失敗
今日は園原の清純派アイドル系崩壊で幕を閉じた。
まあ、そんなことは僕個人としてはどうでもいい事だ、そんなことより僕が音無を好きになってしまった事の方が重要だ。
とりあえずは明日から一週間楽しみだなと思い鼻歌まじりに家に帰った。
「明日は僕がいくから」
学校から帰って来た僕を見るなり奏汰は言った、僕はショックを受けたが極力顔には出さないで理由を聞く事にした。
「何故だ、僕は上手く女装をした筈だぞ?」
「確かに奏は上手くやってくれたよ、でも上手すぎたみたいだね。まあ考えて見たら当たり前の事だよね奏は一応女の子って事を忘れていた僕が悪いんだけどさ」
奏汰はやれやれと首を振りつつ言った。
「何が言いたい」
「だ・か・ら、上手すぎたんだよ。おかげさまで大変な事になっているらしいよ。沢山メール来てるけど、僕は本当は女の子だとか付き合ってくれとか奏、一体何をしたんだい?」
「…べ別に僕は何もしてないよ」
僕は目線を奏汰からそらして言った。
「じゃあ何故こうなったかわからないけど、とにかく大変だ大変だ明日頑張らないとね~」
奏汰は気づいているらしく言っていることが棒読みになっている。
ヤバい、どうしよう…僕とした事がやってしまった。
僕は奏汰の影武者なんだもしバレてしまったら僕の存在価値がなくなるのに…
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいもう失敗しないからだからお母さんには言わないで」
僕は必死に謝り頭を床にこすりつけ土下座をして謝った。
「……そんな冗談だよ、前から思っていたけどさ奏」
奏汰は急に真面目な顔つきになりいった。
「何?」
僕は奏汰の方を真っ直ぐに見たが今度は奏汰の方が目線をそらした。
「いいや、何でもないよ」
(本当は僕の影武者なんかしなくて奏は奏として生きれば良いとか言いたいけれど、これは同じ一卵性の双子でも母さんに愛されてる僕が言ってはいけない事だから…言えないな)
と本当は色々考えていた奏汰はこれからどうしようかと独り悩んでいた。




