4(4/8)-アヴトリッヒ家の華麗なる食卓 TAKE 2-
只今日刊投稿中でございます…
ごゆるりと…
###4(4/8)-アヴトリッヒ家の華麗なる食卓 TAKE 2-
グァー。、と、自動ドアの開閉音が、ひとつ。
……~~♪
ラッシャーセー……ラッシャーセー?
挙動不審気味にこちらを伺う店員さん……お、おれの精神がッ……
ともあれ、それもやむを得ないことであったろう。
なにしろ、
俺ちゃん以下、ルーのやつと、ガンズヴァル爺と、その奥方エリルローズ婆、
その娘でルーのやつの叔母のエリルリアさん、
それから、タチアナさんとイリアーナのメイドふたり。
今日も今日とて某コンビニ・我が家の近所店、にへと、であるのだが、
いつも来るこの俺・道寺橋ゆうた、に加えて、
ガーンズヴァルさんちのアヴトリッヒ家オールスターメンバーを加えた、
この即席のパーティ一行が参上したのはたった今の事である。
「……これが、異世界、ニィッポンの、こんびに、なるか……」
「そうさのう、ガンズヴァル……すごいのう……夢のようだのう……」
「……ふ、ふーん、なかなか、すごいじゃない。
(なによなによ、なんなのこれ、ここはぁっ?!)」
「ほぉー、これが、こんびぃに!」「……すごい……」
その様に感心為される、異世界人のご一行さま……
格好と装備は、なるだけ、目立たないようなコーディネートを、出立時に心がけて貰った。
(ガーンズヴァル爺が、意地からでも帯剣を解かない、というような一幕もありつつ……)
「えっへへ、ボク、ここに来るのは、にかいめなのですよ♪」
とおっしゃられたルーのやつに、
おおーっ!!!!
とご家族から感嘆が上がったのは、この時の事であった……
やめてくれ、店内の他の人からの、怪訝な視線が……俺のガラスのハートを……
「ねっ、ユウタ♡」
「…………」
「ユウタ、?」
ゴクリ、と俺の喉が鳴った。
……無論、ルーに対してではない。
どう言うつもりでかはわからんちなのだが、
だらりとさがった俺ちゃんの手に、顔をほのかに赤らめながら、自分の指手を重ねようとしたルーの奴が、俺の隣にいるわけだが……
対照的に、
果たして、俺の顔は青かったことだろう。
……無言になっているのは、その他の要因も込みであったからなのだが……
そして、帰宅。
リビングで夕食中の我が家のカタギたちの脇を通って、大量の荷物を抱えた状態で、勝手口まで至るのに、俺の精神はがりがりと音を立てて削れた……
そして、現在、
ガーンズヴァル屋敷の、食堂に、戻った時点……
「わあぁぃ、ゴハンがいっぱぁい!!!!!」
\(^o^)/
……とのように、手を万歳状に上へと広げたルーのやつである。
食堂の卓にこれでもか、と積まれたコンビニ食品類を目の前にして、
この非カタギの異世界人どもたちは、満足した様子で、それらを食す最中であった……
「こんなに強い酒など、久方ぶりに飲む……うぅむ、ふ、
この海鮮珍味、も……なかなか、いや、これは、絶品……うぬぅ……」
「のぅ~」
ガーンズヴァルは、ワンカップを飲みつつ……
エリルローズ婆と、ご健勝なことに、さきいかを分け合い食べつつ。
「タチアナ、タチアナ! お菓子ですよ、おかし、おかしがいっぱい!」
「……とてもおいしいものですね……」
メイドどもも、買い込んだ菓子類に、舌鼓を打ちまくり。
「ふむ……なるほど……これはこうで……そして……これは……? ……!、ふ、ふ、ふうーん、ふーん……」
(なによなによ、なんなの?! これ?!すごすぎるわよ!!!!!!)
エリルリア叔母さんも、……なにやら感情の動きはあるようだったが、しかし、一見する限りだと、表には出さない様子で。
なにやら、電池類やポケットラジオ、などのコンビニで買った軽い電気製品類を鑑定?しつつ。
「むふ~、♪ おかしもゴハンも、いっぱいたくさん!!
ボク、とっても幸せです♪」
ルーのやつについても、このようなかんじであった。
…………
……
……ということで…………
「あれっ? たびしょうにんさん、ユウタ、なにをしてるんです?」
「いうならば、店終いの準備さ……」
「ほえ?」
「締めて四万八千九百円。」
え?とルーらが呆然となっているのを、俺ちゃんは一瞥もせずに話を続けて、
「物理的に店じまいね。、
おまえらも、これだけ飲み食いしたら十分満足したろ? おれちゃん大赤字だし、これでおまえさんらとの縁もおしまいさね」
「……え?」
「じゃあのぉ……アデューっ、」
俺ちゃん、大赤字!
もう小遣いの残り額も、もう僅か……
──本当なら、月末に新しい3Dプリンター買う分で貯めてた貯金が、僅か一週間弱で大部分が飛んで行かれてしまわれた……
なぁので、“えんがちょ”である。
そうと決まったら話は早い。
このメシマズ屋敷から、とっととハム太郎、のハム太郎はともかくとして、
とっとと早く脱出しなくては……
たのしい異世界だったぜ。本当にな……
というわけで、さらばだ……じゃあの…………
「ま、まって、まってぇ、待って、待ってぇっ!! ユウタ!!!」
その去りゆく俺の肩を全力で飛びかかり飛びついて重しになり、阻止に掛かったのは、ルーの奴であった。
「ボクたち、みんな、ユウタの世界の、ニホン、っていう異世界のゴハンの味に、なじんじゃって、夢中になって、こっちの世界のこのゴハンじゃぁ、満足できない躯と舌にされてしまったんですよぅ! ぅぅぅぅ…………」
「なぜ俺に非があるような語りになるの?!
まあわからなくはない、
わからなくはないがッ
おれだってかねのつごうってのがあるんじゃい!!!」
「ユウタ、ユウタ、ごめんなさいっ」
ごめんというなら、うけいれろ!すじをとおせ!!
「わかってますっ、わかってますけど!!
だけど、だけど?! でも、だからぁ!!!!! うぅー!!!??!!??」
そんな感じで、ルーのやつはまだ泣きながら唸る……
ギャグ漫画のように、目の端から涙の粒を飛び散らせながらである。
「待たれよ、ドウジバシ」
そこに、ガーンズヴァル爺が口を差し込んだ。
……なにやら冷や汗をかいた状態で。
「話がようやく合点がいった……確かに、たしかにオヌシの懐の金子というのを、たしかに我らのために、多額を使わせてしまっていた…のだろうな。
だが、我としても、この度だけでも、なんとかしたい!
換金できるような物を、渡す。渡すので……」
そういって、回りや目元を目配って、
……しかし、そこらになにか良さそうなモノが見受けられなかったらしく、
一度瞑目し、もう一度、こちらを見て、
「……どうか、我らに飯の喜捨を、どうか続けてくれないか……?」
さすが一家の主ということで、立派な態度で、
しかし……そう、へりくだって見せた、ガーンズヴァル爺。
「おぬしに相当の負担がかかっていただろうという事を、失念しておった……」
そーいわれてもねぇ……
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