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影武者な僕  作者: 大木鈴
第5話 奏としての再出発
35/42

音無の告白

今回は早く投稿しました。

たくさんの閲覧感想ありがとうございました。

家を出てから一週間過ぎた頃の事だった。


「げっ‼」


思わず声が出てしまった。


私は今ギルドの前に立ち尽くしていた。

斎藤先生に追い出される形で家を出てギルドに着いたらギルドの中に見馴れた人物が居たからだ。


(何故奏汰と音無がいるんだ?)


そう心の中で呟いたが呟いた所で二人がギルドから居なくなる訳では無い。


僕は……また怒られるな。

私はいつもより慎重にギルドの裏側の更衣室に入った。


ギルド裏側にある更衣室は私以外に使用していない、これは斎藤先生がギルドマスターに話を通してくれたからだ、そのかわりギルドマスターにはある条件を出されたがそれは別に対したことはない事だ。


奏汰は良くも悪くも目立ち過ぎていた、そんな奏汰と同じ顔だと直ぐに奏汰や母さんに暴露てしまう。

だからギルドで働く際はガスマスクで顔を隠していた。


私は着替えると一回深く深呼吸をしギルドに入った。




私が着替える間に帰ってくれていた、という都合のいい事はもちろんなかった。


私は二人を気にしないように仕事を開始した。

それにしても家を出てから一度も奏汰達と会っていなかったが久しぶりに見た奏汰の姿は前とはまるきり違う姿をしていた。


「当たり前か…」


私は独り静かに呟いた。


斎藤先生に封印を解いてもらった私の姿も変わったのだから奏汰の姿が変わるのは当たり前の事だった。


奏汰の姿は前とは違った。前迄は私と変わりない中性的な容姿だったが今は男だった。

誰がどう見ても男だ。


その姿を見て私は分かり切っていた事だがもう元の生活に戻れない事を実感した。


頭では分かっていてもこの一週間私はその実感がなかったのだ。

奏汰の影武者として育った17年間の重み

まだ心の奥底ではまだ奏汰の影武者として家に戻れるかもと考えていたのかもしれない。


(戻れない事を後悔しているのか?私は私だ、未練をすてろ)


私はそう自分に言い聞かせた。


「あの、すみません少し話を伺いたいのだが」


「……‼」


自分に言い聞かせていたら声を掛けられていた事に気づくのが遅れてしまっていた。


慌てて声がした方を振り返るとそこには音無がいた。


「もしもし話を聞いているのかね?」


「すみません。この娘は口が聞けないのです質問は私が承ります」


私を助けてくれたのは同じくギルドの受付けをしている大学生の川畑のどかさんだ。


ギルドに入って直ぐのころはまだ喋れたのだが感情を失い声が出なくなった。


感情が戻ったといっても戻った感情は恐怖と愛情のみ泣きたくなるぐらい好きという感情があっても可哀想だとか感動で泣いたりしない私は本当中途半端な奴だ自分で自分が嫌になる。


声を出せる、会話も出来るでもギルドでは今更感もあって喋れずにいた。


「受付けを仕事としているのだろう?格好も受付けらしくない改めてたまえ」


音無は暑苦しく言った。


「そんな彼女は「うざっ…」


川畑さんの言葉をかぶせるように言ってしまった。


音無は何処に行っても音無だった。


熱いウザい鬱陶しいだがそこが好きなんだ。


「ウザいとはなにかねなんだねなんなんだ」


音無は怒りの形相で私の言葉に噛み付いて来た。


「私が受付けをして悪いか?この格好はマスターの趣味だ苦情ならマスターに言ってくれ」


自分でも驚く程スラスラと言葉がでた、にやけるのを隠すかのように怒っている風に装ったが本当は音無に会えたのが嬉しくてたまらない


声も掠れていなかった、どもったりも噛んだりもしなかった。


「ガスちゃんが喋った…」


川畑さんが一番驚いていた。


ガスちゃんとは私が名前を名乗らなかったので川畑さんらが私につけたあだ名だ、そんなことは今はどうでもいい。


驚きのあまり目を見開き口をあんぐりと開けている。


美人が台無しだ。


「なんだ喋れるではないか…ここの人達は君の事を人形だと言っていてな、話さず、笑わず怒らない。表情がかわらず人形みたいに変化ないとな、だが話が違うな人間みたいに怒るし、話す表情だってコロコロと変わる」


音無は先ほどの怒りの形相は何処にいったのかニコリと笑って言った。


「表情わかるの?ガスマスクで見えないけど」


川畑さんは音無に言ったが、


「顔なんか見なくともそれぐらいわかる可愛らしい表情だ」


音無は根拠が無いのに自信満々の表情で川畑さんに言った。


「ははははははははははははははは」


私は大声で笑った、涙がでたこんなに笑ったのは久しぶりだった。


「なんだ私を口説いているのか?」


私は笑を堪え音無に言った、冗談のつもりで

だ。


「そうなるな、君を初めてみた時絶対に叶わない僕の初恋の相手にあった時みたいにドキドキしたからな」


冗談で言った言葉に返って来た答えは驚く物だった。


初恋?口説いている?私を誰が?音無が…


私はこの時点で四つの感情を取り戻した。


一つ目は笑い。


二つ目は喜び。


三つ目と四つ目は同時に来た。


それは怒りと悲しみだった。


少し手直ししました。

踊り子のような格好の理由はマスターの条件です。

サブタイトルをつけ忘れていましたのでつけました

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