これからは二人で
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闇に飲み込まれて行く…
感覚はもう無くなった目も見えない声も聞こえない…
死ぬのってこんな感じなんだ結構あっけないものなんだな
私はずぶずぶと暗闇に飲み込まれて行く首までの見込まれた所で唇に違和感が宿る。
(何だろう…柔らかいそれにあったかい)
途端真っ暗な空間に光が爆発しだした。
目の前が真っ白になる次に視界が回復した時に目の前に音無が居た。
「ん〜ん〜」
音無の唇と私の唇が重なっている。私が声を出すと音無はすぐに唇を離した一瞬寂しさを感じたが気づかない振りをした。
音無は泣きながら私を抱きしめた。
「よかった、よかった僕は君が死んでしまったのかと僕は僕は」
私はそっと抱き返した。
「私は生きているよ安心して」
いつの間にか私自身も泣いていた、生きていてよかった先ほどまでは死んでも良いと思っていたが音無の顔を見てそんな気持ちは全部吹き飛んだ。
「奏、僕は君が大好きなんだ、愛しているんだ」
音無は泣きながらはっきりと私に言った。
「えっ?今なんて」
私は信じられない言葉を聞いて聞き返してしまう。
「奏、僕は君を愛しているんだ」
「誰が?誰を?」
私は子供の様に聞き返す。
「僕、音無秀は君泡沫奏を愛していますだからもう僕の前から居なくならないでくれ」
私ははっきりと自分の名前を呼ばれて涙が溢れた。
「私は存在を許されるの?ここに居ても良いの?」
「誰にも存在が許されないのなら僕が許す、居場所が無いのなら僕のそばに居れば良い」
音無は真剣なまなざしで私を見た。
「ガスちゃんが好きなんじゃないの?」
「僕は奏君が好きなんだガスちゃんは君なんだろう君が名前を教えてくれなかったから読んでいただけだ」
音無は優しい声色で言った。
「私はあなたのマスターをたぶらかしたんだよ」
「それは君じゃない奏汰君だろう、それにあの時はすまなかった気づかなかったとは言え君に手を挙げてしまった」
音無はそう言うと私を強く抱きしめた。
「僕はもう後悔したく無いだから君を絶対に離さない」
「でも私は私は化け物だから」
「かまわない僕は奏が好きなんだ」
私は自分に意地を張るのは止めた。
「私も好き音無が好きなの」
私達は目を合わせ唇を再びあわせようとした。
途端爆発音が響いた。
「何故だ?君と引きはがしたのに勝手に暴走している」
見上げると黒くドロドロした物が暴れていた。
____
私達は急いでそのドロドロの所に向かった、私の力なら止められるかもしれないからだ。
たとえこの命に代えても止めてみせるから。
中心部分につくとそこにはドロドロに取り込まれている父さんと母さんが居た。
「あら、遅いじゃないの待ちくたびれたわよ」
母さんは余裕たっぷりの笑みを浮かべていたけど息も絶え絶えの様子だ。
「母さん、どうして」
「どうしてって愛しの清一郎さんに逢っていただけよついでに自分の娘の後始末」
母さんはウインクしながら言った。
「自分の娘?」
「なに言っているのあんたのことよ。あんたにとっては今更母親面すんなって思うかもしれないけどね」
私は嬉しさのあまり再び涙があふれ、首をぶんぶんと振る。
「なに泣いているのよ最後くらい笑顔お見せなさい」
「えっ、最後って」
「そこの君、奏汰の友達よねあなたにお願いがあるの聞いてくれるかしら」
音無は母さんの言葉に頷いた。
「ねえ、母さん最後ってなに何なのよ」
母さんは私の言葉を無視して続けた。
「奏の事を宜しく頼むわ、奏を泣かしたら化けてでるからそれと奏汰に謝っておいて」
「母さん!」
「奏!、聞きなさい!私はこれからお父さんを止めるわお父さんはあれに取り込まれておかしくなっているから、お父さんの動きが止まった所であなたの全力の魔法で破壊しなさい」
「嫌、それじゃあ母さんまで殺しちゃう」
私は泣きながら言った。
「でもそれしか方法が無いわあんたの全力でしか破壊できない動きを止める為にさく魔力なんかないの全力で破壊しないと」
「でも…」
「このままではあんたの大切な人があんたの魔力のせいで死ぬのよいいの」
私は首を振り否定した。
「だったら覚悟を決めなさいそれに最後くらい母親らしい事をさせなさい」
母さんは優しい目をして言った。
「娘さんは僕に任せてください」
音無は叫んだ。
それを合図に母さんはお父さんに飛びかかる母さんはお父さんの動きを止めるのに成功する。
「早くしなさい、私を無駄死にさせるつもりなの早く」
私は魔力を集中させ父さんに標準を合わせ最大の魔力を放出した。
「いままでごめんなさいねこれからは自由にあなたとして生きなさい」
次の瞬間母さんと父さんと黒いドロドロはこの世界から完全に消滅した。
______
2ヶ月後
「はぁ…ふう…はぁ…」
「奏汰君あのうざいのなんとかならないの?」
園原梨華は心底うざそうに音無を指差し言った。
「仕方ないよ」
「でも奏汰君理由言ってくれないじゃん、こう2ヶ月の間ずっとあんな調子だよいい加減理由くらい教えてくれてもいいんじゃないの。それに奏汰君だって2ヶ月前理由もなしにいきなり別かれてくれとか言っちゃうし何が会ったのかくらい言ってよ」
園原梨華は不満そうな顔押して言ったそうだ僕はあの事件の後3人の彼女に別れを告げた、岩沢先輩と真剣に交際する為にだ岩沢先輩はあのあと元に戻ったのだけど後遺症が凄くて大変だ、キスしてくれないと壊れるだの食べさせてくれないと壊れるだのかわいいから良いけどね。
奏は今処分を受けている状態だ幸い死者は母さんと父さんの二人だけだったけど被害も大きかったし全ては父さんのせいにしたけど間接的に手伝ったてことで軽い処分を受けているいつ逢えるのかは当分の間分からない状況だ。
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(逢いたい逢いたい逢いたい)
僕は毎日奏の事ばかり考えていた早く逢って抱きしめたいキスしたいでもそれは当分の間叶わない。
「お〜いお前らいきなりだが転校生を紹介するぞ、じゃあ転校生は入れ」
先生のやる気の無い声が聞こえるが転校生なんか今の僕には関係ないだからうつむいて奏の事を考えていた。
転校生が入ってきた周りの生徒のざわつきが大きくなる。
「初めまして、私は泡沫奏。そこのうざい音無秀の彼女です」
僕はすぐに顔を上げたそこには満面の笑顔の愛しい彼女の姿があった。
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緊張するどうしようでも不思議とわくわくする。
私はあの後もう奏や音無に逢えない事を覚悟していたでも先生やギルドの面々が誤摩化してくれた全ての罪を父さんになすり付けおかげで軽い処分ですんだ。
本当はもっと早い段階で解放されたけど迷惑をかけたお詫びにギルドで仕事をしていた。
ずっとこの日を夢見ていた誰でもない私が私として生きて行く人生。
奏汰でもなくガスちゃんでもない奏がこれからの人生を歩んで行く
「お〜いお前らいきなりだが転校生を紹介するぞ、じゃあ転校生は入れ」
先生の声生徒のざわめき何もかもが嬉しくて新鮮だ。
「初めまして、私は泡沫奏。そこのうざい音無秀の彼女です」
びっくりした様に私を見る愛しい人を見て私は泣きたくなるのを我慢した。
”「誰にも存在が許されないのなら僕が許す、居場所が無いのなら僕のそばに居れば良い」”
私はやっと自分の居場所を手に入れた、これからはあなたの隣であなたと一緒に歩んで行く。
「ただいま」
と私はこらえきれず泣きながら言う。
「お帰り」
と音無もなきながら答える。
これからはあなたと一緒に……




