決意
お久しぶりです。
やっと時間が動きました
「何を言っているのだ君は…
「僕は君が好きだよ、だから僕の代わりに石沢先輩の生け贄になって」
泡沫は掠れた声で言った。
な、なんだうっかり新たなる扉を開いてしまうところだった…って何で僕は少し落ち込んでいるのだ僕は心の中で自分に突っ込むと
「全く君は…僕は君が嫌いだ」
と心にもない事を言った。
すると、泡沫は今にも泣き出しそうな顔で
「私は君が大好きです」
と無理に作ったような笑顔で言った。
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チャイムが鳴ったからか石沢先輩は追ってこなくなっていてその隙に僕たちは教室に戻った。
あんなに朝は執拗に僕たちを追っていた石沢先輩はその日は追ってこなかった、石沢先輩に怯えつつ僕はなんとか奏汰を演じきれたと思う。
いきなり喋ったものだから声は聞こえたものじゃなかったけれど、風邪だと誤摩化した。
表情はどうしても元通りには行かなかったがそれはマスクのおかげで助かった、放課後になり僕は遊びに行こうと誘ってきた音無を泣く泣く振り切り家路へと急いだ。
「奏汰」
「えっ!し、喋!?」
家に帰りソファーで寛いでいた奏汰に声を掛けた、いきなりだったからか奏汰は驚いていた。
「僕は…もう奏汰の代わりに学校に行かない…」
僕は自分の決意を奏汰に伝えた、学校でずっと考えていた事だ僕は奏汰の代わりしか出来ないけれどそれでしか自分の存在価値が見いだせないけれど。
それでも僕は僕として生きる事に決めた。
「そうかなら「だから僕は出て行くよ」
奏汰は何かを言おうとしたけどそれを遮って僕は言った。
もう決めた事だから。
僕は荷物もまとめずそのまま家を出て行った。
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僕は斉藤先生の家に向かった、頼る相手が先生だけしか居ないからかな。
斉藤先生はいきなり訪ねてきた僕を快く迎えてくれた。
「奏ちゃん、何があったの?」
僕は斉藤先生が出してくれたレモンティーを一口のみ自分の決意を話した。
「そう決めたのね…良かったじゃあ始めましょうか?」
「何を始めるのですか?」
「あら?忘れたの、まあ良いわ勝手にするから」
そう言うなり斉藤先生は呪文を唱える。
「な、何を?」
慌てる僕を他所に詠唱を終わった斉藤先生は満面の笑顔で僕を見た。
「何ってあなた達の時間を取り戻すのよ」
斉藤先生がそう言い終わると僕の体は光に包まれた。




