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第二十三話 テンペスト・フェンリルちゃんのおねがい

数ある作品の中から興味を持っていただき、本当にありがとうございます!

宿の中に突如として超巨大な犬の魔物が現れたかと思いきや、その魔物の身体が白く光り輝いた。

これはいったい、どうなってしまうのか.............!?

「..............じゃーんっ!!!! 

 よーし!!! これなら、みんな怖くないでしょー!?」


僕の眼の前にいきなり現れた、緑髪のキレイなお姉さん。

無邪気にばんざいをするようなポーズをして、ドヤ顔で自分の身体をアピールしている。

............が、その格好はこの場でいちばん異質な存在感を放っていた。


「...........なっ...........なななな、なぁ............っ//////////」


眼の前のあまりに衝撃的な光景に、僕はおもわず顔を真っ赤にしてしりもちをつき、よろよろと後ろに後ずさる。


「........あれー? なんでそんな怖がってるのー?

 今はきみと同じにんげんだから、こわくないよー!!」


「............ひゃぁっ..........!!!! あ、あわわ.............///////////」


さっきまでワンちゃんだったお姉さんが、無邪気に僕の方へと駆け出してくる。

お姉さんとの距離が近づくにつれて、どんどんと心臓が爆発しそうなほどに膨らんでゆく。



「.........タヴァータくんっ!!! 今助け.............!?!?!?!?!?!////////////」


「............ちょ、あなた!!!! な、なんちゅーカッコしてるんスか!?!?!?!?」


「.......ひゃぁぁ.................////////」



僕を心配して駆け寄ろうとしてくれたナキシーさんたちが、僕とお姉さんの方を見るなりそろいもそろって顔を真っ赤にさせてひどく動揺している。


.............当然だ。だってさっきまででっかいワンちゃんだったお姉さんは..............




服を一切着用していない、生まれたままの姿だったのだから。











 数十分後。


「.......うん! なかなか似合ってるじゃないか!!」


「.........ちょうどジブンの予備の服があって助かったっスねー!!! とってもかわいいっスよ!!!!」


扉や窓を締め切っているはずなのに、急に宿に入ってきて眼の前でいきなり人間の女性の姿そっくりに変化した超大型の魔物。

あなたは誰なのか、なぜここにいるのか、どうやって入ってきたのか...........

などの謎はたくさんあるが、ひとまずひっじょーに目のやり場に困る。

............ということでひとまず、ナキシーさんたち含む女性陣が、お姉さんに服を着せてあげていたのだ。



「.........うう........きついよぉ...............

 脱いでいーい............?」


女性陣のみなさんが楽しそうに服を着せてあげているなか、等のお姉さんは心底不服そうに口をとんがらせていた。


..............まあ、たしかに........一箇所だけすごくきつそうなところはあるけど................


予備の服を持ってきていた女の人の中で一番胸のサイズが大きいハイコさんの上着のボタンが、今にも弾け飛びそうだ。


「...........すまない...........しばらくそれで我慢してくれ。

 

..........それで、いったい君は何者なんだ?」



ナキシーさんが、単刀直入にお姉さんへと質問する。

みんなが全員気になって仕方がなかった疑問を投げかけられたお姉さんは、その質問をにぱっとした晴れやかな笑顔をうかべて答えた。


「.............わたしはねー!!! この土地にずーっと前からすんでるんだー!!

 たしか、昔はみんなから............てんぺすと........ふぇんりる? って名前でよばれてたんだー!!!」


お姉さんが、胸をはって元気よくそう言い放つ。

その瞬間、僕とレム以外の全員が勢いよく叫んだ。


「............!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」


「.............てっ..........テンペストフェンリルだとっ!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」


「..................ええええええええええ!?!?!?!?!? な、なんでこんなところに神狼様があああっっっっっっ!?!?!?!?」


「...........ははぁ..........っ!!!! ありがたや..........ありがたや..........!!!!!!」




「....................おねえさん................だあれ?」



お姉さんの口から発せられた衝撃(?)の事実にみんな激しく動揺しており、中にはその場でひざまずいて祈りを捧げる人たちもいた。

そんなよくわからない状況の中、レムがきょとんとした顔でそう尋ねた。


「...............この女性は、私が生まれるよりもずーっと前から存在するとされている魔物でな。

 レムと同じく “ 神獣 ” の名前を授けられた非常に稀有かつ偉大な種族で、我が国の一部の地域では守り神として信仰されているほどの偉大な存在なのだ。」


同じくきょとんとした顔でその光景をながめていた僕も含め、ナキシーさんが心底驚いたように説明してくれた。


(............神獣.........ってことは、少なくともレムくらいの実力がある物凄い強い魔物なんだよなぁ..........)


僕がぼんやりとそう考えていると、ナキシーさんがお姉さんにひざまずいてこう言い放った。



「.........テンペスト・フェンリル様。先程の我々の無礼をどうかお許しください。」


それにつられて、その場にいた人たちも次々とお姉さんに向かってひざまずく。

そんな様子を見ながら、お姉さんはにっこりと笑ってこう言った。


「...........そんなに怖がらなくてもだいじょうぶだよー!

 さっきみたいに、もっとふつーな感じでしゃべってよー!!」


「...........は、はあ。 ありがとう..........ございます。


 ..............それで、君はどうしていきなりここに現れたんだ.............?」


ナキシーさんがおずおずと質問すると、お姉さんがまたもや胸を張って大声で答えた。


「..........ふふーん!! よく聞いてくれましたー!!

 ......じつは、そこのにんげんの男の子におねがいしたいことがあって............」




「............ええっ!?!?!? ぼ、僕ですか!?!?!?!?!?」


お姉さんが僕の方を指差すなり、この場にいるすべての人が僕へと視線を向ける。

いきなり話題の矛先が僕へと向いたことにひどく動揺しているなか、お姉さんは静かに自分がここへ訪れた詳しい理由を話し始めた。












 「..............なるほど。 つまり、僕にこの魔力障害の中心を調査してほしい............ってわけですか。」


「.....うん..........」


静かに話を聞いていた僕が、静かにうんうんと頷く。

お姉さんの話によると、この大規模な魔力障害の中心には、なにか明確な原因があるらしく...............

その()()()の調査を僕にお願いするべく、はるばるお姉さんの住処からこちらへやってきたようだ。


「...........きみならわたしのほじょ魔法がすごくききやすいし、いろんなお話をしってるから.............

 きっと、なんとかしてくれると思ったの!!」


そういって、お姉さんが瞳をキラキラと輝かせながら言い放った。

確かに僕は魔法耐性がすごく低く、補助魔法の効果も普通の人より何百倍も高い............らしい。

強すぎる闇の魔力が脅威となるこの問題において、その調査なら僕が最適解なのかもしれない。


僕にできることなら、ぜひ協力したい..........のだが。


「.........だめだっ!!!!! いくら君の魔法があるとはいえ、そんな危険な場所にタヴァータくんを連れて行くことはできない!!!!!!」


「...........そうっスよ!!!! タヴァータ先パイはなにで命を落とすかわからないか弱い生き物なんスから、魔法があったとて心配っスよ!!!!」


ナキシーさんたちから、猛反対の声が上がってしまう。

僕のことを思って言ってくれているのはわかるけど................こんなにはっきりと弱いと言われてしまうのは少し悲しい。


「........にんげんくんの安全のことなら、だいじょうぶだよー!!

 なんてったって、このわたしがついてるからねー!!!!」


「..................いくなら.................わたしも..................つれてって。

 パパが.............あぶなくなったら...................ぜんぶ.......................もやす。」


そういって、2人が勢いよく胸を張る。

神獣である2人が着いてきてくれるのなら、とても安心だ。


「.............っ...........だが........しかし..........!!!!」


ナキシーさんたちが煮えきらないような表情を浮かべている中、僕はみんなの方へと向き直っておもいっきり頭を下げた。


「..........お願いしますっ!!!!! どうか、僕にこの問題の解決をお手伝いさせてくださいっ!!!!

 みなさんのために出来ることがあるなら............僕、なんでもしたいんですっ!!!!!!」



そして、今できる最大の大声を出してナキシーさんたちへお願いした。


今まで助けてくれた人たちや、優しくしてくれた人たち。

そして、僕たちが命を奪ってしまった魔物たちのためにも.............


僕に出来ることがあるなら、なんでもやってみたい。




「.................................っ................!!!!!!!」


そんな僕の必死のお願いを聞いたナキシーさんが、美しい顔を歪めてさんざん悩みに悩んだ末にぼそりと呟いた。


「...................少しでも危なくなったら、すぐに空間転移魔法を使うんだぞ.........!!!!」



「.............!!!!! はいっ!!!!!! ありがとうございます!!!!!!!!」



その発言を聞いて、僕の顔がぱあっと明るくなる。


こうしている間にも、たくさんの人や魔物が苦しんでいるのだ。

僕は覚悟をがっちりと固め、こうしちゃいられないとばかりに早足で自分の部屋へと準備を整えに向かった。





読んでいただきありがとうございました!!

少しでも「面白そう!」「続きが気になる!」などと思っていただけたら、リアクションやポイントをつけてくださるとものすごく嬉しいです!!!

なにとぞよろしくお願いいたします!!

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