第二十九話 レベッカさんの判決
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自分が犯してしまった罪を悔やみ、泣きながら謝罪を繰り返すレベッカさん。
そんな彼女の前に、ある重大な人物が表れ………!?!?
「・・・あ、ああ、あ.............!!!!!
ご、 ごめ、 な、 さ................ ひぐっ............ えぐっ..............
ご、 め、なさ...................ごめん........な...さい................っ..........・・・・・・・・・」
へにゃっと頭から前に倒れ込んで、土下座のなり損ないのような体制になって、泣きながら...........壊れたおもちゃのようにぶつぶつと謝罪の言葉を繰り返しているレベッカさん。
「…ど、どうしたの天使ちゃんっ…!?!?
だいじょうぶ..........だいじょうぶだから、頭をあげてよぉ…!!!!」
フェンリルのお姉さんがひどく戸惑っておろおろとしながら、レベッカさんの前にしゃがみ込んで心配そうに見つめる。
僕はそんな悲惨な光景をどうすることもできず、ただ見守ることしかできなかった。
「・・・・・・・なるほどのう。」
「「「..........!!!!!!!!」」」
そんな逼迫した空間の中に、突如老人のしわがれた声が響き渡る。
3人が急いで振り返るとそこには…ナキシーさんやレムたちと、ひどく厳しい表情をした国王陛下が立っていた。
◆◆
「…すまない。
盗み聞きするつもりはなかったのだが、扉が空いていたのでな…………。」
国王陛下の後ろにいたナキシーさんが、少し困ったようにぽりぽりと頭を掻きながらボソリと言った。
なぜここに、国王陛下がいるのだろう。
あまりに驚きすぎて目を白黒させて立ち尽くしている僕をよそに、国王陛下が静かに話し始めた。
「……タヴァータよ。
今回の大規模な魔力障害の件では、大変ご苦労じゃった。
そなたの働きのおかげで、闇の魔力に苦しめられていた国民たちを救うことができた。 感謝するぞ。」
「……は、ははあっ!!! も、もったいなきお言葉………!!!」
国王陛下が僕にねぎらいの言葉をかけてくれたのに気づき、あわてて国王陛下の前にひざまずく。
いつにない厳格な雰囲気をピリピリと感じていると、国王陛下がまた重い口を開いた。
「……それで、じゃ。 今回の騒動の元凶ともいえるそこの『元天使』を自称するものの処遇なのじゃが…」
「「……っ………!!!!」」
「代表として、タヴァータに処遇を決める決定権を与えるものとする。」
「................ええええええええっっっっっ!?!?!?!?」
国王陛下の重々しい口から放たれた、予想だにしない発言。
それに思わず大声を上げながらレベッカさんの方を見ると............彼女は覚悟を決めたようなピシッとした表情で、涙をこらえながらまっすぐ前を向いていた。
「……本当に、僕が決めてしまっていいんですか……?」
僕が心底困惑しながらそう尋ねると、国王陛下が少しニヤリと笑ってそう話を続けた。
「...............各々、腑に落ちん所や物申したい所はあるじゃろうが……
魔力障害の件は、明確な黒幕がおる。 ならば、その件以外で明確に被害を被ったタヴァータが処遇を決めればよかろう。」
「……なるほど…!!!
魔力障害の件は仕方がないとしても、タヴァータくんの純潔を奪わんとした件についてはれっきとした重罪ですからね!! 懸命なご判断、誠に感謝いたします!!」
そういって、ナキシーさんが跪きながら嬉しそうに言い放った。
僕のことはどうでもいいとしても……理由はどうあれ、僕に決定権を与えてくれたのはありがたい。
「………タヴァータよ。お主もそれで良いか?」
「………はい。 ありがとうございます。」
「……………では、タヴァータよ。
この場で、この者に対する処遇を決定するのじゃ。」
そんなの……もう、とっくにレベッカさんの処遇は決まっている。
みんなが固唾をのんで僕を見守るなか、僕は覚悟を決めて重い口を開いた。
「……………レベッカさん。 あなたの処遇は………
『僕たちの旅の目的地 “ 東の摩天楼 ” まで同行すること。
……そして、迷惑をかけてしまった人たちにちゃんと謝ること』です!!!」
「「「「「「…………………っ………………!?!?!?!?」」」」」」
僕がそう発言すると、周りにいるほぼ全員から驚きの声が響き渡った。
「…………待て待て!!! さすがに優しすぎやしないか…? 本来なら、終身刑や極刑でもおかしくはないんだぞ……!?!?」
「………大丈夫です! 僕はもうなんとも思っていませんし……
レベッカさんも、旅の途中でしっかりと迷惑をかけた人たちに『ごめんなさい』してくださいね!!」
僕がそうやってレベッカさんに話しかけると、彼女もまだ判決を受け入れられないようだった。
「………そ、そんな………!!!!
だって、あたし……みんなにも、にんげんくんにも迷惑かけてっ………!!!!
こんなことしちゃって、許されるわけがないのにっ…!!!!!」
「………大丈夫ですって! 決定権は僕にあるんですから。
みんなに謝るのは怖いと思いますが、一生懸命気持ちを込めればきっと許してくれるはずです!!
………それに…… ひとりぼっちは寂しいじゃないですか。
レベッカさんが天界へ戻る方法も探さないといけませんし、天界のえらい人に謝るお手伝いもしたいですからね!!!!!」
僕がそうやってにっこりと笑いながら伝えると、レベッカさんは声をあげて泣き崩れた。
「…………っっ………!!!!!!!
………………うわあああああああんっ………!!!!!!!
ありがとうっ………ありがとおおおおおおおおっ………!!!!!!!!」
「………まったく……。
タヴァータくんは、お人好しすぎるぞ…。」
「…………天使ちゃんっ!!!! よかったねーっ!!!!!!」
「………………なかまがふえるの……………うれしい……………!!!」
その光景を、みんながあたたかく見守っている。
みんな、僕の決定に心底満足しているようだ。(少し不服そうなナキシーさんを除いて)
「………ふぉっふぉっふぉ。 いかにもタヴァータらしい決定じゃのぅ。
国王の名において、それを認めよう。」
「………ありがとうございますっ!!!!!!!」
国王陛下のお墨付きをもらった僕は、晴れて正式に………
レベッカさんの処遇を決定し、旅の仲間に加えることに成功したのだ!!!!!
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