58話:水着を買おう
朝ご飯を食べ終わった後、ベッドで寝転がっているとスマホが鳴ったので手に取った。確認をすると、どうやらアガットちゃんからラインが来ているみたいだ。
『水着を一緒に買いに行かない??』
ラインにはこれだけ書かれている。
……水着??
なんで水着なんか……あっ、そうだった。思い出した。そういえばこの前同期の皆で話していた時に、アガットちゃんが2期生全員で旅行に行こうって言ってたなぁ。海に入れる場所がいいって言ってたから水着が必要なんだね。
家には一応水着があるけど……折角だから新しい水着を買おうかな。アガットちゃんは水着を買うって言ってるけど、どこで買うのかな?
『いいよ、一緒に買おう。どこで買うの?』
『この前一緒に行った駅前のショッピングモール』
返信はっや。
送ってから5秒位しか経ってないけど。
……駅前のショッピングモールかぁ。あそこなら沢山お店があるから水着探しにはもってこいだね。
ピロンッ
『じゃあ今日の11時に駅前に集合ね』
「……え?」
アガットちゃんのラインを見て、僕は固まった。時計を見てみると今は10時だった。
……今日の11時に集合って、もう後1時間しかないんですけど!?
普通、当日の1時間前に集合なんて送らないよね。前日に連絡かせめて数時間前には送るでしょ!!
『ちなみに雌黄も来るから。荷物持ちとしてね』
……それも今言うのかぁ。
☆★☆★☆★☆★
「はぁ……はぁ……」
なんとか急いで準備をして、駅前に到着した。腕時計の針は58分を指している。
……よかった間に合って。走って来たし今日めちゃくちゃ暑いから全身汗だくだよ。
「るい、走っててすごい目立ってたわね」
ちゃんが周りを見渡しながら言った。僕も周りを見渡してみると、何人かがこちらをちらちらと見ていた。
……そっか。
駅前だから人が多いんだ。急いでて特に気にしていなかったけど、いざ意識しだすと恥ずかしくなってくる。
「まぁ、美咲が連絡したのが遅かったせいなんだけどな」
隣に座っていた尚樹は呆れたように手を振る。
「……だ、だって昨日るいに連絡しようと思ってたら眠くなっちゃったんだもん。起きたら朝だし、尚樹にはもう昨日連絡しちゃってたから……ごめんね」
「いや、大丈夫だよ。でも今度から余裕を持って家を出たいからもう少し速く連絡してね?」
「分かったわ!!」
美咲は何回も頷きながら抱き着いて来た。……本当にちゃんと分かってるのかな。
「で、なんで今日俺は呼ばれたんだ?駅前に11時に来てとしか連絡されてないが」
「もちろん荷物持ち……じゃなくて偶には雌黄と出かけた方が良いと思ってね!」
「お前今、荷物持ちって言ったよな??」
指の骨を鳴らしながら尚樹は美咲に近付いていく。……やばい、尚樹さんの優しそうな顔が般若みたいになってる!!美咲ちゃんが殺されちゃうよこれ。
「こ、今度旅行に行くときに水着が必要でしょ??だから尚樹も来てよかったと思うわ!!」
手を前に突き出して後退りながら答える。
声が震えてるよ美咲ちゃん。
「……はぁ、まぁ確かに水着を持っていないからな。呼ばれなきゃ買ってなかっただろうし、まぁいいか」
尚樹は顔に握っていた拳を下ろして美咲ちゃんから離れていった。
……命拾いしたね美咲ちゃん。
「じゃ、早速ショッピングモールに行くとするか。まずはどうするか?もう水着を見に行くか?」
「そうしましょ、まだお腹は空いてないし」
美咲と尚樹が歩き始めたので、僕も急いで着いていった。




