52話:君はVtuber
「い、今なんて…??」
き、聞き間違い……だよね…??い、今凛さんが僕をアザーちゃんって……え??…
「…さっきるいくんが「凛さんってさ………菜乃葉ちゃんだよね?」って言って思い出したんだけど、るいくんってそういえば図書館の時に菜乃葉ちゃんとコラボ出来てよかったって言ってたよね…それに私がアザーちゃんの話題を出すと恥ずかしがったり避けたりして…エターナルファンのるいくんがそれっておかしいよね」
「……っ…!?…う…うぐぐ…で、でもアザーは女だよ??だから僕は違うから…」
ほ、本当に僕がアザーって疑っているみたいだ…凛さんは…さっきまで正体がバレそうになって慌ててたのになんで急にそんなこと思い出したんだ…!!
「そうなんだけど、実際に聞いてるのは声だけだからね。女の子みたいな声が出せるのなら女の子だって言えるし…それこそるいくんが好きな水原MAKIちゃんだって男だけど女の子みたいな声してるでしょ??…うん…るいくんってよくよく聞くとアザーちゃんの声に似てるよね」
「え…う…あ…」
「それに普通この急に聞かれた状態で自分がアザーちゃんじゃないと否定するなら「私はアザーじゃない」って言うと思うんだ。けどるいくんは「アザーは女の子だから違う」って言ったよね。わざわざそこを気にしてるあたり怪しいよね」
「あ…あわわ………」
「ねぇ………るいくん……もう一回聞くけどるいくんってアザーちゃんだよね??私は冗談で聞いてないよ」
「…………こ、降参します……」
流石にここまで言われたらもうバレてるようなものだから言うしかないかな……
「…やっぱりるいくんがアザーちゃんだったんだ…!!」
「…うん…でもよくあの状態で僕がアザーだって分かったよねびっくりしちゃったよ…ただでさえ凛さんが菜乃葉ちゃんだって分かってびっくりしてるのに…」
「え……??…わ、私が菜乃葉だってバレてたの……!?!?」
「いやこの会話をしてる時点でバレてるでしょそりゃ!!」
逆に気付かれてないとでも思ってたの…!?
凛さんが僕がアザーって気付いた時点で凛さん
も自分がバレてると理解したと思ってたのに…
凛さんって鋭いけど自分のことに関してはドジだよね…だって僕の前で平気にコラボまたしたいとか言うし…
まぁコラボできてよかったは僕も凛さんの前で言っちゃったんだけどさ…
「……でも未だに凛さんが菜乃葉ちゃんだなんて信じられないもん…推しが同じ学校の同学年で同じ委員会だなんてさ…」
「うん…るいくんがアザーちゃんなんだもんね…」
「…というか凛さんは僕がアザーだって分かって何も思わないの…??僕は女だって偽ってVtuberをやっていたんだよ…」
もし僕が菜乃葉ちゃんは実は男だって分かったら推すのは変わりないだろうけど少し思うところはあるし、裏切られたとも感じちゃうし…
それに男の僕が女の子を偽ってVtuberをやっているなら気持ち悪い…って思われても仕方がないと思うんだ…
「……ん〜…まぁそれはびっくりしたけどさ。たとえアザーちゃんが男だったとしてもアザーちゃんはアザーちゃんだからね。…男だったのが分かったって推すのは変わらないよ!それにるいくん可愛いからほぼほぼ女の子のようなものだし??だからるいくんが女の子を偽ってようが何にも思わないかな〜!」
「そ、それはそれであれだけど……」
「ん?るいくん照れてるの…??可愛いって言われて照れてるの?それはもう女の子のようなものだよるいくん…!」
「う、うるさい!」
「ちょっ…叩かないでよぉ!冗談でしょ冗談…!……まぁ私はアザーちゃんがるいくんだって分かっても推し続けるからね。というかるいくんだって分かってもっと推したくなったから!推しが近くにいるなんて幸せだし!」
「ぼ、僕も菜乃葉ちゃんを推す気持ちはこれまで以上にあるから!!」
「ん〜??それって告白かな?」
「違うから!!というかだったら凛さんだって告白してることになるでしょ!!」
なんか凛さん僕がアザーって分かってから凄い態度が変わってない…??
「あははっ!そうだね。まぁこれからもよろしくね。るいくんとしても、アザーちゃんとしても」
「うん……!これからもよろしくね!」
「あっ!…じゃあ今週早速コラボしちゃう??雑談配信とかしたいな!」
「いいね!じゃあ今からワタアメ募集しちゃおうか!!」
この後は図書室でずっと配信のことを話していたのだけど下校時間になったから帰ることになった。
…最初は凛さんに僕がアザーちゃんだってバレて終わった…と思ったけど結果的にバレてよかったのかもしれない。
……今週の配信も楽しみだな。




