第二十話 はじめての女湯③
数ある作品の中から興味を持っていただき、本当にありがとうございます!
ついにお風呂場へと足を踏み入れてしまったタヴァータ。
しかし、そこでも数々の困難に見舞われるのだった..............。
ガラガラガラ・・・・
「.............っ!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
僕が大慌てでお風呂場に駆け込むと............
そこにいたのは、大勢を埋め尽くすほどのたくさんのお姉さんたちがいた。
どうやらこの世界のマナーでは女性同士でも全裸は見せないようで、湯船の中でも全員きっちりと胸のあたりからバスタオルを巻いている。
..............だけど、お姉さんたちの谷間や身体のライン..........そして、一部の種族にある突起などは透けて形がくっきりとわかってしまうのだけれど.........../////////
眼の前で起こっているあまりに奇想天外な光景に僕がドギマギしていると、なにやら視線を感じる。
.............どうやら、先にお風呂場にいたお姉さんたちが僕のことを見ているようだ。
(.............うう.............見られてるぅ..................!!!
そりゃあ、いきなり女湯に男が乱入してきたら驚くよなぁ................)
お姉さんたちの困惑も至極真っ当だと思うのだが.............
なにか、お姉さんたちが僕に向ける視線がなんというか..........じっとりと熱っぽい。
ある人は驚いて口を抑えながら........またある人はにやにやした不敵な笑みを浮かべながら、僕のことを凝視している。
まあ、気の所為だと思うけど。
「......................♪ ...........................♪」
「........レム。お風呂場で走ったら危ないぞ...........?」
僕がそんなささいな違和感を感じていると、後ろからナキシーさんと楽しそうなレムの声がする。
「.....あはは........すみません.........(くるっ)」
「.........っ!?!?!?」
僕が2人の方へと振り返ると、僕の姿を見たナキシーさんがぷしゅーっと顔を熱くさせながら勢いよく僕から目を逸らした。
その後、ナキシーさんがハッとなにかに気づいたような顔をして、大慌てでレムの背後に立ってレムに目隠しをしていた。
「...........ナキシーさん、どうしたんですか................?」
ナキシーさんの突然の豹変ぶりに困惑した僕が、おそるおそる尋ねる。
「......................そのー、タヴァータくんっ.............。
目のやり場に困るから、む、胸を隠してくれ.........!!!」
顔を真っ赤にさせて目を逸らしながら、蚊の泣くような声でナキシーさんがそうつぶやいた。
「.............すまない、タヴァータくんはまだこの世界のルールを知らないのだったな。」
「.........は、はい..............。 なんかごめんなさい.............?」
あの後、ナキシーさんに言われるがまま上半身もバスタオルで覆い直した僕。
なぜあんなに必死になっていたのかわからないまま、僕はナキシーさんとレムと一緒に洗い場で身体を洗っていた。
「......この世界では、本当に信頼のできる間柄..............それこそ、恋人や家族にしか、自分の裸は見せないのだ。」
ナキシーさんが恥ずかしがりながらそう教えてくれる。
.............まあ、恋人や家族にしか裸を見せないのは当たり前のような気がするけど.............。
「............だから、そんなに安易に乳首を晒して........上裸になるのはよせ。
.......タヴァータくんほどの美少年なら、なおさらだ..............。」
ナキシーさんの顔がまたもや真っ赤になり、蚊の泣くような声でそうつぶやいた。
「.................? なんで上裸になっちゃだめなんですか? ぼく男ですよ?」
僕がさっきから抱いていた至極真っ当な疑問を投げかけると、ナキシーさんが今日いちばんの大声で動揺しながらさけんだ。
「............なんでって............!!!
タヴァータくん、さっき私達の乳房を見て恥ずかしがって照れていただろう!!! そ、それと同じだっ..........!!!!! その感情に、男も女も関係ないっ..........!!!!」
ナキシーさんが、涙目になって顔をゆでダコのように真っ赤にさせながらそう言い放った。
..........もしかして、この世界は男も女も関係なく上裸になるのははNGなのかなぁ........?
「...........まったく.........。
初心なのかと思えば、たまにものすごく大胆な行動をするなきみはっ..............!!!!
もう少し、自分の魅力をわかってほしいものだっ.............!!!!!」
ナキシーさんがなにやらブツブツとつぶやいている。
確かに、僕の世界に当てはめて考えてみたら、女の人が町中で上裸でいるのは完全にアウトだ。
それがこの世界でも同じ感覚なのだろう。 ............うん、完全に不審者だ。
..............僕がこの世界のルールや法律を知らず知らずのうちに破っているかもと考えると..........想像しただけで怖くなってくる。
「.............ごめんなさい。 僕、知らず知らずのうちにみなさんを不快にさせてしまって..........」
申し訳無さでいっぱいになった僕は、ナキシーさんたちに精一杯の謝罪をする。
文化の違いで知らないうちに迷惑をかけてしまっているのは、やはり恐ろしい。
「..............いや、別に不快ではないのだがっ................
.....................!!?!? いやいや、今の発言は忘れてくれっ!!!!!!!」
ナキシーさんが、またもや顔を真っ赤にさせてあわてている。
................今日のナキシーさん、なんか変だな............疲れてるのかな?
「.........................よく...............わかんないけど........................
...................パパは.......................かぞくだから..........................
わたしは..................はだかでも.....................いい.................?」
レムが、きょとんと不思議そうな顔をして首をかしげた。
「............ごめん..........レム、それは勘弁してほしいな...............。」
レムの純粋無垢な心を、僕の薄汚れた心で汚したくない............。
僕はそんな強い思いを抱え、レムにはしっかりとした正しい知識を教えてあげようと強く誓った。
「..................はふぅーーーーー...............」
全身を包み込むあたたかでやわらかい感覚に、思わずきもちそさそうな声が漏れる。
あのあと、一足先に身体を洗い終えた僕は、だれも入っていなかった大きいお風呂へと向かってゆっくり浸かった。
カポーンと風呂桶の音が室内に反響し、それがなんともいえないいい感じを演出している。
やはり、どの世界も温泉はいいものだ。
そうやって、僕が目を細めながら異世界の温泉を堪能していると............
僕の後ろから、聞き覚えのある声が響き渡った。
「........タヴァータ先パイ!!! おとなり失礼するっす!!!!」
「.............タヴァータ様っ...........お、おつかれ、さまです................../////」
ハイコさんとメオナさんが、上機嫌で僕と同じ湯船に入ってきて.........僕のとなりに腰掛けた。
........いくらお互い身体にタオルを巻いているとはいえ、お姉さんと混浴するのはその............緊張がすごい............。
「..........いやー、先パイ..............さっきはひっじょーに眼福でしたっス!!!! あざっス!!!!
メオナなんて、いまだに顔真っ赤っかっスよ!!! 困ったムッツリさんっすよねーほんと!!!!」
「...........ちょっ............ハイコちゃんっ!?!?!?!?」
そういって、ハイコさんがけらけらと笑いながら話しかけてくる。
..........眼福なのはこっちなんだけど..............僕の上裸なんか見て、そんなに面白いもんなのかな?
僕がそうやってくだらないことを考えていると、ハイコさんがきらきらとした瞳で話しかけてきた。
「...........それで、先パイにいっしょーのお願いがあるんスけど............!!!!」
「.............あ、あのっ!!!! 勇者様のお話を.........もっと私達に聞かせてくださいっ!!!!!!」
顔が真っ赤になっているメオナさんも話に加わって、2人で “ まんが ” の勇者のことをもっと教えてくれと頼まれてしまった。
確かに2人とも、僕が主催したマンガの朗読会では最前列で見るために前日の夕方から並んでたし.............
メオナさんに至っては、勇者が好きすぎて全身の装備に勇者のイラスト(ガーネッコさん画)を入れているほどの大ファンなのだ。
僕の大好きな作品の魅力を伝えることができて、僕も鼻が高い。
「...........僕が大好きなマンガの魅力をわかっていただけて、うれしいです!!!!!
じゃあ、勇者たちの日常を描いたスピンオフ作品のお話をしようと思うのですが・・・」
「................?」
「................先パイ、すぴんおふ? って、何っスか..........?」
2人が、きょとんとして顔をかしげながら答える。
確かに、この世界ではそういうのはなさそうだ。
「.......スピンオフっていうのは..........
簡単に言うと、物語をよりくわしく知ることができたり.........キャラの新たな魅力を知ることができるサイドストーリーです!!!!
勇者たちのことをもっとくわしく知ることができて、僕も大好きなんです!!!!」
「............おおおぉぉぉぉぉ!!!!!! おもしろそうっス!!!!!!」
「....................!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
僕がそういって自信満々に伝えると、みるみるうちに2人の表情が輝きはじめる。
筋金入りのファンである2人なら、きっと気に入ってくれるだろう。
「.........勇者パーティーの何気ない日常が見れるのもうれしいんですけど、やっぱり本編では語られなかった勇者の過去を知ることが出来るのが...........ファンとしては非常に嬉しいんですよね!!!!」
僕がにっこりとそう伝えると、2人がひどく興奮してまくし立てるように口を開いた。
「..............た、たたたたタヴァータさまっ...............!!!!!!
そんな、誰もが知りたがるような情報................ 私なんかに教えてもいいんですかぁっ!?!?!?」
「...........そんなお話を聞けるんっスか!?!?!?!?
ジブンにも、是非教えてくださいっス!!!!!!!」
「................ふふふ.........!!!!
今日はトクベツですよ....................?」
「「..........................!!!!!!!!!!!!」」
僕が得意になって、鼻高々にそう告げると...........
その騒ぎを聞いたお姉さんたちが、どこからともなく僕のところへ集まってきて...........僕が浸かっている湯船の中に飛び込んできた。
「............タヴァータ様..........!!!!
そのお話、ぜひ私達にも..............教えてくださいっ..........!!!!!」
「........アタシも、勇者サマの大ファンなんだっ...............!!!!
お願いだよっ...............アタシにも、教えとくれっ!!!!!」
「.......た、タヴァータくん........!!!!
その話...........私にも、聞かせてはくれないだろうか.............?」
「...................わたしも.................... ゆうしゃさまのおはなし..........................
ききたい.......................!!!!」
僕たちの会話を聞いていたお姉さんたち(+ナキシーさんとレム)が、僕のまわりにぞろぞろと集まってくる。
みんな目をキラキラと輝かせて、大好きな勇者たちの詳しい話が聞けることを待ち望んでいるようだ。
「.............そ、それは大丈夫なんですが......................
みなさん、その..................... ち、近いですっ.................///////」
僕が、顔を真っ赤にして蚊の泣くような声でつぶやく。
お姉さんたちが、僕の周りをずらーっと囲むようにして食い入るように僕の話を聞いているのだが.........
バスタオルを巻いているとはいえ、ほぼ裸同然のお姉さんたちに囲まれては..........どうしても照れてしまう。
「............勇者の過去とは、いったいどういうものなのですかっ!?!?!?!?」
「........そもそも、今勇者サマたちはどこにいらっしゃるんだいっ!?!?!?」
「............あああっ.........♡ 今日はなんていい日なんでしょぅっ.........♡♡♡
タヴァータ様とお話できただけでなく、勇者様の詳しいお話まで語っていただけるなんて.......♡♡♡」
「............こ、こら! そんなに寄ってたかって質問をするな!! タヴァータくんが困っているだろう!!!!」
「.................あ、あの............ええとっ............!?!?!?」
僕の周りでひどく興奮したように質問攻めを繰り返すお姉さんたち。
視界のほぼすべてを埋め尽くす、圧倒的な肌色。
バスタオルの隙間から覗く、深い谷間。
僕の頭はもう、ショート寸前だった。
「「「「「「「「「「「「「「タヴァータ(くん)(さん)(さま)っ!!!!!!!! 」」」」」」」」」」」」」」
「.........は、はひぃ.........!!!!」
照れとのぼせでひどく混乱するなか、僕は目を回しながら力なく返事をするしかなかった........。
読んでいただきありがとうございました!!
少しでも「面白そう!」「続きが気になる!」などと思っていただけたら、リアクションやポイントをつけてくださるとものすごく嬉しいです!!!
なにとぞよろしくお願いいたします!!




