第三十一話 冒険者登録と大ピンチの予感
数ある作品の中から興味を持っていただき、本当にありがとうございます!
いよいよ、新章開幕です!!!
リルとレベッカさんがめでたく僕たちの仲間に加わってから、約一日。
どうやら、旅の次の目的地へ向かうには国境を超える必要があるらしく……
新たに僕らのパーティーに追加する2人のメンバー登録もあわせて、宿のロビーにて入国申請の手続きを行っていた。
「・・・それでは、レベッカ様に……リル様ですね。
パーティーメンバーの登録をいたしますので、それぞれの国民番号とステータスのご提示をお願いいたします。」
受付のお姉さんが、手際よく僕らに説明をしてくれている。
クロエさんのギルドと提携している宿なので、こういう手続きが宿で出来るのはありがたい。
「……ああ。 その件なんだが、この2人はまだ住民登録とステータス測定がまだでな。
ついでにやってもらえると助かるんだが……」
「…そういえば、そうでしたね。
では、お先にステータス測定を行いますので、お二人はこちらのお部屋で少々お待ちください。」
「「…はーーーいっ!!!!」」
受付のお姉さんに説明を受けると、レベッカさんとリルは元気よく返事をしながら、言われるがままに案内された部屋へと飛び込んでいった。
◆◆
「………………………………………………遅いな。」
「………………………………………………遅いですね………。」
2人がステータス測定を始めてから、およそ2時間半。
ナキシーさんと僕とレムのほうで住民登録のほうは済ませておいたので、後は2人のステータス測定が終わるのを待つだけなのだが……………
いかんせん、終わるのが遅すぎる。
9時前に手続きを開始したはずなのに、気づけば日が高く上がってもうお昼前になっている。
・・・まあ、神さまみたいな種族と元・天使のステータス測定なのだから、手こずるのも無理はないと思うけど……
「………………………おなかすいたー………………。」
さすがに待ちくたびれたのか、レムが不服そうな顔で口をとんがらせて抗議する。
もう少しで終わるから…と、僕がなだめようとしたその瞬間……
「………みんな〜!!! おまたおまたー♪」
「……………たっだいまー!!! 終わったよー!!!!!」
ステータス登録を終えたと思われる2人が、元気よく部屋から出てきた。
「・・・・ぜえ……はあ…………… お、お待たせいたしましたぁ……………
パーティーメンバーのご登録が完了いたしましたので、こちらをご確認くださいっ………!!!」
2人に続いて、肩で息をしている心底くたびれていそうな受付のお姉さんが、げんなりとしながら手に持った紙を僕らに手渡してきた。
手間を掛けさせてしまったことに申し訳無さを覚えながらも、僕たちはその紙を受け取って内容を確認する。
中には…………それぞれのステータスと職業、冒険者等級、年齢や性別などが詳細に書かれていたのだが…………
この世界の文字で書かれているので、まったく読めない。
「………ああ、すまん。
私以外はこの世界の文字が読めないのだったな。 私が確認しよう。」
僕たちがきょとんと目の前の文字列を見つめているなか、ナキシーさんがあわてて僕たちのステータスを確認してくれる。
「………ええと………タヴァータくんのステータスは以前と変わっていないが……
職業の欄に『吟遊詩人』と書かれていたぞ。」
「……………?
…………あのー……『吟遊詩人』って、なんのことですか?」
その紙に書かれていた聞き馴染みのない言葉に、僕が訝しみながらおずおずと尋ねる。
僕の職業の欄に書かれているらしい『吟遊詩人』という言葉。
それがどういうものかはわからないし………そもそも、僕はまだ中学生だ。
仕事はおろかアルバイトすらしたことがないし、親の家事の手伝いくらいしかしたことがない。
「……はい。
タヴァータ様は、故郷の『まんが』というお話を各地で語り継いでいるとお聞きしています。
そのお話に勇気づけられる方も大勢いらっしゃるので、戦闘において仲間の士気を高めたり安らぎを与えたりする『吟遊詩人』の職業とマッチしていると考えたのですが…………」
そうやって、受付のお姉さんが説明をしてくれた。
なるほど。ゲームやマンガで言うところの『ジョブ』みたいなものか。
どうやら、僕のやっている『まんが』の読み聞かせは、戦闘においてのバフ掛けや回復役みたいな能力だって捉えられたっぽい。
(…………なんか、異世界っぽいなぁ!!!! わくわくする!!!!!!!)
僕が心のなかでワクワクを募らせているなか、ナキシーさんによるステータスの確認作業はたんたんと進行していくのだった。
◆◆
「「「「「かんぱーーーーーい!!!!!!」」」」」
宿の食堂にて、一人の子供と四人の若い女性の声とグラスが当たる小気味よい音がこだまする。
ステータスの確認作業を終えた僕らは、いよいよ念願の旅を再開しようとしたのだが・・・
ちょうどお昼の時間だったので、出発の前に腹ごしらえをすることになったのだ。
「・・・いやー、無事に手続きが終わって良かったな!
特に問題もなく入国申請も通ったようだし、幸先が良い!」
「……みんなといっしょに旅するの、楽しみだなーっ!!! 」
「……………まあ、みなさんのステータスは驚きの連続でしたけどね………」
ナキシーさんとリルと僕が、笑顔で会話を楽しんでいる。
無事に手続きがすんだことは良かったのだが、僕以外のパーティーメンバーみんなのステータスが全員凄まじすぎて、僕と受付のお姉さんは驚いてばかりだった。
「…………ばくばくばくばくばくばくばくばくばくばくもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごく」
「………あははっ……♪ この果実酒おいし〜っ♪♪
いっくらでも飲めちゃうよぉ〜♪」
「・・・・それで、お前たちは一体……何をしてるんだ……?」
そんななかで、ナキシーさんが不審がりながらレムとレベッカさんの方をちらりとうかがう。
レムはお皿にこれでもかと乗った、僕の身長くらいありそうな山盛りの料理を爆速でたいらげており、レベッカさんにいたっては国王陛下のツケで食堂にあるたくさんの種類のお酒を飲みまくっていた。
「……これから歩くんですから、ほどほどにしないと具合悪くなっちゃいますよ?」
僕が見かねて、レムとレベッカさんに忠告をする。
「……そうだぞ、レム。 『腹八分目に医者いらず』だ。
・・・・それと、貴様は真っ昼間からなに飲んでいるんだ。 また無様に魔力を垂れ流すつもりか?」
僕に続いて、ナキシーさんも2人にそう告げる。
「……………………………けぷ。
…………おいしかった……………………………そろそろ、ごちそうさまする……………………。」
「…………………あははーっ♪ だいじょぶっすよぉーー♪
前回は七罪人のおねーさんにもらったお酒のせいでもらしちゃっただけだから、ふつーのお酒じゃぁなんともなんないってー♪」
「…………迷惑をかけたら即座に斬り捨てるからな。
さて。 みんな食事は済んだようだし、そろそろ出発するぞ!!!!!」
「……あーんっ!!! ごめんなさーいっ!!!
置いてかないでぇーーーーーーっ!!!!」
ナキシーさんが強引に立ち上がって足早に扉へと向かうと、レベッカさんがあわててお酒を口の中に流し込んで僕らについていく。
ご飯の時間でさえも、どたばたとしてとてもにぎやかだ。
これからの旅も……みんなと一緒なら、もっと楽しくなりそう!!!!
僕はわくわくする気持ちで存分に胸を高鳴らせながら、旅を再会できる喜びに満ちた一歩を踏み出した。
読んでいただきありがとうございました!!
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