9話:海とお出かけ前編
7話ぶりの海君登場ですね!
本当は海君とのお出かけは1話にまとめるはずでしたが、予想より長くなってしまったので前編後編に分けました。 出番増えて良かったね海君!
僕の初配信から1日が経った今日、海と駅で待ち合わせをしていた。
「海遅いなぁ…」
もう待ち合わせの9時から10分過ぎているのだが…
「ねぇ…君可愛いね。僕とお茶しない?」
「え…?」
ぼ、僕?
「え、あの…僕の事ですか??」
「うん、そうだよ。君ボクっ娘?ますます好きになったな。だから僕とお茶しようよ」
大学生くらいの男の人が話しかけてきた。な、何を言ってるんだこの人は。
「ぼ、僕は男です!!それにお茶には行きません!!」
「あ〜… そういう嘘を吐かなくていいから…
君みたいな可愛い子が男な訳ないじゃん。いいから早くお茶に行こうね」
ガシッ…!
「い、痛いっ!」
こ、この人腕を掴んできた…! 離せない… どうしよう…
「お、お願いします、離してください!!」
「……」
やばい… このまま連れて行かれるのか…
うぅ…
「ちょっと、それ俺の彼女なんで手を離してくださいよ」
「あ??」
「え…?」
後ろから声がしたので振り向くと…
そこには冷たい目つきで僕を連れて行こうとした男の人を見ている海の姿があった。
「か、海!」
「なんだお前??俺が先に見つけたんだけど?手ぇ出すんじゃねぇよ!」
「お前話聞いてたか?俺の彼女だって言ってんだよ」
ミシミシッッッ!!!
海が大学生くらいの男の人の腕を掴むと骨が軋む音がなった。
「ぐッッ!痛ってぇ!分かった。分かったからもう離してくれ!もうどっかに行くから!!」
「くそっ」
ダサい捨て台詞を吐いて大学生くらいの男の人が去っていく。
「あ〜、大丈夫か?るい…」
「全然大丈夫じゃないんですけど?連れて行かれそうになったんですけど??てか、来るの10分遅いし… ねぇてか僕の事彼女って言った!?」
「ごめん、ごめんって!彼女って言ったのはつい咄嗟にだな… なんかデートに行く前に彼女がナンパされてる所を「そいつ俺の彼女なんで」って言って助けるシーンを小説で読んでかっこいいなぁって思ってなぁ…」
「僕でそのシーンを実際にやらないでよね!」
僕は今まで何回かナンパに会って海に助けられた事があるが、彼女なんて言って助けられたのはこれが初めてだ… びっくりしたよもう…
「分かったって… あぁ…それと来るの遅れたのは、朱里の世話をしなきゃいけなくてだな…」
「あぁ…朱里ちゃんの… なら別にいいけど…」
朱里は海の3歳の妹だ… 僕と海は幼馴染なので何回も家に行ったことがあるのだが、海の家は10人家族で人数がとても多い… お父さんは仕事に行っていて、お母さんは1歳の双子の世話をしなきゃいけないから、海が朱里ちゃんの面倒を見ないといけないのだ…
「僕も兄妹が居る生活に憧れるなぁ…僕一人っ子だし」
「兄妹が居ると大変だぞ…世話しないといけないし、うるさいしなぁ」
「賑やかそうでいいじゃん」
「いやもう賑やかなんてレベルじゃない」
「それは海の兄妹が多いし、皆元気なだけでしょ」
「まぁ…そうだな…普通の家はあんなうるさくねぇわ」
「それで…今日はどうするの?ここに集合ってだけで何するのか何も聞いてないんだけど」
「あ〜、今日は遊園地に行くぜ」
「遊園地??あの4駅先の?」
「そうだ。奢ってやるよ」
「なんで遊園地なの?あそこ結構高くない?ここら辺良いバイト少ないし、海の家って人数多いからお小遣い少ないっていつも愚痴を言ってくるじゃん。流石に悪いよ。」
「俺がジェットコースターに乗りたいからってのもあるが…お前昨日の配信で疲れただろ」
「あぁ…うん」
「まぁそのなんだ…俺もVTuberは最近観始めたばっかで詳しくは分からないけど… 女性を演じながらVTuberするのって大変だと思うしな…それに言ったろ、気分転換で遊びに連れて行ってやるってな!遊園地でパァッと遊ぼうぜ!」
「うん…そうだね。じゃあお言葉に甘えさせてもらうよ」
海君あらやだイケメン!




