3(3/9)-発明ちゃれんじ!後編-
###22
というわけで、食事後……
ディスクデバイスと魔導ガラスの方面に話は向けられて、
「内部アプリケーションを、いちからつくらないと!」
ということらしい。
「デバイスの規格を既存の先発機種のと合わせたら、
その上で大手の会社の、中身のアプリ等は既存のが使えるのかな?と思っていましたが、けど、
エルトール国営とか、国内の企業とかのでめぼしい会社は、
無かったと思うので…
パテントの兼ね合いがどうなるかこわいので、
いっそ、自作してみよう!と思いましてっ!
でもっ! いきなり急に環境が揃ってしまったので、
心の準備と言うか、気持ちが焦ってしまってっ、
あわわ、はわわ!?
あふ、…」
あらあら、あたまから湯気ふいとる…
「!」
その時、
ルーは天啓を得た! という表情となって、そして、
「そうだ、納戸に行きましょう。」
ん?
* * * * *
というわけで…向かった先は、
ルーの屋敷のその直ぐ側の、“納戸”…
「まるで、なにかの格納庫みたいな納戸やなー…」
「むかし?は、本当に、魔王帝国の鬼車や飛空機の格納庫だったそうですよー?」
へ、へえ…?
「納戸の中の、たしか、このあたりに…
!あった、ありました!」
おおっとこれは、見るからに古びて古ぼけた魔導書、ってやつやな…
それが、何冊も。
これは?
「これに、いわばユウタの世界で言うところの、
ソースコード、それが載っているのです!」
ほぉ!?
「複写品とはいえ、かつての魔王帝国が実際に使っていたものなのです!
ならば、
これを元に作れば、手堅いものができる、そのはずです!」
魔王帝国の、かつての遺産…
今流通している人類製のものは、
かつての魔王帝国の開発・製造・販売・流通・保守、これらがなされていたかつての産物の、
そのデッドコピー未満のものである、
つまり肝心なのは、それであるので、
つまるところ、大本のファームウェアなどの、著作権は無いものも同然、と。
「理屈の上ではそうなのですけどね?
けれど、うーん!
ボクの魔導ブローチの処理能力が限界で、
リアルタイムでの言語翻訳に、ラグができちゃってるよぉぅ〜?!
それに、
人間の言葉に翻訳したものだと、原義との照らし合わせの手間で、煩わしいよぅ!?
そ、それなら、…
ボクは、ボクの異能を、つかいます!!!」
ちょっち、まて!?
「てやーぁ!!
(わが愛し児よ、それで正解だ)
あれ…なんだろ?今の声…?」
……あれ、あれ?
わ、わ、わ!?」
?!
ルーのからだから、無数の煌めきと輝きが、“いままで封がされていた”栓が抜けたかのごとく、あるいはバーストを起こしたように…
閃いて、溢れ出してきた。
数十秒かかって、ゆっくりと……そのきらめきが収まった後…
「…あ、ぅ、?
なんだろう、すらすら読めちゃう。」
ん?
「人間の言葉よりも、ボクの…僕の…からだが…
わかってきて……
ユウタ、こわいよぅ、
ボク…どうにかなっちゃいそう…」
俺は硬直した。
今のルーの様子は、……
ときめく鼓動は高鳴って
息が上がり、上気した顔の赤らみが、その頬を染めさせていて…
「ユウタ…」
「まて!」
「…?
あ、あわ、はわわ!!」
この日のこれからずっと後になっても思い返すわけさ。
まさか、ルーが“それ”の係累としての、その片鱗が見えてきて出てしまう、
その前触れ、であったとは……
これが記録に残る限りでの、
アヴトリッヒ内製の、スマートデバイス、
第一号のそれの完成となった。





