コントロール
僕はその後、家に帰り僕がギルドに入る事を除き全て奏汰に報告をした。
「まさか、そんな事になるとはね…」
奏汰は予想外の出来事に混乱している様子だけど想像していたよりも冷静だ。
「とにかく、暫くの間は奏は学な校に行かない事にしようか」
「でも、来週テストだよ大丈夫なのか?」
と、僕。
「大丈夫、大丈夫。僕だって奏に替わってもらっている間何もしていなかった訳じゃないんだからさ」
そう言った奏汰の顔色は悪かった。
─
それからの僕はとにかく忙しく余裕の無い毎日を送る事になった。
影武者が出来なくなりその分ギルドに赴き働く。
奏汰や母さんにバレないようにこっそりするのには骨が折れた。
奏汰は上手くやっているようだ。
テストも僕がみっちり教えたので何とかなったみたいだ…
能力だって僕の能力より奏汰の能力の方が重要とされていた。
僕は能力だけは僕の方が重要だと思っていただけにショックが大きい。
今の僕は僕が今まで1番恐れていた奏汰に必要とされない状況に陥っている。
正直ショックだ何がショックかって言うとそれほど傷ついていない僕自身にだ。
僕は奏汰にしかなれないのに奏汰としてしか生きる事が出来ない筈なのに…
僕は音無を好きになって、斎藤先生にバレてギルドに所属する事になってからかな貪欲になってしまったのかもしれない、僕は僕として生きたくなってしまった。
そんなことは許されないのに…
僕は自分の気持ちをコントロールする事が出来なくなっていた。




