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6(6/10)-かみ?紙?神!-

    × × × × ×






「紙が買えなかったのカ?」



「う、む……、この昨今の食糧難の情勢に、

 領民への食糧確保に、我が家は金子を積んで、そちらハーレンヴィル商会に確保を頼んでいるのは以来からだろう。

 その分の捻出するのに、もう余裕がなくてな……」



「一つ訂正させてもらうネ、あーたらアヴトリッヒ家が使ってるおかねは、だいたいが我が商会からの借金ネ

 つまり威張れるところまるでナシね。

 おとなしく、この権利の抵当書にサインをするネ!」



「う、うむ………しかし、これは、」



「そうなのネ、入り用な年頃のソチラのお孫さんを、

 こっちの支援で養うための、合意書なのネ」




     × × × × ×




「……ということなのよ、」




 反応は、沈黙がすべてだった。




「そ、、その、支援、って……?」



「ルーテフィアさま、話の理解が聡くてステキっ♪

 だって、今年はいろいろ行事がありますでしょ?

 だけど、そちらの家のお金はもう余裕がない……

 だからその足りない分のお金をこちらが出す代わりに、

 ルーテフィアさまの将来稼ぐお金から、分割で支払ってもらうための契約よ。

 一種の奨学金、

 出世払いの前確認書、みたいなものね」



「ふえ、ふえぇぇ……?!」



 ルーの顔はますます青くなった。

 自分の将来の切り売りの約束が、今目の前でなされようとしている…。



「はーぁあっと、ちょっと失礼、」



 見かねたゆうたが話を切り出す。



「ところで、そういうってことは、紙さえ用意できれば、今回は奨学金の契約も結ばなくてすむ、ってことだよな?」



「おかねの入り用が今回だけですむかどうかだけど、

 まあ大まかにはその理解でいいのだわ!」



「ふーん、」



「ゆ、ゆうた?」




 まあとりあえずそこまでアリエスタが述べたところで、

 ゆうたは破顔し、




「よろこべルー、おまえ、助かったぞ!」



「えっ?! あ、ありがとう、ゆうた?」



 ゆうたの唐突な宣言に、

 いまいち飲み込みがつかないルーテフィアであったが、

 とりあえず、そう励まされるだけでもルーにとっては安堵できた……

 それはさておき、




……──……

 


「あ、う……」



 ルーの耳に、部屋の中のテュポンの詰め寄りが聞こえていた。

 そして扉の隙間から見える、

 平身低頭するおじいさま……ガーンズヴァルの姿。

 途端、ルーの目に涙がふたたびあふれてくる。 



「、、お、おじいさまの窮地だ。なのに、ボクってば……うぇぇえん」



 ルーテフィアは泣きじゃくるしかなかった。




「……で、でもっ、」



 涙をこらえて……こらえきれずに涙の粒がこぼれるが、

 ルーテフィアは己になにができるか、を必死に思案した。



………──………




「…──え、」



 そんな時、鼓膜を捉えたそのやりとりが部屋の中から聞こえてきた時、

 ルーテフィアは血相を変えるに至った。



 テュポンはガーンズヴァルへ、

 なじるかのような、言葉を一方的にかけてきたのだ。




「お、おじいさま!」



 わなわなと感情が震えてくる……

 ルーにとってのスイッチが入った瞬間だった。



「おい、ルー!」



 ゆうたの制止は、止められなかった。

 



     × × × × ×



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