18/20
最初の言葉
わたしが小説を書くなら
わたしの切片を書こう
あるいは訪れた世界の切片との出会いを
膨らんでいく人物たちの空想を
叶えられなかった憧れの喪失を
願い続ける晴天の連続を
嵐の夜の心細さを
それでも
例えば
詩
ラフマニノフ
ピアノ協奏曲
第二番ハ短調作品十八番
流れるままの言葉の羅列として
意味から離れ共に現すものとして
わたしは演奏者でなく聴衆でありたい
饒舌に語らう美しい音符の羅列よ
ホールを埋める嘆息の香りよ
鳴りやまない拍手は常に
消えゆかない余韻の後に
湧き上がるように
躊躇いがちに
最初の言葉は
訪れる




