第二十四話 堕天した酒カスお姉さん
数ある作品の中から興味を持っていただき、本当にありがとうございます!
テンペストフェンリルのお姉さんに連れられて来た、闇の魔力障害の中心地。
そこにはなんと、強烈な闇の魔力をまとったお姉さんがいた!!!!!!!!!
「.......わん!!! わんわんわん!!!(.........にんげんくん、ぐあい悪くないー? だいじょうぶー?)」
「...............はい!!! 大丈夫です!!!!!」
再び大きなワンちゃんの姿へと戻ったお姉さんの背中に乗りながら、急いで魔力障害の中心地へと向かっている僕とレム。
お姉さんにかけてもらった闇属性耐性の魔法のお陰で、僕たちと宿に残っているナキシーさんたちはかなりの時間闇の魔力に触れてしまってもへっちゃらだ。
「.........................? パパ....................いったい.............だれとおしゃべりしてるの...................?」
僕とお姉さんの会話を聞いて、僕の後ろに乗っていたレムがきょとんと首を傾げた。
(............そういえば、僕はこの世界では常に自動翻訳の魔法がかかっているけど............
レムたちは、別の種族の言葉はわからないんだな.........。)
僕がそんなことを考えていると、いきなりあたりに漂う黒い霧が深くなり............
そこに含まれる闇の魔力の濃度も、桁違いに増加していた。
「.....................!? ............けほ..............こほこほ.....................。」
「.........くぅーん.........(くるしい...................わたしの魔法でもふせぎきれないほど、やみの魔力がつよくなってる............!!!!!)」
「..........2人ともっ!!! 大丈夫ですか...........!?!?」
闇の魔力が強くなった地域に足を踏み入れたとたん、いきなり2人が苦しみだした。
僕はまだなんともないけれど.............
神獣の2人にまで通用するような禍々しい闇の魔力に、かなりの恐怖感と絶望感を感じてしまう。
「..............だいじょうぶ............。 パパは..................?」
「...............僕は大丈夫だけど.............2人が心配だよ...........!!!」
「...........わんっ............わんわんわん!!!!! (わたしもまだへいきだけど...............
.......ここから、やみの魔力があふれでてるみたい。)」
お姉さんの言葉を聞いて前に注目すると...............
僕がこれから進むであろう森の中には、入るとどこまでも吸い込まれてしまいそうな漆黒の暗闇が広がっていた。
「.........2人は、安全なところで待っていてください。
僕が............このさきにある魔力障害の発生源を突き止めてきます!!!」
僕が心のなかでおびえながらも、それを表に出さないように大きな声でそう告げる。
「...............パパ................ほんとに、いっちゃうの...............?」
「.........わんわん...............わん?(..............いまさらだけど、怖かったらやだって言ってもいーんだよ..........?)」
2人が、心配そうな目で見つめている。
............でも、この魔力障害をなんとかできるのは、今のところ僕しかいないんだ。
怖くても、やるしかない。
「............大丈夫です!!!! きっと、原因を突き止めてみせますっ!!!!!!!!」
僕がそう叫ぶと、お姉さんとレムも真剣な表情で僕に激励の言葉を贈ってくれた。
「...........パパ.............!!!! がんばって...............!!!!!」
「.........わん!!!!(少しでもにんげんくんの気配がきえたら、すぐ助けにいくからね!!!!!!!)」
「.......はい!!!!! それじゃあ、行ってきますっ!!!!!!!」
僕がそう言い放ち.........
ふるえる足にむち打ちながら、ゆっくりと暗闇へと足を運んでいった。
「............うぅーっ.................怖いよぉ.................」
ただ自分の感覚だけを頼りに、闇の魔力がが強くなる方へと歩みを進める。
圧倒的な暗闇の前では、ひとりでいることの心細さが何倍も何倍も強く感じられてしまう。
お姉さんの魔法のお陰で体は平気だが、心は暗闇に押しつぶされそうなほどひどく弱っていた。
「(............にんげんくん!!! だいじょうぶ..............?)」
そんな心のなかに、お姉さんの言葉が直接響き渡る。
声がよく聞こえなくても、自動翻訳魔法のおかげで言葉の意味が直接心に伝わってきて............
かなり、心強い。
「..........はい!!! 大丈夫です!!!!
今のところ、特に異変は........
..........................................!?!?!?!?」
「(............にんげんくん!? どうしたの!?!? なにかいた!?!?)」
僕が自分の声に魔力を込めて伝えていると、暗闇の先に..........なにか、女の人の笑い声のような声が聞こえてくる.................!!!!!!!
「.........眼の前で...........女の人の笑い声のような音が聞こえますっ!!!!!!!」
「(................ええっ!?!? こんなところに、いきものがいるの!?!?!?!?!?)」
もしかしたら、この声の正体が闇の魔力障害の正体かもしれない。
そう考えた僕は、思わず興奮気味に声がする方へと走っていった。
「............はぁ..........!!! はぁ............!!!!」
声のする方へと、全速力で走る僕。
なんとしても、この声の正体を..............この魔力障害の元凶を突き止めるんだ!!!!!!!!
「...............!!!!!!!!!」
しばらく走っていると、急に暗闇と闇の魔力が晴れて視界が晴れる。
急に月明かりが目に突き刺さり、しばらくして目が慣れてくると、そこには.................!!!!!!!
「...............ごくっ..............ごくっ...................ぷはぁあぁ.............♪
..........ん〜? ................あれぇ〜、おきゃくさんだぁ〜〜〜っ♪♪♪♪」
僕の眼の前に、お酒らしき黒い液体を飲んでべろべろに酔った..............
大きな胸元があらわになっている角の生えた黒い服のお姉さんが、上機嫌な様子でどっかりと座っていた。
「...............あ、あなたはっ.............いったい.............!!!!!!」
眼の前で起こっている奇想天外な光景に驚きつつも、僕はそのお姉さんへと話しかける。
少なくとも危害を加えてきそうな様子ではなさそうだが.................. とにかく、警戒を怠らないようにしないと。
「..........う〜ん? あたしぃ〜..........?
あたしはねぇ〜、ついこないだ天界からついほうされた、お酒とたばことギャンブルとえっちなことがだ~いすきなすーぱー堕天使おねーさんなので〜す!!!! あははははっ..........♪♪」
そういって、お姉さんがけらけらと笑った。
天界とか堕天使とかはまったく意味がわからないが..........
こんな場所で堂々と座っている時点で、少なくともただ者ではないことは確かだ。
そういえば、彼女の頭のうえに紫色の天使の輪っかっぽいものがあるような..........?
僕がお姉さんにある見慣れないものをしげしげと見つめていると、その視線に気づいたお姉さんが指を指しながら答えた。
「..........あ〜、これぇ?
天界にいたころはキレイに輝いてたんだけどぉ...............いつのまにかこうなっちった〜♪」
..........なるほど。
ただの酔っぱらいかと思っていたけど、天使っぽい輪っかと黒い羽根があるし............本当に【元・天使】なのかな.........?
まあ、エルフとかゴーレムとかフェンリルとかがいる世界だし、天使の人がいてもおかしくはないな。
僕が頭の中でそんな考察をしていると、お姉さんがいきなりすっと起き上がって僕の前に立った。
「.........うへぇ〜っ.............きみかわい〜ねぇ..............♪
ちゅーしていい〜〜............??」
「.........わっ...........ちょっ.............!?!?!?
ち、近いっ....................いきなり寄りかからないでくださいっ..............///////」
.........かと思えば、いきなり僕の方へと倒れ込むように寄りかかってきた。
僕の胸板のあたりにものすごい柔らかさと弾力がずっしり伝わり、こんな状況だというのに顔が茹で上がるように真っ赤になってしまう。
「............うへぇ............も〜ガマンできな〜い...........♪
ちゅーしちゃお〜〜♪」
「.................ちょっ................やめ............!?!?!?!?!?
げほっ..............ごほっ............かはっ.........!!!!」
そうやって、お姉さんが僕の顔へと口を近づけ、酒気を帯びた吐息が僕の顔へと触れた瞬間............
喉が締め付けられるような、ひどく苦しい感覚が僕を襲った。
(...............こ..........これが.........................
もしかして、闇の魔力っ.....................!?!?!?!?!?)
あまりの苦しさに激しく咳き込んでいると、お姉さんがおろおろと心配そうに見つめてきた。
「...............ご、ごめんねぇ〜っ..............息.............くさかった............?」
「...........ぜぇ..........ぜぇ..............そうではないのですが.............その.................
お姉さんの息が顔にかかった途端..........ものすごく苦しくなって............げほっ.......げほっ.....!!!!」
間違いない。 この闇の魔力障害の原因は、まちがいなくこのお姉さんによるものだ。
今までまったく苦しくなんてなかったのに、お姉さんが吐いた息を少し浴びるだけでこんなに苦しくなるなんて............!!!!
魔法によって闇属性耐性が限界まで引き上げられた僕でさえこうなるなら、きっとほぼすべての生物は近づくだけで絶命してしまうだろう。
「..................ごくっ...........ごくっ......................ぷはぁ..........♪
ごめんねぇ............... このお酒、けっこうにおいがきっついみたいでぇ............ひっく♪」
新たにお酒の空き瓶をいっきに飲み干したお姉さんが、空き瓶をふりふりと手で弄びながら答える。
その空き瓶には、僕と同じような禍々しい紋様がしっかりと刻まれており、明らかに異質だ。
それに、そのお酒を飲んだお姉さんとその瓶の口から、匂いというか...........明らかに生命を脅かすオーラが出ている。
明らかに、普通のお酒じゃない。
「...........その.........お姉さん。
そのお酒................どういうものなんですか....................?」
僕がおそるおそる尋ねると、お姉さんは満面の笑みで答えた。
「........あー、これぇ?
なんか、よくわかんないけど親切なおねーさんがたくさんくれたんだよね〜!!! ちょーおいしいしめっちゃ酔えるし、まじさいこー!!!!!!! あはははは.............」
...............なるほど。
どうやら、お姉さんにこのお酒を渡した人物が...........今回の騒動の黒幕のようだ。
とにかく.........お姉さんがそのお酒を飲むのをやめさせなければ。
僕は真面目な表情でお姉さんの方を向き、真剣な表情で訴えた。
「..........お姉さん................お願いです。
このお酒、どうやら恐ろしい魔法がかけられているみたいです。
どうか...........いますぐこのお酒を飲むのをやめてくださいっ...............!!!!!」
「.................ええーーーーーーー..........................
...............あ!!そーだ!!!」
僕の訴えを聞いたお姉さんが嫌な顔をして、少し考え込んだあと...............
お姉さんは僕を思い切り突き飛ばし、倒れた僕の腰の上にまたがってどっかりと座った。
「...........どーんっ!!!! あははははは............♪」
「................うわあああああああっっっ!?!?!?!?
い、いきなりなにするんでs............!?!?!?!?!?!?!?!?///////////////////」
「............おりゃあーーーー!!!! ぐりぐりこーげきーーーっ!!!! あははははは.......♪♪」
お姉さんは僕の腰の上にまたがったまま、勢いよくぐりぐりとお尻を押しつけ始めた。
今までに感じたことがない異次元の感覚に、僕は意識が飛びそうだった。
「..............お酒ぇ..............飲むのやめてもいーけどぉ..................
いまから、きみがあたしにすっごーーーーーくたのしいコトしてくれるならいいよぉーーーーー♪♪」
「...........えっ............ふぇ..............っ!?!?!?!?!?///////////」
「あははははっ..........♪
たのしくて、きもちよくて、すっごいカイカンなこと............いっぱいしよっ♪♪」
「..........ええっ.............そっ.............それって!?!?!?」
楽しくて、気持ちよくて、快感なこと。
なら............僕がするべきことはアレしかない。
僕は覚悟を決め、きゅっと目を見開いた。
読んでいただきありがとうございました!!
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