第三十話 新たな仲間たちと旅立ち
数ある作品の中から興味を持っていただき、本当にありがとうございます!
レベッカさんの処遇が正式に決定し、あたりにほっとした雰囲気が流れるなか……
フェンリルのお姉さんが、いきなり勢いよく挙手をしだして……!?!?
見事レベッカさんの処遇が決定し、晴れて正式に僕たちの仲間に加わる事になり…
なんともいえない心地よい雰囲気に包まれているなか、国王陛下が柔らかい表情で優しく口を開いた。
「………ふぉっふぉっふぉ。 それでは、この場はもう閉じようと思うのじゃが……
なにか、意義を申したいものはおるかの?」
国王陛下が笑いながらそうやって僕たちに問いかける。
みんなゆっくりと首を横に振っていて、誰も意義を唱えるものはいない……と思いきや。
「………はーい!!! はい、はい、はーーーい!!!!!!」
(……………!?!?!?)
急いで声のする方へと視線を向けると、テンペストフェンリルのお姉さんが元気よく挙手をしていた。
◆◆
「………テンペストフェンリル様……!?
なにか、お気に召さないようなことでもありましたかのぉ……!?!?」
国王陛下が少しおどおどとしながら、フェンリルのお姉さんの顔色を伺っている。
そういえば、一部の地域では神として崇められているほど強いんだっけ…
そんな凄い人に意義を申し立てられ、国王陛下がめちゃめちゃに焦りながらフェンリルさんに尋ねた。
それを見たお姉さんは、いかにも真剣そうな顔つきで僕たちにこう言った。
「……わたし、ここに来るときに、ここの建物のかべおもいっきりぶちこわしちゃいました…!!」
「「「「「………………?」」」」」
「……………エルフのおねえさんが大事にとっておいたおかし、気づかずにたべちゃいました…!!!」
「「「「「..................................????」」」」」
お姉さんがいきなり、自分がしでかした失敗?を暴露し始めた。
本人はいたって真剣そうだが、僕らはその意図がわからずにぽかーんと戸惑っている。
「……テンペスト・フェンリル様?
..................いったい、どうなされたのですか.............?」
僕らの戸惑いを代表して、国王陛下がおずおずとお姉さんに尋ねる。
それを聞いたお姉さんは、少し照れくさそうにもじもじとしながら僕の方へと向き直ってこういった。
「................だから................あのぉ.....................。
わたしのしょぐーも、にんげんくんに決めてもらいたい................です..............。」
いつもは元気なお姉さんが、今回はかなり照れくさそうにうつむいて身体を縮こまらせている。
お姉さんのその態度とその言動を見て、すべてを察した僕は...............
少しニヤニヤとしながら、お姉さんの方へ向かってつぶやいた。
「…ふふっ……!! そうだなー…… それがいいかなー!!!!!」
「……………? いきなりどうしたんだ? 2人とも………」
ナキシーさん達がきょとーんとした眼差しで僕たちを見ているなか、僕がちらりと国王陛下に目配せをする。
そんな僕の意図に気づいてくれたのか、国王陛下もにっこりと優しい笑みを浮かべて口を開いた。
「………ふぉっふぉっふぉ。 よかろう。
テンペストフェンリル様の処遇も、タヴァータに決定権を与えよう!!」
「……………国王陛下!!! お気遣い、ありがとうございます!!!!!!」
国王陛下に許可していただいたのなら、もう問題はないだろう!
僕は今できる最大級の笑顔で、お姉さんに向かって処遇を下した。
「…………テンペストフェンリルさん。 あなたは、この騒動の解決に多大なるご協力をしてくれました!!!!
・・・・・が!!!!!! ナキシーさんのおやつ代と壁の修理費の代わりとして、僕たちと一緒に “ 東の摩天楼 ” へ目指す仲間になってもらうことにしますっ!!!!!!」
僕がそう告げると、お姉さんの顔がみるみるうちに明るくなり……
その次の瞬間には、僕の視界の九割が肌色で埋め尽くされていた。
「……………んむぅっ…………!?!?!?」
「………わーーーーーーいっ!!!!!!! やったーーーーーっ!!!!!!!!!
にんげんくん、だーーい好きーーーーーーーっ!!!!!!!!!」
遅れてやってくる、強く抱きしめられる感覚と、頭に強く感じている激しすぎる弾力。
もう何回目かもわからないような既視感を感じていると、それをほほえましく見ていた国王陛下が僕たちに問いかけてきた。
「………ふぉっふぉっふぉ。 仲が良くてたいへんよろしい。
それはそうと……タヴァータよ。 せっかく仲間になるのだから、いつまでも『お姉さん』では不便ではないかの?」
「………ぷはぁっ…!!!! はあ…… はあ………
…………確かにそうですね!! じゃあ、お姉さんにお名前をつけてさしあげましょう!!!!!」
お姉さんの大きすぎる乳房からなんとか脱出できた僕が、元気よく国王陛下の問いに答える。
それを聞いたお姉さんも、しっぽをちぎれんばかりにブンブンと振っていてすごく嬉しそうだ。
「………名前つけてくれるのーーーー!?!?!? やったーーーーーーっ!!!!!!!!!!」
「……………ふふっ!!!! 僕で良ければ、よろこんで!!!!!
ええと………ちょっと待っててくださいね………?」
僕はそうやって、お姉さんに抱きしめられながら手をあごにあててしっかりと考え始めた。
うーん……名前をつけるのは二回目だけど、なかなか難しいなー……
テンペストフェンリル……おおかみ………いぬ………
ポチ………シロ……… うーん……絶対違う………
しばらく考え込んだあと、僕は少し自信なさげな感じでお姉さんに告げた。
「…………『リル』なんて………どうかな………?」
ネーミングセンスが、一回目と全く変わっていない。
さすがに犬の名前をつけるわけにはいかないし、他にいい名前が全く思いつかなかったのだ。
僕がまたもや不安そうな眼差しでお姉さんの顔を見ると、お姉さんは・・・・
プルプルと震えて、キラキラと瞳を輝かせていた!
「……………やーーーーーったーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!!!!
わたしの名前は『リル』っ!!!! りるだよーーーーっ!!!!!!
にんげんくんっ………いや、『ごしゅじん』っ!!!!! ほんとーにありがとーーーーーーっ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「…………うむぅっ……!?!? もがもが………」
またもや襲いかかる圧倒的な弾力に顔を真っ赤にして目を白黒とさせながらも、名前を気に入ってもらえたことに心のなかでほっと一息をつく。
「……ふふっ! 良かったな!!
『リル』。 これから、よろしく頼むぞ!!!!」
「…………りるちゃん…………………よろしくね………………………!」
「……リルさーん!!! ふつつかものだけど、あたしと仲良くしてねー!!!!!」
「……………うんっ!!!!!!
みんな、だーーーーーい好きっ!!!!!!!!!!」
みんなが、あたたかい表情でその光景を眺めている。
こうして、闇の魔力障害は収まり………僕たちの仲間が、一気に2人も増えたのでした!!!!
ようやく再開できる旅も、前よりももっと楽しくなりそうです!!!
読んでいただきありがとうございました!!
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