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11話 はじめてのしんか

「ついにこの瞬間がやってきた!」


 俺は沢山のモンスターを狩り、DPを使い、Lvを30まで上げる事が出来た。そして目の前に進化の選択肢が出ているのだ。


<<進化が可能です。トイレの精霊(男性型)でよろしいですか?>>


 進化先はトイレの精霊男性型と女性型が選択出来た、女性型も興味はあったが俺は男性型を選択した。長く親しんだモノとの再会が待ち遠しい、あれがあれば・・・むふふ。想像がどんどん膨らんで行く。


 俺は男性型を選択した。すると身体が光り、頭の中にアナウンスが響く。


<<トイレの精霊に進化しました。>>

<<新たなスキル『人化』を覚えました。>>

<<新たなスキル『精霊魔法』を覚えました。>>

<<ダンジョンのLvが上がりました。>>


カイ Lv.30

トイレの精霊

ダンジョンマスター

<スキル>

『吸収』『管理者』『人化』

<魔法>

『トイレ魔法』『精霊魔法』

----------------

ダンジョンLv.26

所有DP:2,100


 進化して新しく覚えたのは『人化』と『精霊魔法』これは文字通り人になるスキルと精霊を操る魔法だ。気付いた人もいるかもしれないが『分解』がない、これはスキルの売却を行った為だ。

 どうしても進化したかった俺はあらゆる手を尽くし、DPを貯めて使った。新しいマスタースキルのスキルの購入の項目から現在保持しているスキルが売却出来たのだ、DP効率は悪いが塵も積もればなんとやら、要らない物は片っ端から吸収して売却していった。


 更にダンジョンの階層が20層まで増えている。強力なダンジョンメンバーは召喚していないが、そこそこ強いモンスターを何体か召喚して配置し、後は召喚陣を置いてある。

 その内の1つの層に外の強力なモンスターを召喚してメンバーの力を借りて倒し、経験値を稼いだ。さすがに1層目で弱いモンスターを倒しても経験値が入らなくなってしまったからだ。

 Lv30というのは冒険者のランクでいうとBに相当し、倒すモンスターもそれなりに強くなくてはならないのだ。更に強いモンスターの方がDP効率も良く、ダンジョンメンバーの強化や、召喚したモンスターの強化にも役に立つよう強いモンスターが必要という点で一石三鳥だった。

 この一連の操作によってダンジョンLvが大きく上がり、俺自身もLvアップする事が出来た。DPは使い切ってしまったがまた貯めればいいのだから気にする必要もない。


「よし、早速『人化』から試してみよう!」


 トイレの精霊の通常の姿は人に近いが大きさが50cm程、背中には翼が生えており、全体的に淡く発光している。トイレの妖精がそのまま大きくなったような見た目だ。

 人化すると身長160cm程、翼もなくなり、発光もしていない。下半身を確認するとちゃんと男のモノがついている。本当に懐かしい気分だ。


「マスター、かわいい・・・。」


「旦那様、ご立派で御座います。」


 リリーとコクトの感想が正反対だ。確かに俺の見た目は中性的な顔立ちに細い身体、リリーより身長も低い。リリーのような大人の女性から見ればかわいく見えるのかもしれない。


「リリー、かわいいってひどくないか?」


「いいえ、褒めているのです!私は素晴らしいと思います!」


 どうやらリリーの何かに触れてしまったようだ、鼻息が荒い。周りを見ると女性陣は顔を赤くしたり、ポーっと見つめたりと好評のようだ。

 そもそも召喚した者に対しての好感度や忠誠心はかなり高い、その感情が恋心に変わってもなにもおかしくないのだ。


「ありがとう、嬉しいよ。」

 

 そう言って微笑むと更に顔が赤くなる、これはチョロい!


「兎に角、これで第一の目標は達成だね。今後はDPを稼ぎつつ、ダンジョンを強化して行こう。みんなこれからも宜しく!」


「「「はい!」」」


 全員がしっかりと頷く。実際、DPがないのは辛いモノがある。それと前から考えてた事もあるし、これから忙しくなりそうだ。

 マスタールームに1人で戻りナビにいくつか確認を取らないとな。


「ナビ、神様とコンタクトを取ることは出来る?」


<<私には不可能です。神とコンタクトを取る事が出来るのはこの世界では聖女だけです。聖女は神託という形で神とコンタクトを取れます。>>


 う~む、現状を知りたかったんだけど難しそうだな。


「ヤミ、ちょっとこっち来てくれる?聞きたい事があるから。」


 念話を飛ばすと、すぐにヤミが現れた。


「外でのダンジョンの評価はどんな感じかな?」


「はい、比較的好意的に捉えられています。やはり金を稼げるダンジョンは非常に魅力的なのかと、更にダンジョン目当ての客も増え始め近隣は人が増え始めております。」


「なるほどね、敵対勢力とかない?」


「あからさまな敵対は今の所ありませんが、教会がダンジョン排斥を訴えているようです。」


「なるほどね、ナビこの世界の教会ってどんな感じ?」


<<この世界において教会は神の言葉を聴き、世界に広め人々を平和に導くという考えで活動しています。ただし、モンスターやそれを生み出すダンジョンは悪とし、滅ぼすべきだという一部過激な派閥もあります。>>


 う~ん、判断に困るなぁ。俺としては敵対してる所から軽く潰して行こうと思ってたんだけど、全体が敵対してるわけじゃなくて一部の派閥だけなのかぁ。


「ヤミ、敵対してる派閥を割り出して情報を集めて貰えるかな?」


「はっ、お任せ下さい。」


 神様とコンタクトが取れれば色々と捗るんだけど、出来ないものはしょうがないし、出来る所からやっていこう。

 とりあえずヤミから情報が上がってきたらみんなに確認して計画を進めるか。


 よし、とりあえず久しぶりにアレでも楽しみますか!妖精に性欲とかあるか分からないけど、前世の俺が魂レベルで性欲を訴えていたからな。

 事に及ぼうと寝室に向かうとアルナが部屋の前に立っていた。


「ご主人様、お手伝い致します。」


「はっ!?何を!?」


「隠さなくても大丈夫で御座います。私はサキュバスですので、そういった意識を直感で感じる事が出来るのです。是非私にお任せ下さい!」


 どうやらサキュバスという種族が俺の性欲を敏感に感知したようだ。


「う、うん。じゃあお願いしようかな?」


「有り難き幸せ!このアルナ誠心誠意ご主人様に尽くします。」


 アルナは本当に嬉しそうに見たこともない笑顔で言い放ち、俺の後から部屋に入ってくる。

 その夜はアルナと激しい夜を過ごした。人間の身体は最高だし、アルナの身体も最高だった。翌朝目が覚めるとアルナはいつものメイド服に身を包んでおり、いつでもお使い下さいと言い残し朝食の準備へ向かった。


「サキュバスって凄いんだな・・・。」


 

 その日の朝、ヤミから報告が上がった。


「リリー様の仇敵である貴族の居場所が掴めました。」


「本当か!?リリー、君はどうしたい?」


「私は・・・。奴を許せない、我ら家族の誇りを穢した奴を許せない。」


「分かった。俺に任せておけ。」


「もう1つ、どうやらその貴族が例の派閥に資金援助を行っているようです。」


 これで俺は確実にそいつを殺す事になる。作戦は今から考えるが、ダンジョンから離れているのがネックになるな。確実に事を成すにはダミーコアを使うべきだが、まだDPが足りない。

 すこしだけ考える時間が必要だな。


「そうか、それならしっかりと計画を練る必要があるな。」


 その日からまたDPを貯める日々が始まった。そして俺の夜の日々の始まりでもある、最初はアルナだけだったが、ある日リルムが、そしてまたある日イルナも夜の相手を務めるようになっていった。

 ダンジョンマスターはマジで最高だぜ!転生してよかった、俺の新しい人生は今まさに花開いたのだ!

お読み頂きありがとうございます。


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