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46話:海と秋葉原へ

「………」


なんか琴葉さんが慌ててるところを見てるとこっちが冷静になってきたよ…


「も、もちろん付き合ったことはありますよ…?恋愛経験豊富ですからね…私は学生時代モテモテでしたから…だから…」


「はむっ…んんぅ〜!やっぱりスライムパフェ美味しいなぁ〜」


今は琴葉さんに対して何も言わずにスライムパフェをゆったりと味わって食べている。

琴葉さんは未だに関節キスで慌てて話してて、こっちの話を聞かないから放置しているんだけど、なんかいつの間にか関節キスに照れてない話じゃなくて学生時代モテモテだった話をしているし…

流石にそろそろ正気を取り戻させたほうがいいかな。



「あ〜…食った食ったぁ……クラーケンの足美味しかったぁ…満足したわ。量もちょうどいいしまた食いに来てぇなぁ」


「そうだね、スライムパフェも美味しかったし、他に気になるメニューもあるからまた来たいね。それにコスプレのクオリティーも凄いし」


「ですね。まるで本物だと勘違いするレベルのクオリティーですからアニメ好きにはたまらないですね。私もこのお店にハマっちゃって月に3回以上は来ています」


「月に3回以上も……っていうか琴葉さん正気に戻ったんですね…!自然に会話に参加してきたから一瞬分からなかったんですが」


「私は元から正気です。関節キスで照れる女ではないですから。それとも私は誰からもモテたことがない非モテ女って言いたいんですか?」


「……そこまでは言ってないんだけど…」


「琴葉さんはそんなに気にしてたのか…」


「気にしてないです」



―――――――――――




その後は3人でアニメやVtuberの話しで盛り上がりながら他に頼んだ料理を食べていた。


海が追加で頼んだゴブリンの肝っていう料理を頼んで食べていたから気になって僕も食べてみたけどこれも美味しかった…

完全に見た目が不味そうでも実際は美味しいってすごいよね…絶対自分一人だったら頼まないし気付けなかったよ。


だけど琴葉さんが頼んだオークの牙の盛り合わせは美味しくなかったなぁ…

絶対ゴブリンの肝よりは美味しいって思ってたのに…もう料理の見た目を信じられないよ…



「ん、もう15時ですか。そろそろ本社に戻って配信の準備を進行しないといけないので私はもう帰ろうと思います」


「配信の準備ですか…?」


「はい、2期生のです。内容はもうすぐお伝えしますので。」


「2期生で本社でコラボかぁ〜…歌上手選手権ぶりだね。楽しみだなぁ…」


「詳しい内容は言いませんが、体を動かすのもありますので運動しておいてくださいね」


「う、運動…」


体を動かす配信って何をするんだろう…

運動苦手すぎるから絶対無様な姿をさらしそう…

明日から少し走り込みを始めようかな。

何日続くかは分からないけど。


「じゃあ帰りますね」


そう言って琴葉さんは席から立ってお会計をしに行った。

僕たち三人分のお金を払ってお店から出ていったよ。 

最初は僕達の分も払ってもらうのは申し訳ないから断ったんだけど琴葉さんがいつか私に奢ってくれって言ってたから言うのをやめた。



「僕達もそろそろ帰らなきゃね」


「おう。じゃあ俺達も店出るかぁ」


僕達もお店から出た。

もう行くお店もあまりないし良い時間になったので僕達ももう帰ることにした。


少し待っていたらすぐに電車が来たので乗った。朝に比べたらめちゃくちゃ空いていて席にも座れるスペースがあるくらい人が居ない。

朝もこれくらいの人数だったら楽なんだけどね。




僕は電車に揺られながら今日の事を思い出す。

自分の意志で女装して初めて街を歩いてみたけど、意外と平気だったな…

もちろん視線を感じて少し恥ずかしかったけど、それだけだし…


やっぱり気にしすぎていたんだなぁ…って思ったね。


今度からは休みの日はたまにこの格好で出かけるのもいいかもしれないね。

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