55話:私
アガットちゃんのチャンネル登録者数10万人突破記念配信からまた何日か経過していた。
今日は学校は終業式で明日から夏休みになるんだよね。それで今は体育館で終業式が終わったから担任の山本先生の話を教室で聞いているところだ。
「お前ら夏休み中は課題を計画的にやれよ〜。最終日まで遊びまくって課題何一つ終わってませんって奴が居たら頭引っ叩くからな」
「え〜?そんな人居ないんじゃないですか…?」
「流石にねぇ…」
「お前らお調子者二人に言ってるんだがなぁ…!!二人共去年課題全くやらずに学校来やがって。2年に上がれたのが奇跡だよ。お前ら二人共今年は進級出来るか分からないからしっかり課題やってこいよ」
「「は〜い!」」
………この適当な返事は絶対やる気がないね…二人は課題も全く出さずにどうやって進級したんだろう…意外と良い点数取れてる教科があったのかな。
「ま、私からの報告は以上だ。夏休み健康に注意して安全に過ごせよ。あと一日中家の中にいて運動不足になるな。二学期の体育で地獄を見ることになるぞ〜。まぁあとは友達と遊んだり家族と出かけたり楽しめよ。じゃあ解散〜!」
そう言って山本先生は教室の扉を開けて出ていった。
……………はぁぁぁぁぁ…!!!!!明日から夏休みだぁぁぁぁ…!!!というかもう夏休みとか時間が経つのが速すぎるよ…ついこの間まで僕は1年生だったのになぁ。
「あっ…!るい、今日このあと予定開いてるか…??」
自分の席で考え事をしていたらいつの間にか海が僕の席に来ていた。
ん〜と…今日のこのあとの予定か……
えーっと…今日は配信がないし、雌黄とのゲームの練習もないから…
「うん、予定開いてるよ!」
「ならこのあと駅前のショッピングモールでゲーム買おうぜ。久しぶりに行きたいなぁ…と思ってさ」
……ゲーム……僕も新しい育成ゲームとかまた見てみたいしちょうどいいかも。
「うん!行こっか!」
「じゃあ一回家帰ってから駅で…12時に待ち合わせな!」
「おっけ〜!」
―――――――――――――
僕は校門で海と別れて家に帰った。
服装はこのまま制服で……
いや…せっかく出かけるんだし…制服はやめとくか…じゃあ何着ようかな…
う〜ん…なら今日はこの胡桃ちゃんに選んでもらった赤色のカーディガンに白いズボンを履いていこうかな。
今までの僕じゃ流石に外へはこの格好で行かなかっただろうけど、もう気にしなくなったからね。まぁ…少し見られると恥ずかしい気持ちは残ってるけどね…
僕は着替え終わったので早速家を出るために1階へ降りた。あ…そうだった…!!お母さんに今日はお昼ご飯海と食べるからいらないこと言うの忘れてた…
と、思ったらちょうど洗面所からお母さんが出てきた。…良いタイミング…!!
「あっ、お母さん!昼は海と一緒に食べてが来るから今日はいらないや!」
「あら海ちゃんと…?分かったわ。……あ〜…だからそんなに張り切った格好してるのね。応援してるわ…!るいちゃん頑張ってね!」
「は、はぁ…!?…だ、だから僕と海はそういうのじゃないって…!!何回言ったら分かるのお母さんは!!…もう!行ってくるから…!!」
「はいはい、いってらっしゃ~い」
僕はお母さんに見送られながら家を出た。
全くお母さんはどうして僕が海を好きみたいに扱うんだろう…??確かに好きだけどそういう好きじゃ………な、ないのに…
……ん〜………!!なんかモヤモヤする……
はぁ…速く駅に行こ!
そして歩くこと数十分…
駅に着いたので僕は噴水で待ってることにした。海はまだ着いてないみたいだ。まぁ海の家は僕より遠いから仕方ないよね。
それにまだ11時30分だし…少し速く着きすぎちゃったかな…でもお母さんがああいうから悪いんだよ…!!
……はぁ…まぁお母さんが冗談でふざけて言ってるだけだろうし気にしなくていいか。
………で、海が来るまでどうしよう…暇だなぁ…
あっ…!じゃあ誰かVtuberの配信でも観ながら待ってようかな。ん〜と…今配信してるのは…エターナルの子が…赤蛇ちゃんか…じゃあ赤蛇ちゃんの配信をみよ…
「ねぇ君、可愛いね!そこで立ってるってことは今暇なの?僕とお茶しようよ!」
「……え?」
な、ナンパ…??




