調査結果が得られました。」
「…………………………………嘘、だよな?」
あまりの衝撃の事実に、ナキシーさんが震えながら虚ろな目で言い放つも…
ランドレーさんが、俯いてひどく悔しそうな表情をしながら、言葉を絞り出すように話している。
その態度がなによりも………残酷なまでに、その事が事実だという証明になっていた。
「……嘘ならば、どれだけ良かったのでしょうね。
その後も、数時間に一度の間隔で次々と……この国の国民が失踪をしているという連絡が入っています。
………一国の主を殺害されたとあっては、これは宣戦布告と捉えるほかありません。
しかし…我が王国の最高権力者である国王無き今、他国に協力を要請することも避難民の受け入れを要請することもできないのです。」
「……………………そんな………そんなこと………っ!!!!!!!!」
「事態が事態なので、国民に声明を出すことも出来ず…………
ギルドの方で出来る限りの外出自粛を呼びかけてはいますが、あまり効果は見られませんっ……!!!」
ランドレーさんの口から放たれた、あまりにも残酷な事実の数々。
それらを耳にした僕たちはただ、言葉を失うことしか出来なかった。
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