ギルド
「お願いって何ですか?」
僕は泣き止み鼻を啜りながら言った。
「簡単な事よ、私が所属しているギルドに入ってくれれば良いのよ。ねっ簡単でしょ」
「しかし、僕は既にギルドに所属しています。一度入ったら簡単にギルドを変えれない事は知っていますよね?」
ギルドは一度所属すると余程の事が無い限り変える事が出来ない、余程事とは例えばギルドその物が無くなったり、ギルドマスターが犯罪をしていたりとかだ。だから、ギルド選びは重要な事。その事は誰もが知っている。その辺を歩いている小学生だって分かりきっている事なのだ。
「何言っているの?あなたはギルドに入っていないじゃない奏ちゃん」
「……………!?」
確かに斉藤先生の言う通りだった、僕は所属していないしているのは奏汰だ。
「ギルドにあなたが入るの」
「私が入る…」
「そう、それが条件よ」
僕としてギルドに入る…
僕は奏汰としてしか生きられないのに
僕はそう思い斉藤先生を恨むに見たが、斉藤先生はニヤニヤと笑っている。
条件を変える気が全くなさそうだ。どちらにしても僕には拒否権はない、もし、バラされてしまったら僕だけではすまず、奏汰や母さんにまで非難が及び取り返しのつかない状態になってしまう。
僕は諦め、一つ大きなため息を吐き、口を開く。
「その代わり僕にも条件があります」
「何?」
「僕がギルドに入る事、奏汰には黙ってて欲しいんです」
これだけは譲れない…
「分かったわ、かな君には言わない勿論あなたの母親にも言わないわ。そうだ!どうせならあなたの正体を徹底的に隠しましょ♪ギルドにはあなたが好きな時に行って、でも行かないとか無しよ。週に一度は必ず行くこと。分かった?」
斉藤先生はあっさり僕の条件を呑みそれどころか僕に協力的だ。
「…は、はい」
僕はやけに協力的な斉藤先生を不審に思いながらも返事をした。




