2(2/6)-五十歩百歩のその歩幅-
###*****2*****
……屋敷の裏庭……
……目の前に、至ってフツーの模型工作用プラバンを多層に重ねたものが由来の、テストピースがある。
それが、次の瞬間に、“作動”した。
何ということはない、
エリルリアがそれへと向けて撃った、バレットビッツ……とよばれる礫の銃弾、それによる耐弾射撃の試験が、この時実演されていたからだ。
「ほら、コレ」
一連がひと段落したとき、俺は大いに吃驚した。
小銃弾相当のと、軽機関銃相当のと、重機関銃相当のと、それから、小口径砲相当のそれ、と……
それぞれ順番に充てられていったが、先ほどのテストピースは…
…へこむことすらも、欠けることすらもなく、耐えてらっしゃる。ピンシャンに。
すげえ! SFメカであるような、反応装甲の原理じゃん?!
「あんたが喜びそうなシロモノでしょ?
でも、あんたがいうその戦車?やら、戦闘機?やら、艦艇?やらに、そう使えるシロモノじゃないとおもうわよ。
そんなモノがどうなのか知らないけど、
それへ術を込めるのは……まあ私やおかーさんなら手間取らないわ?
けれど、安定した物性をもった、術をかける対象の基材、これというのに、ずぅぅぅうっっと…パチピタになるような程の良い相性のには、行き当らなかったの。いままではね。
だから私の生み出した型のこの術は使いようがなかったのよ。
けれど、あんたのその持ち込んだ、……ぷらすちっく?
それってのが、……、、、。。………ま、……なかなか有望っそうよね………」
(エリルリアが内心の動揺と嬉しみを隠すために表面上は飄々とした態度で取り繕いながら、であったことはこの時ユウタは知らず気づきもしなかったが…)…エリルリア叔母さんはそう俺に述べてくれた。
「ま、現状じゃあ、魔力の消費が激しすぎて、実験室の外には出れない代物よ……
今のところは、ぬか喜びね。あんたたちも、あたしも……」
まあ、試料ということなので、そこは問題なしっすよ。…と俺は返しつつ、
「愚姪……ルーから聞かされたとおりね。
そのルーのいうようなように、わたしとおかーさんはやってるだけだけど、」
「ゆめはおっきく、じゃぱにーず・ろぼっと、の実現なのです!!」
そうなのである、
俺と異世界住人…魔法世界住人側との通訳?役として、ルーはすごい優秀かつ有能だったのである。
それはもう、びっくりするくらいに。
こっち(現代地球/現代日本)と、こっち(異世界・アリスティリゥ)、
この両方のことというのに、ルーは順応してくれて、適応してくれて、
そのうえで、橋架け役、橋渡し役、つなぎの役を、やってくれているのである。
これというのも? 本人が志願して、なってくれた。…ということであった。
うん、まじルーちゃん、サイコーの相棒だわ……
「! “相棒”……“あいぼー”、!!//////」
お? 俺が口の端から漏らしていただかしたらしいその言葉の端節を聞いて、
どういうわけか、ルーの奴は、元気凛凛、勇気らんらん、意気揚々。
「めんどうごと、振っちまって、わりいな……」
「そんなことはないよっ//// ボクのおやくめ、がんばりますからねっ/////」
んー? あのときのあれかー。
そうだな、こういう感じにことを運べるというなら、まさにそのとおりだな……
「えふ~、っ……♡////」
ルーはころころ、と喜びを浮かべて……





