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機動女神エターナル・レッド ケモ耳ニャン子は俺の女神様?  作者: さば・ノーブ
第3章 Heaven On Earth 地上の楽園
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宇宙要塞カイツール その2

夏です(物語の中も)

ですから。


挿絵(By みてみん)


萌「文句あるの?!」


いいえ・・・

宇宙要塞カイツールと防衛艦隊は、無謀にも銀河連邦宇宙艦隊との決戦を挑んでしまいました。


艦隊の規模からしても、個々の戦闘力を鑑みても。

ドアクダー巡洋艦部隊が歯向かえる相手では無かったと言うのに。


紅いレーザー光線が宇宙空間を切り裂く度に、ドアクダー巡洋艦部隊は被害を受け続けてしまうのでした。


連邦艦隊の主力は、全長2000メートル級の警護艦<ペルセウス>を始めとした砲撃打撃部隊。

主砲は戦艦クラスの40センチを装備し、ドアクダー艦を大きく凌駕していたのです。


口径も2倍なら、射程距離も然り。


砲撃が届かない距離から一方的な射撃を受けて、ドアクダー艦は一隻また一隻と戦線を脱落していくのでした。

艦隊決戦だけを観ていれば、最早勝負は決したかに思えましたが・・・




旗艦に座上しているレミュウス補が、モニターに映っていない物を見据えて警告を発します。


「敵は機動メカを繰り出して来るわよ」


砲撃には手の打ちようもないと悟ったのか、ドアクダーは艦載機を進出させてくるようなのです。


「レーダーには映っていませんが?」


艦橋の測敵官が艦長に、反応はないと報告するのでしたが。


「アンチレーダー粒子をばら撒いてあるらしいわ。

 どうやら敵も待ち構えていたらしいわね・・・」


艦隊の動静を読んだ結果、この空域で決算になるとドアクダーは前もって攪乱幕を展開していたとレミュウス補は言い切ったのです。


「奴等の情報力は侮れんという事ですかな」


艦隊の指揮を執る旗艦の艦長は、それでも余裕をみせています。


「敵が機動メカを放って来るのなら、こちらも迎え撃つだけでしょう」


レミュウスの警告を受け、艦隊が奇襲を喰らう前に。


「前衛艦に通達せよ。

 小型機に注意し、一点集中突破で敵要塞に突撃せよ!」


第1艦隊と第2艦隊の前衛部隊に、機動メカの攻撃を返り討ちにしろと命じるのでした。


「艦隊主力は砲撃を継続。

 敵艦隊を撃滅し、小惑星要塞を無力化せよ!」


防衛艦隊など、張子の虎だと謂わんばかり。

連邦艦隊の圧倒的火力には、太刀打ち出来ないと指揮官は命じたようでした。


「そうなれば良いんだけどね」


何かを探るようにモニターを見詰め続けるレミュウスも、戦闘の趨勢を見極めかねているようでした。




次々と火を噴くドアクダー艦隊の脇を掠め、迷彩色に彩られた小型機が向かって来ていたのです。


大きさは15メートル位。

宇宙戦闘を考えれば、かなりの小型機でしたが、それぞれに装備されてある火力は侮りがたいとも言えます。

人形を模る機動メカには12センチクラスのレーザー砲とミサイルが装備され、小型の突撃艦くらいの武装を誇ってもいたのです。


その機動力は艦艇などとは違い、機動を名乗るだけのことがあったのです。


操縦を司るのは人工頭脳。

各個に展開し、個別の目標を攻撃可能。

攻撃を主眼に置いた機体は、装甲などは持ち合わせてはいませんでしたが、高い機動力で敵を圧倒するのが任務でした。


その機動メカが群れを成して襲いかかって来たのです。

前衛艦隊へと。


前衛艦隊の警護艦は、突撃体制に移行した処だったのです。

艦載の突撃艇を発進させ、密集隊形にて中央を突破する計画だったのでしたが。


突如右舷上方からの攻撃を受けて、突撃艇が撃破されてしまったのです。


艦載の突撃艇は全長が70メートルあったのですけど、真ん中部分に砲撃を受けて真っ二つに裂かれてしまったのです。


「敵襲!敵は機動メカを展開して来た!」


横合いからの奇襲で、突撃艇部隊は大混乱に陥ってしまいました。

高速力で動き回る機動メカを捉えるのは、レーダーを無力化された空域では至難の業だとも言えます。


目視で捉えても攻撃が伴いません。


「全艦、密集隊形を維持せよ!

 各艦は対空射撃を以って機動メカに対処せよ!」


小型機の奇襲から逃れる手段として、密集隊形は取り得る良作だとも言えるのですが。


「突撃艇256号撃沈!僚艦<ベアルン>中破!」


被害を受けずに済む訳ではありません。

対空射撃に因って何機かを撃墜はしたものの、纏わり着く機動メカを駆逐は出来ないようです。



「前衛艦隊に被害が出ている模様!」


通信士官が戦闘の経過を知らせて来ました。


「ほぅ?ゲリラ攻撃でいくらかは損害を受けたか」


指揮官は、小型機の攻撃を完全に抑えきれていない現状でも楽観しているみたいです。


「小うるさい蚊トンボ共は、網で絡め捕れば良いのだ」


前方に見えている味方艦隊の被害に業を煮やして。


「前衛艦隊に命令。

 突撃艇を下がらせ、全方位ミサイルにて駆逐せよ!」


味方の護衛艇を後方へ下がらせて、主力艦のみで機動メカに対せよと発令したのです。


「全周攻撃の用意。

 味方に多少の被害が出るかもわからんが、殲滅するにはこれしかないだろう」


巨大な警護艦からの一斉砲撃に因り、機動メカを殲滅してしまおうと言うのです。

2000メートル級の警護艦一隻から約300本のミサイルが放てます。

前衛艦隊に配備された<ペルセウス>クラスの打撃艦は6隻。

都合1800本ものミサイルと、対空射撃を掻い潜れる機動メカが存在し得るのでしょうか?


一斉に踵を返す突撃艇が、射程圏外まで下がる暇も無く。


「全艦、発射せよ!」


前衛艦隊がミサイル発射煙で観えなくなってしまいました。

6隻から放たれるミサイルに因り、ドアクダーの機動メカも逃げ場を失い・・・





 ドドドドドッド!





瞬く間に駆逐されて行きます。

光と煙が宇宙空間に棚引き、やがて残されたのは連邦の艦艇のみだったのです。


「敵機殲滅!我が前衛艦隊の被害は極小!」


仲間討ちは僅かに済んだと、通信官は言うのですが。


「被害を受けた艦は後退せよ。 

 本、主力艦隊に道を開けよと言ってやれ」


敵防衛部隊は壊滅の憂き目を浴び、要塞は丸裸になってしまったようです。


「これより敵要塞へ攻撃を集中する。

 主力艦隊を以って、撃破を試みる!」


前衛艦隊を後方に引き揚げに懸からせ、主力艦隊で要塞に向かうと。


「小惑星がどれ程の戦闘力を有しているのか分からんが。

 全艦での砲撃を受ければ、忽ちにして沈黙出来得るだろう」


相手の装備が分からずに攻撃をかけてしまった連邦艦隊。

防衛部隊は駆逐できたのでしたが、本拠には如何なる秘密が隠されているのでしょうか?



味方の艦隊や機動メカが全滅しても、要塞は降伏しませんでした。


銀河連邦軍に包囲されたとしても、降伏などしなかった理由は?



迫りくる艦隊を狙う巨砲が存在していたからです。


岩塊に潜んでいたのはドアクダー自慢の衝撃砲。


連邦の警護艦の射程を優に凌ぐ巨砲が、鎌首を擡げているのでした。

要塞小惑星にこの砲あり・・・と。


要塞カイツールには、艦隊を殲滅し得る砲があるのだと。


瞬間転送装置を持つ巨砲は、第1の目標を選択したのです。




「司令官。

 不用意に近寄り過ぎなのではないかしら?」


レミュウス補が、不安を感じ取って忠告するのです。


「あの惑星には秘密兵器が備えられているみたいよ」


さすが、保安官に準ずる異能を誇っているだけに読み切っているようです。


「艦隊が壊滅しても降伏しないのは、

 要塞には我々に勝てるだけの装備があるって事でしょ?」


「ふむ・・・なるほど」


信頼する保安官補からの忠告を受け、指揮官が命令を変更するか逡巡した時でした。


要塞を捉えてあった天井のモニターに、強力な光が映し出されたのです。


「なんだ、あの光は?」


指揮官が眼を剥いた時には、光は一瞬で消えていました。


「発光は砲撃によると思われますが?」


熱源体は要塞からだと測敵官は言うのでしたが。


「瞬時に消えた模様」


観た通りに報告して来ただけだったのです。


「まだこちらの射程圏外なのだぞ?

 これ程遠くにまで届く砲が存在するとでも言うのか?」


指揮官はそう言ったのですが、レミュウス補は頭を振って言いました。


「兵器に絶対などと言うのは間違っていますわよ」


全ては人が造った物なのだから。

神のみぞが知る運命には、逆らう事は出来ないのだからと。



それは衝撃を以って表されました。


土星沖宙域において、初めてドアクダーが連邦艦隊に衝撃を与えた矢となったのです。


艦隊右側に占位していた主力艦が、光に包まれてしまったのです。



そして、たったの一発で。




 グワアアアアアアアアアアッ!




2000メートル級の警護打撃艦が撃沈されてしまったのです。


それが要塞カイツールの秘密兵器。


それが瞬間転移衝撃砲の威力。


その光の矢が生むのは破壊と破滅・・・



宇宙要塞カイツール。

連邦艦隊の接近に際し、秘密兵装を解き放ちます。

それが端緒となって・・・


レミュウス補は、決断を迫られるのです。

あの兵器を使うかどうかの・・・


次回 宇宙要塞カイツール その3

人はその時、自らの行為に恐怖する・・・

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