(4/4)-シャンプーとひみつと編んだ髪…-
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「んでよー、」
……異能ってのは、なんね?
あ、あぅ!?
…そうでした…
ボクは、隠さないと、いけないのに…
「あ、あの、実は、ボクは…
ユウタに、隠していたこと、が、ひとつ、あって…」
…おふろから上がりたてというのもあっただろうし、
ドライヤーの熱風で顔やあたまが、火照ったように温まっていた、ということもあるでしょう…
そんなときの、
ぼうっとした頭だからか、言いたいこともいえないことも、かえってつらつらと言葉になりました。
ボクは、ユウタに、うそはつきたくない!
…………異能、? アビリティ、ってことか。
「なにか秘めたものを持っていてはある奴だとは思っていたが、
まぁさか、どストレートに、そういう方向だったのねー…」
あくまでもついで話を聞いている、という具合に、
ユウタはルーの髪をドライヤーで乾かせながら……
「……あ、あぅ、ぁぅ、あうっ……」
一方のルーは…
…プレッシャーによって、内心が破局状態を来していた。
( やっちゃった…!!?)
やっちゃったよぅ、ボク?!
おじいさまにも聞かされてきたの…
エリルリア伯母様とボクのおかーさまが、
すぐれた才能のせいで、
ちっちゃい頃、帝都での生活で、
不気味がられて…恐れられて…
その上、ただの才覚というそれで、そんな扱いだったのに、
ボクの、“呪われた異能”、これだったとしたら……
……
ボクの異能…
こわい、よね、
バケモノだよね…
ボク、ユウタに嫌われちゃうのかな?!
やだよ、やだよぅ!そんなの…やだよー!
「かぁー! ……」…ゆうたはドライヤーを温風から涼風に切り替える手順を手でしながら、…
ぇ、ぇぅ、…
「すごい!!!」…かちっ、と送風の風を再び、ルーの髪に当て始める…
はぅ、? ぐすっ、ぐしゅん、ぐすっ、?
「すげえ。
すげえじゃん!ルー(おまえ)!
やっぱ、異世界とくれば異能力!そうこなくっちゃな!」
すごい、?
すごい、の?ボクの、この、異能…呪われた力…
「ああ、
何度でも言ってやるぜ。
すごい!」
あは、えへ、えへへ…/////
ユウタは、とてもすごい方ですね…
ボクのこと、
ボクのこと、すごい、って!
なみだがでてきました…ボク…
けど、けど、けど………
ぐず、ぐすっ、ぐしゅっ、ずすっ、…
「でもよお、ひいき抜きに、すっげーぜ!
そーだよな、
こうなると、本物の異世界ってやつだ…
まさかこんな身近に、そのユニークスキル持ちが現れてくれたとは!」
「あ、ぁ、あぅ、/////
そしたら、ボク、ユウタの友達で、いても、いつづけても、いい、の、? ぐしゅ、ぐすっ……」
「そらそうよ!
ま、泣きべそちゃんには、そこらへんでバイバイしとき…」
「ふ、ふえぇ、ぐす、ぐしゅ、……/////」
ユウタは、たくさんのティッシュ紙を、ボクに渡してくれて、
ユウタの手が、ボクの顔の鼻水やなみだを、拭き取ってくれました…やさしい感触で……
「誰の許可が必要なんだってんだ?
もし神様が決めてるってんだら、
俺はそいつにファッキューサインを決めてやるぜ!
ルーのそれって、いわば個性じゃん。
それも、めちゃくちゃすげえやつ!
まあ今までに、確かに嫌だったり、怖いこともあったり、
あるかもしれないけど…
でもよぉ、その力はすんげーぞ!
その力が本当なら、俺の知ってる限りでも、
世の中には、応用で楽しめるテクノロジーや遊びや、やれることがある!!! いっぱいな!!!!
それを使って、これからは楽しんで、
人生を面白おかしくエンジョイしていこうぜ!」
そしたら、っ、
な、なに、なにを、すれば、いいか、なっ!?
「んー、冴えた答えではないだろう…けど、ものづくりとかどうだ?」
ものづくり、…
「そう! 原理や構造や形状が一瞬で解析できるなら、
それが心強い!ってなるような、そういうジャンルさ。
んで、工作、とかどうだ?
たしか、おまえ…ルーは、手先が器用だよな……」
こうさく、
「なんなら、
発明、なんてのもできるかもなー?
まあこれは、一朝一夕には難しいけどよ……」
はつめい、
はつめー、!
「まあなあ、
…なんか、無責任なことばかり言っちまってごめんな、ルー
。要約というか意訳? の言葉を今思いつけたんだが、
つまり、あまり荷を背負わんでいてくれりゃあ、それでええんだ、っ…て…」
「うん、っ/////
やりましょう、やりましょう♪
ボクは、ユウタがいれば、ユウタが居てくれれば、どこだって、なんだって、できてしまいます♪
ボクは、がんばります。
そして、ボクの作ったモノを、自信を持って行きます!」
わかって、くれた、
うけいれて、くれた、!
やったぁ!!!
「だから、ずっと、ボクの側に、いてくださいねっ! ユウタっ!!!/////」
「ん? ああ! そりゃあもちろん、身が持つ限りにはな!」
そうしたら、ボク、ボクの、ほんとーの、性別、も//////
そのことも…
そのうち…打ち明けられると…いいな…/////
ユウタ…ありがとう…////
「ん?ん?
なにに感謝されとるの??、俺ちゃん???」
あは、ユウタのいいところは、ずばりそこなのですっ!///
「ん???ん????
ふーんむ、
まあいいや、飯食った後、なんかあそぼうぜっ!」
うんっ!!/////
* * * * *
その話を孫…ルーテフィアから聞かされた、
ガーンズヴァルは、落涙…していた。
(ルーやの、ルーやの…運命を授けられるかもしれん者が、現れてくれた…
かつて、この、さだめの呪いを、こうとまで言い破ってみせた者が、このアリスティリーゥに、西大陸に…居たものがおったろうか!?
思い返せば、我の娘である、ルーの母…レーテアリアの、あの夫も、見どころのある男だったのう…)
「ルーやの伴侶にふさわしいやつとして。
男として…鍛えてやらねば…」
ガーンズヴァルは決意した。
* * * * *
「…」
うしろ髪を、さわり、
「……//////////」
ルーは満足の吐息をほぉ…っ、とつくと、
(ちょっとだけ、髪を伸ばしてみることにします…
といっても、伸ばすのは、ユウタが編んでくれたうしろ髪をです。
このまま、ボクはうしろ髪のおさげを、とれーどまーく? というやつにしてしまいますっ!
たいせつにして、ユウタに、定期的に編み直してもらうようにする、その算段なのですっ////
ふふ~、♡
ボクは知能派を標榜しています…とってもかしこいのです…/////
いままで、剣術の邪魔になるから、短くしていたのですが…
これで、ボクに好意を持って、くれるのかな…?
ユウタ…/////)
それきり、ルーはうきうき気分で浮かれていた具合であって、
「そんな!?……、……。。。。」
さて、不幸になった人物がひとり…ルーのメイドのタチアナである。
「ルー様の髪を編んであげる、という、
主従になった時から以来の、わたしの、
夢が…願望が…」
そうしてルーのほうも、
「ルーテフィア様、おさげにされましたのね!すてき!」
「ほ、ほめられるのはやぶさかではないですが…」
ルーはそのアリエスタの言葉を聞いたことによってとめどなく湧き出てきた優越感と満足の感情で、優雅な仕草で満足げに首肯をしようとして…
「ちっちゃくて、ふりふりで、エビのしっぽみたい!」
「…なっ…」
エビのしっぽ!
その比喩のたとえは、ルーにとっては衝撃的だった…
「せっかくのユウタとの友情と愛のしるしなのに!
なんてことをいうのですか!!?
……、、、、。。、、
き、気になるわけではありませんが、
か、かがみでみてみましょう…」
そうしてそうして、
「!?」
ルーは、おのれの根幹と根底が、がらがらと崩れ落ちた感触を、心の心地として体感した。
そうして、奈落へと転落するおのれの自負が、掴み握り助け出そうとした己の手から、はるか真下へと剥がれ落ちていくのも味わった…
「うぅー、っ!!!!」
ルーは歯噛みしつつ…
「おのれー!アリエスタさん、貴女ってひとは!」「おのれ…ドウジバシめ…!」
別々の向けられではあったが怨嗟は相乗して…
「そ、そんなぁ、…かわいいですわ/////、って続けたかっただけなのに…おのれぇぇ、おのれえぇぇぇ、ドォジバシー!!!」
アリエスタも暴発した。
こうして、ルーとタチアナとアリエスタの悲嘆は、心のほとりに沈むように、深く横たわった…





