6(6/10)-かみ?紙?神!-
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「紙が買えなかったのカ?」
「う、む……、この昨今の食糧難の情勢に、
領民への食糧確保に、我が家は金子を積んで、そちらハーレンヴィル商会に確保を頼んでいるのは以来からだろう。
その分の捻出するのに、もう余裕がなくてな……」
「一つ訂正させてもらうネ、あーたらアヴトリッヒ家が使ってるおかねは、だいたいが我が商会からの借金ネ
つまり威張れるところまるでナシね。
おとなしく、この権利の抵当書にサインをするネ!」
「う、うむ………しかし、これは、」
「そうなのネ、入り用な年頃のソチラのお孫さんを、
こっちの支援で養うための、合意書なのネ」
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「……ということなのよ、」
反応は、沈黙がすべてだった。
「そ、、その、支援、って……?」
「ルーテフィアさま、話の理解が聡くてステキっ♪
だって、今年はいろいろ行事がありますでしょ?
だけど、そちらの家のお金はもう余裕がない……
だからその足りない分のお金をこちらが出す代わりに、
ルーテフィアさまの将来稼ぐお金から、分割で支払ってもらうための契約よ。
一種の奨学金、
出世払いの前確認書、みたいなものね」
「ふえ、ふえぇぇ……?!」
ルーの顔はますます青くなった。
自分の将来の切り売りの約束が、今目の前でなされようとしている…。
「はーぁあっと、ちょっと失礼、」
見かねたゆうたが話を切り出す。
「ところで、そういうってことは、紙さえ用意できれば、今回は奨学金の契約も結ばなくてすむ、ってことだよな?」
「おかねの入り用が今回だけですむかどうかだけど、
まあ大まかにはその理解でいいのだわ!」
「ふーん、」
「ゆ、ゆうた?」
まあとりあえずそこまでアリエスタが述べたところで、
ゆうたは破顔し、
「よろこべルー、おまえ、助かったぞ!」
「えっ?! あ、ありがとう、ゆうた?」
ゆうたの唐突な宣言に、
いまいち飲み込みがつかないルーテフィアであったが、
とりあえず、そう励まされるだけでもルーにとっては安堵できた……
それはさておき、
……──……
「あ、う……」
ルーの耳に、部屋の中のテュポンの詰め寄りが聞こえていた。
そして扉の隙間から見える、
平身低頭するおじいさま……ガーンズヴァルの姿。
途端、ルーの目に涙がふたたびあふれてくる。
「、、お、おじいさまの窮地だ。なのに、ボクってば……うぇぇえん」
ルーテフィアは泣きじゃくるしかなかった。
「……で、でもっ、」
涙をこらえて……こらえきれずに涙の粒がこぼれるが、
ルーテフィアは己になにができるか、を必死に思案した。
………──………
「…──え、」
そんな時、鼓膜を捉えたそのやりとりが部屋の中から聞こえてきた時、
ルーテフィアは血相を変えるに至った。
テュポンはガーンズヴァルへ、
なじるかのような、言葉を一方的にかけてきたのだ。
「お、おじいさま!」
わなわなと感情が震えてくる……
ルーにとってのスイッチが入った瞬間だった。
「おい、ルー!」
ゆうたの制止は、止められなかった。
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