タイムリミット その3
応戦するアリシア・・・
で?
2人はどうしてるんだ?
灼炎王の結界の中で闘いが進行していた同じ時。
ユージと萌にも3つの影が襲いかかろうとしていたのです。
そいつ達は人の姿をしてはいたんだが、人間だとは思えなかった。
「ガハハハッ!」
「歯向かうなら、死ぬが良いさ!」
「俺達の姿を観ちまったんだからなぁ」
勝手なことを口々にほざく人型は、夜闇から身体を現しやがったんだ。
身体の殆どを覆い隠した金属の服を着てやがったんだ。
黒鉄の鎧とでも言えば理解できるかな。
奴等が自分達の事を黒の3連鬼って言ってやがったのが分ったよ。
「確かに黒いけど。鬼というよりはサイボーグっぽいな」
俺の所見は、そんな処だ。
機械の身体に人間の頭脳を持つ、人類の為れの果てに思えたんだ。
鋼の鎧には各部に付けられているボタンやランプが明滅してやがる。
一体今迄、どうやって隠していやがったんだ?
幾ら暗いからと言って、影状態でも目立った筈なのに?
俺が鎧を纏う3体のドアクダーに、怪訝な顔で観ていたら。
「ふふッ!これをいつの間に着たのかって思ってるんだろ?」
「装着する瞬間なんて目で観たって解かるもんか」
「魔鋼戦闘服はなぁ、瞬間転送装置で送られるんだぜ」
3体の内、兄貴分らしい真ん中の野郎が知らせてくれたんだ、わざわざ。
「ベルトのバックルについてる装置を稼働させれば、瞬時に装着できる仕組みなんだぜ。
しかも、結界と呼ばれる亜空間だろうともお構いなしにだ」
奴の言うのが本当なら、鋼の鎧は異星の科学力を意味している。
つまりは、ドアクダー確定って事だよな。言わなくても判ってたけど。
俺と萌が黙って聞いていると、怯えたと勘違いでもしたのか。
「ナンバー11様から命じられているんでな。
下手に死骸を晒して事を公には出来んのだ」
「そうそう!巫女を船まで運ぶまでは・・・な」
「ってことで。結界とやらの中で死んで貰おうか」
俺を始末して萌をどこかへと連れて行く気なのを喋りやがった。
「船とか言ったが、それは宇宙船とか言う奴なのか?」
俺は親爺達が探していた宇宙船を指しているのかと思ったんだが。
「はぁ?なんだよそれ」
「死ぬ奴に答える義理はねぇ」
「船と言えば海に浮いてる奴に決まってるだろうが」
最後の最期に晒しやがったんだ。
3体の内一番口の悪い左の奴が、宇宙船ではないのだと。
でも・・・と、考えてみる。
もしかしたらその船ってのに宇宙船が載せられているかもしれない。
わざわざ海外に連行するなんて気の遠い話を、ドアクダーがする筈もない。
近頃流行りの密航鞄に詰め込んで、萌をどこかのアジト迄連れて行くなんて馬鹿げた話だからさ。
船なら宇宙船を管理し易いだろうし、邪魔な組織から護れも易い。
それに何よりドアクダーの資金力だったら可能だし、目的の完遂も早まるんだから。
「それだけ、こいつ等も焦りだして来た証拠なんだろうな」
俺はアリシアが来てから、地球上のドアクダー全てが動揺し始めたのを知っている。
俺と萌を取り巻く世界が、新たな歴史を刻み始めていたのも判っていた。
「そしてそれも皆、彼女の願いを果す事が出来るのかが鍵なんだ」
俺のシャツを掴んでいる萌を横目で見る。
彼女の継承者になった義妹は、じっと俺を見詰めて来ていた。
「安心しろ萌。俺が居る限り奴等には、指一本たりと触らせたりしないから」
「うん!分かってるわユージ」
微かだけど、しっかりした口調で返して来た・・・俺を兄と呼ばずに。
か弱い少女の萌。
ここの処急に大人びた言動を執るようになってきていたんだけど。
なんだか、懐かしい声にも思えてしまうんだよな。
「まぁ・・・それが当たり前なんだろうけど」
俺は萌の声を聴いて、使徒から告げられたのが真実なのだろうと思えた。
「いつの日にか、それが来るんだろうな」
巫女を継承した萌を護り抜けば・・・彼女が願いを遂げた暁には。
「何をごちゃごちゃ言ってやがる?」
「なんだぁ?お別れでもしてやがるのかぁ?」
「命乞いでもしてくるかと思ってたんだぜぇ?」
俺の感傷もそこまでだった。
黒の3連鬼が、想いを中断させたのが合図になる。
「さっさと結界に連れ込んだらどうなんだよ」
右手を握り締めた。
「萌は渡さないぞ」
天使に限界を命じる時を図る。
勇者剣士の異能を顕す剣を手にするタイミングを。
「ひゃっはーッ!」
「一撃でブッ殺してやるぜぇ~」
「お嬢ちゃんは戴くからなぁ!」
勝手なことをほざくな!
嘲たければ闘ってからにしやがれってんだ。
真ん中の奴が大袈裟に水晶珠を放り投げやがった。
それが合図。それが戦闘を告げる鐘となった!
「こっちこそ!一撃でお前等を吹き飛ばしてやるだけだ!」
投げ揚げられた水晶玉が破裂し、瞬時に周りの景色が替えられた。
空に魔法陣が描かれ、そこから延びるオーラに包まれ。
辺りは俺達を中心にして、赤黒い世界に染まった。
「ユージ!」
萌を左手に捉まらせようと、左手を差し出す。
俺の求めを悟った萌の手の感触、それが合図になった。
「いくぞ萌!」
「は、はい!」
俺は振り返らずに叫ぶ。
「俺の天使よ、力を現わせ!
勇者剣士が使役する魔王剣となれ!」
そうさ、俺はいきなりサンダルフォンに全力戦だと告げたんだ。
相手の力が図れない現状で、3体を相手にする不利を考えて。
出来る事なら、唯の一発で仕留めなければいけないとの判断から。
俺の求めに天使は応じてくれた。
応じつつも、警告して来るんだ。
「「我が主よ。3体を一撃で滅ぼすのは不確実。
狙いは甘くなりますが、戦闘不能とする事は出来ましょう」」
サンダルフォンの言う意味が解った。
敵の攻撃を防げば、それでことが足りるのだと。
「相手に攻撃を赦すな!先制攻撃をかけるぞ」
どうせ倒せないのなら、攻撃される前に一撃を放った方が萌の為でもある。
守護すべき者が居るから、先ずは安全を確保したいんだ。
「「承知!」」
王者の剣として現界した天使の形が変わる。
刃渡り1メートル程だった剣が、魔王剣として巨大化する。
勇者剣士の誇る最期の剣。
神々から審判を司る天使として下命されたサンダルフォン本来の姿へと。
魔術文字の描かれた刀身部が蒼く光り、周りを模る破邪の刃が金色の輝を纏った。
刀身部だけでも王者の剣より倍以上に伸び、天使の破壊力を伺わせる。
「3体同時に斬るぞ!」
「「異能チャージ完了、フルパワー放射可能!」」
右手を掲げた俺に応じ、天使が審判を下す態勢に入った。
相手に攻撃を受ける前に。
この手で萌を護る為に。
そして・・・邪悪な者から全てを守る為。
「うぉおおおりゃぁあああッ!」
黒の3連鬼に向けて、俺が最大出力の異能をぶちかました。
ズドドドドドドドドドド・・・
蒼き輝が奔流となり、黒の3連鬼を押し包む。
この一撃で倒せないとすれば、奴等の鎧はバケモノクラスだろ?
赤黒い結界を蒼き輝で染め抜いた俺の一撃。
最期の剣サンダルフォンが放った、全力全開の一撃なんだぜ?
ド グッ ワァァァァァァァァンッ!
ドアクダーを包み込んだ天使の破壊波。
猛烈な爆発が巻き起こり、結界を閃光が奔ったんだ。
シュゥウウウ~~~~~
光が消えた後には、破壊を齎した俺と萌だけが残った筈なんだ・・・けど?!
「どうして結界が消えないっ?!」
瞬時に分かったのは、結界を張った奴がまだ残っているってのと。
「ユージ?!」
萌が恐怖で俺を呼んだ。
「ああ、分かってるさ。
もう一発ぶちかましてやるッ!」
敵は未だに健在だってのとが判ったんだ。
爆焔が消えた跡には、黒の3連鬼が・・・まだ佇んでいやがるんだ・・・
手強いのは分かっていましたけど。
なんだか勇者剣士にも不利な状態が?
一体どうなるのでしょう?
この先の戦闘がどっちへ向かうのか?
ニャン子は?
ユージと萌は?
次回も苦戦を余儀なくされそうです?!
次回 タイムリミット その4
ナンバー付きの大幹部は嘲笑う?そして黒の3連鬼は?




