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57話:伯母さんのカフェ

「よ〜し、これで大丈夫かな…」


今は7時、僕は部屋で外出用の服に着替えていた。今日は伯母さんのカフェで早速バイトする日なんだよね。


カフェのバイトなんて一回もバイトしたことない僕に出来るのか不安だけど頑張ろう…


伯母さんのカフェは確か駅をもう少し進んだところにあったよね。場所は少ししか覚えてないけど…まぁスマホ見ればなんとかなるか。それにいざって時には伯母さんに聞けばいいし。


というかカフェには僕と同じ高校の人がバイトしてるんだよね…多分知らない人だと思うけど仲良くできたらいいなぁ。まぁ僕から話しかけるのは無理だけど。



「って、もうそろそろ家を出ないとカフェに着くのが遅くなっちゃう!」



僕は慌てて準備を終えて家を出ていった。







――――――――――――――――






「う〜……緊張するなぁ…」



伯母さんのカフェに着いたはいいものの僕はカフェの前で突っ立っていて中には入らなかった。

なんか胡桃ちゃんと行った駅前のカフェはおしゃれな感じで入りにくいなぁって思っちゃうけど、伯母さんのカフェは本格派って感じでこっちも入りにくいんだよね…緊張してるし。


というか僕伯母さんのカフェに行くの初めてだしなぁ。う〜…どうしよう…



「……でもこのままここにいても無駄に時間が過ぎるだけだし、待たせるのも悪いから…よし、入ろう…!!」


僕は気合を入れてカフェのドアに手をかけた。



「…失礼しま〜す…」


うぅ…あっ…でもなんかコーヒーのいい匂いがする。まぁそれはカフェなんだから当たり前なんだけど…



「は〜い!あ、バイトの方です…って、中村るい先輩じゃないですか!!」




「…えっ…!?」



緊張して少し俯きながらカフェの中に入ると聞き覚えのある声に名前を呼ばれた。えっ…!?僕の知り合い…!?っとびっくりしながらも僕は顔を上げる。






「…き、岸田さん…!!」



顔を上げて前を見るとそこには漆黒に染まったなめらかなストレートの髪に凛々しい瞳、整った鼻に薄赤色の唇で誰が見てもイケメンと言うほどの容姿をしている人が立っていた。

岸田京華さんだ。女子だけど学校のイケメンランキング1位になっている…


そういえばこの子僕を食べちゃいたいとか言ってたよね……




「ん〜…?先輩なんですか?そんな目でこっちを見て。…もしかしてこの前食べちゃいたいとか言ったのを気にしてるんですか?」


「…えっ!?…いや、全然気にしてませんけど…??」




「あはっ!先輩はやっぱり分かりやすいですね。本当に食べちゃってもいいかもな〜」



「か、からかわないでよ!!」


ど…どうして考えてることが読まれたんだ…この子もしかして…




「君たち、時間がないんだからいつまでも話をしてるんじゃないですよ!こっちで準備をしてるんだから手伝ってください」



そう言いながらこの人は僕らがいるドアに近づいてきた。……この人の声も聞き覚えがあるんだけど……




「……って、怪力王津田じゃん!!」



僕らに近づいてきたのは体育祭で海と戦った怪力王津田だった。伯母さんのカフェで怪力王も働いてたんだ…というかカフェの服装が絶望的に似合っていないよ…筋肉がありすぎて服がぱっつぱつになってるもん。



「むっ…??きみは…確か海の幼馴染だった…るいくんですね。…それとここで怪力王と呼ぶのはやめてください…学校外で呼ばれるのは恥ずかしいですから。私の名前は津田向陽です。なんと呼んでもかまいません」


「あ、分かったよ」


今度から津田さんと呼ばせてもらおう。…津田さんって学校外で怪力王って呼ばれるの恥ずかしかったんだ。…学校じゃ平気なんだね。友達が居るからかな…



「ちょっと今忙しいからるいくんも準備を手伝ってくれないですか?服は後で着替えれば大丈夫ですので」



「う、うん…!分かったよ!」


まさかこんなに早く仕事をするとは思わなかったよ。…なんか最初に色々説明するのかなって思ってたけど…頑張ろう…!!



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