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57話:伯母さんのカフェ

「いらっしゃいませ…!」


岸田さんがカフェに入ってきた客にお辞儀をして接客をしている。僕はまだバイトをしたことなかったから今は岸田さんの接客を見てる勉強しているんだよね。…聞くこととかマナーは覚えたけどまだ実践できるかは分からないなぁ…

伯母さんに人が足りないからと言われてきたのにまだ接客出来ないのは迷惑だから早く出来るようになりたいんだけど…



「へい、るいくん!…そんなに焦らなくても大丈夫だぞ。俺なんかはこのカフェのバイトを始めて1ヶ月は接客のセリフもマナーも覚えれてなかったからな。でもなんとかったな。だから大丈夫だ」


「……流石に1ヶ月も覚えていないのはあれですけどね。…でもそうですね。焦り過ぎたら余計ミスをしそうな気がするのでもう少し落ち着いて練習しようと思います…!」



その後も僕は岸田さんや柳さんの接客を見て繰り返し繰り返し練習をした。







―――――――――――――――





「……ごゆっくりどうぞ、失礼します…」


「……うん!合格!!凄いねるいくん!まさかこんな短時間に接客とマナーを全て覚えられるとは!やっぱり頭良いからすぐに覚えられるんだね。…あの柳と津田なんかとは大違いだよ」



僕は今店の奥で時間を取って伯母さんに接客のセリフやマナーを覚えたか、出来ているか確認してもらっていた。…覚えるのが大変だったけどなんとか出来てよかったぁ。…まぁ実践で出来るかはまだ分からないんだけど。

というか柳さんだけじゃなくて津田さんも全然覚えられてなかったんだ…



「失礼な、私は2ヶ月で全て覚えられたじゃありませんか!」


津田さんは皿洗いをしていたところ僕達の話が聞こえたみたいでこちらを見ながら文句を言ってきた。……2ヶ月って柳さん以上だった……



「このマニュアルなんて普通はそんな数ヶ月も時間かけて覚えるものじゃないの!…そんなことより筋肉は早く皿洗いを終えなさい!」


「そんなこととはなんですか…!それに筋肉を馬鹿にしないでください…!!筋肉とは人間が持つ最高の美ですよ!それを馬鹿にされるのは許せませんね…!店長も筋肉を鍛えればこの魅力に気付くのに…」



……はぁ……この言い合いをずっと聞いてないといけない僕の身になって欲しいよ…伯母さんは鍛えても筋肉の魅力に気付くことはないと思うんだけどな…






「もう分かったから!今度筋トレに付き合うから皿洗いを終わらして!」


「…了解です!」



伯母さんがこの言い合いで先に折れて津田さんと今度筋トレをする約束をすると津田さんは皿洗いをこれまでにないスピードで磨いている。

…津田さん凄いなぁ…伯母さんに筋トレをする約束をさせるなんて…




「はぁ…筋トレかぁ…まぁいいか…えーっと…それじゃあるいくんは早速接客をしてもらおうかな。次入って来た客はるいくんが行こうか。京華ちゃんがるいくんを見ていてあげて〜!」


「了解しました〜!」


テーブルの片付けをしていた岸田さんは片付けを終わらせてこちらに歩いてきた。

…岸田さんに見られるのか…緊張するなぁ…




カランカランッ〜…カフェのドアの鈴の音が鳴りお客さんがカフェに入って来た事を知らせた。

…とうとうお客さんが来たか…ふぁ…落ち着いてまずはいらっしゃいませ!を言おう…!






「え〜…いらっしゃいま………え……!?!?」


 






「お〜、早速るいが接客してるのか!」



接客をしようとお客さんの顔を見ると海だった。…な、なんで海が…僕は海にバイトをするなんて…しかもここのカフェでバイトするなんて言ってないのに…!!



「お、驚いた顔してるな。…ちゃんとやってるか見に来てやったぞ!…なんでバイトしてるの分かったんだ…!!って顔してるな。…だってるいさ、普通に配信で伯母さんのカフェでバイトする〜って言ってたろ。俺るいの配信見てるから分からないわけないんだよな」


「……は、配信…!!」


そうだった…!海も僕の配信を観てるんだった!

…くっ…海に僕がバイトしてるところを恥ずかしくて見せたくなかったから言わなかったのに…!!



「んじゃ接客頼むぞ〜!」




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