第三十三話 意外な再会
数ある作品の中から興味を持っていただき、本当にありがとうございます!
パーティーが結成して以来の大ピンチに見舞われたタヴァータ一行。
次の目的地へと大急ぎで向かう僕たちの前に、意外な人物が表れるのだった!!
「…うわあっ!!? なんだアレぇ!?!?」
「……超大型の魔物が、ギルドに向かって突っ込んでいくぞーっ!?!?」
獣人の国の中心にある街へと全速力で…なおかつ揺れを最小限に駆け抜けた僕たちは、街の中央の一番大きな建物の『ギルド』をめがけておもいっきりひた走っていた。
その異様な光景を目にした住民のみなさんたちが驚きの声をあげているなか、リルが勢いよく前足でブレーキをかけて『ギルド』の建物の直前で止まる。
「………どわーーっと……!!!!
……すみませーん!! ごめんくださーい!!!!
僕たちに、トイレを貸してほしいんですけどー………」
止まった衝撃でリルの身体からはじき出されるように地面に降りた僕が、どんどんと必死に大きな扉を叩く。
冒険者が集う『ギルド』だというのにひとっこひとり居ないのがかなり不自然だが、今はそんなことを気にしている余裕はない。
30秒ほどそうやって扉を叩いていると、中から……なにやら見覚えのある人(?)影が出てきた。
「……ンだようっせーなぁ。 こっちは重要な会議中だって・・・・あ゛?」
「……五月蝿いですね。 今はクエストの受注はできないと張り紙に書いて・・・・おや?」
「…………あ、あなたたちは……!!?」
僕がこの異世界に来て初めて会った人?たちの、メガネをかけたブタっぽい男性(?)と狼っぽい半裸の男性が出迎えてくれたのだ。
◆◆
「…なるほど、それは災難でしたね。」
「・・・・ハッハ!! なーるほど!!!
それで、俺っちたちがいるこのギルドに来たってわけね!!!」
「……ああ。そうなんだ………
お前たち…トイレを貸してくれて、感謝するぞ!」
あれから数分後。
ドアを開けてくれたとたんに女子トイレへと駆け込んでいったレムとレベッカさんを横目に、残った僕たちがギルドの中にいた2人と談笑をしていた。
「…はい。 トイレを貸してくれて………
そして、この世界に来たばかりの僕を助けていただいて、本当にありがとうございます!!!!」
ナキシーさんに続いて、僕もおもいきり頭を下げて精いっぱいのお礼をする。
いつか会って直接お礼をしたいと考えていたのだが、まさかこんなすぐ会えるなんて!!
僕が内心嬉しそうにしていると、2人もまた少し嬉しそうにして答えた。
「…ええ。 私も、貴方が無事にこの世界で過ごせているようで安心しました。」
「………まったくだぜ!! それに、オマエいつのまにか超有名人になってるしよー!!
俺っちたちも観に行ったぜー!! あの『まんが』!!! 超アツかったぜ!!!!」
「『まんが』の世界から出現した魔王や勇者様御一行の存在もあわせて、とても興味深い内容でした。」
2人が『まんが』のことを笑顔でそう話してくれて、僕も心底嬉しくなる。
そうやってしばしの間『まんが』の話に花を咲かせていると、トイレのドアから心底すっきりした様子のレムとレベッカさんが出てきた。
「…ふぃぃ………ぎりぎりセーフぅ…………!!
すみません、お手洗い貸してくれてありがとーございますーっ!!!」
「………………おにーさんたち………だあれ………?」
二人のことを見たレムが、きょとんと首を傾げて尋ねる。
そういえば、僕もまだお二人の名前を聞いていなかったな……
僕がレムの質問に耳を傾けていると、2人はまたまた笑顔で答えた。
「……お! お嬢ちゃんがタヴァータの娘ちゃんね。
俺っちは人狼族のウォルってんだ!!! よろしくな!!!!」
「……そういえば、タヴァータ君達にはまだ名乗っていませんでしたね。 失礼しました。
私は、豚人族のランドレーと申します。 以後お見知りおきを。」
「ありがとうございます!!!
僕は、この世界とは別のところから来た…人間のタヴァータと申します!!!
これから、よろしくお願いします!!!」
僕が笑顔で、そう自己紹介する。
どことなくチャラそうなオオカミ男のウォルさんと、真面目で誠実そうなオークのランドレーさん。
正反対なコンビだけど……2人とも、すごくいい人そうだ!!!
「………この2人は、私やリンドウと同じく………全世界で13人しかいない白金級の称号を持った凄腕の冒険者なんだ!!
戦闘においては、頼りになること間違いなしだぞ!!!」
そういって、ナキシーさんがふふーんと胸を張って自慢げに答えた。
「……おいおい、あの2人といっしょにされちゃたまんねーよ。
俺っちたちは10位と11位だけど、ナキシーさんは5位……リンドウさんに至っちゃ3位じゃねーか!!!」
そんなナキシーさんの言葉に、ウォルさんが照れて謙遜しながら答える。
どのくらい凄いことなのかはわからないが、異世界全部で13人しかいないうちの1人なら相当強いのだろう!!
「………みなさん、すごい人なんですねっ………!!!!!」
僕が興奮したように3人に向かって告げると、みんな照れたように嬉しそうに笑っていた。
そんな、なんともいえない心地よい雰囲気があたりに漂っているなか………
「…………おーい、2人とも!!! 遅いぞ!!!!
いったい、いつまで油を売っておるんじゃ!!!!!!!」
「・・・・げ、まずい!!!!」
廊下の奥の方から、おじいさんと思われる…怒気をはらんだ大きな声が、ギルドの建物中に響き渡った。
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