46話:海と秋葉原へ
「もう1時だな、そういえば昼はどうするんだ??」
街中を歩きながら海が聞いてきた。
……そういえばお昼ご飯をどこで食べるか考えてなかったな…
そこら辺で食べればいいかって思ってたけどここら辺のお店はメイド喫茶とかそういう系のお店ばっかで少し入りにくいんだよなぁ…
どういう感じか興味はあるんだけどね。
「……」
「その感じじゃ決めてないみたいだな。ん〜…どうしようか…あっじゃああそこの店はどうだ?」
海が指さした方を見てみると「アニメコスプレ喫茶」と書かれた看板があるお店があった。
「アニメのコスプレをした人が店員の喫茶店らしいな。るいはアニメ好きだしいいんじゃないのか?今、お腹が空きすぎてるってわけじゃないしあんまりこういう店に入ったことないから気になるし」
「…うん、確かに」
アニメのコスプレをした喫茶店は気になるね…
僕の好きなアニメのコスプレをしている人も居るかもしれないし、こういうお店はいつもじゃ行けないからね。
「じゃあここにしようか!」
早速海とお店の中に入ってみたんだけど…
「……おぉぉ」
凄い…まず驚いたのがコスプレのクオリティーだ…一人一人のコスプレの完成度が高すぎるよ。あのキャラが実写化したらこんな感じになるだろうなぁって顔してる…
衣装も本物みたいに細部までしっかり作ってあるし本物のようにしか見えない。
それに色んなキャラのコスプレをした人が居るんだけど皆馴染んでるんだよね。
現実世界のキャラと異世界系のアニメのキャラが一緒に居たら違和感を覚えると思うけどここじゃ全然気にならないよ…
それは周りの壁もだけど現実世界の景色と異世界の景色が一緒に混ざっているのに違和感を感じない…どうなってるのかな…
「お客様こちらへどうぞ〜♪」
ぼーっと周りを見渡しているとエルフの格好をした店員さんが僕達を席に案内しに来た。
このエルフは僕が前見ていたアニメのキャラの!…アニメの大人っぽいお姉さん感がしっかり出せてるよ!凄すぎる…
「おい、るいぼーっとしてないで行くぞ」
「……んぇっ…!?あ、ごめんごめん…すぐに行くね」
ついついぼーっと見てしまうレベルにこのお店は凄いよ…
というか僕さっきから凄いよしか言ってないな…
「注文が決まりましたら呼んでくださいね♪」
「分かりました。…いや〜、店員のクオリティーが全員高いな。アニメ観始めたばっかだから何のキャラかは分からない人が多いけど」
「うん…まさか現実で僕の推し達が一緒にいるところを見られるとは…ここのお店に来て本当によかったよ!海がここのお店に行こうって言ってくれたおかげだね!」
「おう、俺もまさかここまでクオリティーが高いとは思ってなかったがな。それより注文はどうする?…ってなんだこの料理…スライムゼリー?」
「そのスライムゼリーは先月一期が終わった異世界アニメのデザートだね。こっちは失敗作のカレー…これは恋愛アニメに出てくる幼馴染が作ったカレーだね。アニメに出てくる料理もあるんだここ…!」
「へぇ〜、そうだったのか。というか失敗作のカレーって誰が食うんだ…?絶対美味しくないだろ」
「たとえ美味しくなくても幼馴染ちゃんが作ったカレーは食べてみたいものなんだよ…」
「ここの店員が作ったんだけどな」
「それは言っちゃだめなやつだから!海は本当に夢がないね」
「俺はその気持ちが理解できる日は一生来ないな…で、何食う?色々あるけど」
「ん〜…僕はこれかなぁ。スライムパフェ。アニメで観てたときからこれ美味しそうだなぁって思ってたんだよね」
「じゃあ俺はクラーケンの足を食おうかな」
「いや失敗作のカレー並に美味しくなさそうだけどねそれ。クラーケンの足こそ誰も食べそうにないけど…」
「俺がちょうど観てるアニメに出てくるからな。少し気になっちまったよ」
「もうそれ気持ち理解できてるんじゃないの…」
店員さんを呼んで注文を頼んだ。
今度はリザードマンの格好をした人が来た。
作りものに見えない…もう本物だよこれ…!
「やっぱりクラーケンの足やめとけばよかったかも」
「食べる前から言うのそれ…」
そう言うなら最初から違うのを選んでおけばよかったのに…絶対美味しくないもん。
「うへへぇ〜…いいなぁ…あぁ〜…この角度から見るのもいいなぁ…うわぁ〜頭撫でないなぁ…可愛いなぁ…!頭撫でたいなぁ…1000円払ったら撫でさせてくれないかなぁ…」
……なんか後ろの人が凄い撫でたいばっか言ってるんだけど…そんなに幼馴染ちゃんの事が好きなのか…
でも確かに幼馴染ちゃんは可愛いからなぁ…成績優秀でスポーツ万能なのに不器用で主人公のために料理を作って失敗しちゃうドジなところが特にいいんだよね。
……ん??というか待って…この声なんか聞いたことがあるんだけど…
そう思って振り返ってみると…
「………って琴葉さん……!?!?」
「ふぇっ…??……る、るいさん…!?!?…ってうわぁぁ…!!」
振り返って確認してみると幼馴染ちゃんに向かって撫でたいと言っていたのは僕のマネージャーの琴葉さんだった…
琴葉さんは幼馴染ちゃんを見ながらニヤニヤ笑っていたが僕に声をかけられてびっくりして、デザートを食べようと持っていたスプーンを皿に落としていたよ…
な、なんでここに琴葉さんが…




