覚悟
お待たせしました。おそらく次かその次で完結となります。
けれど待っても奏に殺される事はなかった、私はそっと目を開いたそこには私を守る様に盾になっている男達が居た。奏の放出された魔力で一気に奏との距離が離れたが生きていた。
この男達のおかげだ。その男達の中でリーダーらししき人物が私に話しかけてきた。
「大丈夫ですか奥さん、うちの者がすみませんこの子は俺達でなんとかしますからどうかお逃げください」
私は訳が分からなかったうちの者?どういう事なのよ私はそのまま質問した。
「この子は俺達のギルドのメンバーなんですよ、まさかこんな魔力を隠し持っているだなんて帰ったら嫌というほど働かしてやらねぇとな」
「ギルド?」
私は間抜けに聞いてしまう。
「ああ、俺達のギルドの受付嬢をやっているんだ。力の無い変わったマスクの女だと思っていたがね」
男は苦笑いしながら答えた。
「ったく、マスターもひどいよなぁ」
「そうだよおまけにエロいし」
「あとでマスターの金で呑みに行こうぜ」
「あんな格好させといてよく言うぜ」
口々に男達は言った。
どうやらあのリーダーらしき人物はギルドのマスターだったようだ。
「はぁ…はぁ、かおりさん無事だったのね」
私は声のした方を振り向いた、するとそこには今追いついたのか、先ほど奏汰と一緒に居た女が息を切らしながらも私に話しかけてきた。
あとから奏汰、その友達らしき同年代の男が近づいてきた。その同年代らしき友達は私の元に来るなり頭を下げた。
「お願いします、奏ちゃんを殺さないでください僕にとってかけがえのない人なんです」
私はその友人の言葉に心底驚いた、かけがえの無い人?奏が?何故?
私があまりにも不思議そうな顔をしていたのかその友人は奏との馴れ初めや自分がいかに奏が好きかの大演説をし始めた途中奏汰が止めなければさらに続いていただろう。
「おまえいい加減にしろ今はそんな場合じゃないだろう」
「すまないつい」
そんな二人のやり取りや奏を救おうとするギルドの面々を見て私は決心した。
途端大きな爆発音が鳴り響く。
「糞!このままじゃもたねえ」
マスターが声を張り上げたこのままでは本当に危ないみたいだ私は急いで友人に近づき言った。
「あなた、奏が好きなようねあのこもあなたの事が好きみたいだし。だからあなたにあの子を任せる事にしたわ、奏はああ見えて結構弱い所もあるから気をつけてあげて」
そう言うなり私は再び奏の元へ向かう。奏はおそらくあの友人の事が好きなのだろうあの友人が奏自慢をし始めた時あんなにも遠かったのに反応があったからだ。
「ふふふ、今更母親ぶっても仕方ないのに何をやっているのかしら」
私は声を出して呟き奏の元、愛しい最愛の人清一郎さんの元に向かった。
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母さんは僕に何も告げず言ってしまった、いつも僕中心の母さんにしては珍しい、追いついたときだって僕に話さず音無と話していた。
いつもの母さんとは違う。様子だって違うまるでまだ父さんが居た時の母さんみたいだった。
僕は当然母さんを追いかけようとしたが邪魔する者が前に立ちはだかる。
「ここここれ以上ボボスののところろにいかせないのよのよ」
岩沢先輩だ、でも様子がおかしい言葉が変だ、虚ろな目それに人形のように無表情だ。
「岩沢先輩邪魔しないで頂きたい僕は奏ちゃんの所に行かねばならないのだ」
音無は力強く言ったが
「かなででだれそれなにろればばばばば」
「岩沢先輩何を?」
僕は先輩に話しかけたが反応がない。
「あれあれあなた、私のの大切な人を奪った人によくにているのよねなの…あれらあれら私の大切な人?それはだれ?かなたかなた、かなたてだれなのよ」
岩沢先輩は音無に話しかけるその様子はおかしいという問題ではなかった。
「岩沢先輩!!しっかりしてください」
僕は岩沢先輩に近づき肩を揺さぶった。
独りぶつぶつと虚空を見つめ呟いていた岩沢先輩の目に光が宿る。
「………助けて奏汰君、私変なおじさんに何かされたこのままではみんな殺されてしまう、確かに音無を殺したいほど憎かったけど襲ったけどこんなこと私は望んでいないから」
岩沢先輩は後悔している様子で話した。
「お願い奏汰君、私を殺して早く奏ちゃんの元に行って奏ちゃんを止めないと大変な事に、お願いいいいいいいいいいあれあれどうしてなぜここに」
元に戻った岩沢先輩そう言うなり僕の腹を蹴り上げた。
「くっ……音無!ここは僕に任せて先に奏の所に向かってくれ、岩沢先輩が教えてくれたんだ、早く奏を止めないと大変な事になる」
岩沢先輩がこんなになったのは僕の責任だ。
「分かった後は任せたぞ」
音無はそう言うなり奏の元へ向かった。
「岩沢先輩……ごめんね僕の所為でこんな事に…すぐに助けてあげるから」
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嫌だ嫌だもう聞きたくない。
私は何度も何度も叫び否定したが声は聞こえてくる、耳を塞いでも無駄だ、頭に直接響いている嫌でも聞こえてしまう。
私は嫌になりついに弱音を吐いてしまった。
”私は居ては行けないのかなやっぱり存在しては行けないのかな”
凄く小さな声で呟いたのに声は反応する、そうだお前なんかいらない人間ではない、シネしねしねしねと声が聞こえる。
私は声に従う事にした。
”分かったよ死ねばいいんでしょ”
歓声が私の頭に響く。
「そうだ早く死ねそしてお前の体を明け渡せ」
お父さんは先ほどからこればっかり行っている。しね体をよこせ等意味が分からないが最後に親孝行はするべきかもしれないと考え始めていた。
”だったら早く持って行けば良いじゃない”
私が呟くとお父さんは近づいてきた。これでこの世ともお別れか…
最後に音無に謝りたかったな…
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僕はやっとの事で奏ちゃんの元へたどり着いた。奏ちゃんは一人だ、奏ちゃんのお父さんはお母さんと攻防を繰り広げていて僕に気づかない、僕はチャンスだと思い奏ちゃんの元へと急いだ。
黒くドロドロしたものの中に入る体が焼ける様に痛むがそんな事は気にしない僕は必死になって彼女の名前を叫びながら奏ちゃんに近づく。
やっとの所でたどり着き僕は奏ちゃんの体をこのどろどろから引き出した。
良かった生きていたと安心していたのもつかの間、奏ちゃんは息をしなくなった心臓も弱々しくなる。
「奏ちゃん!奏!嫌だ死んでは駄目だ、君が死んでしまうと僕はどうやってこれからを生きれば良いのだ。好きなんだ愛してるだから僕を置いて行かないでくれ」
僕の叫びもむなしく奏ちゃんの心臓が止まった。




