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機動女神エターナル・レッド ケモ耳ニャン子は俺の女神様?  作者: さば・ノーブ
第2章 ブルーブラッド
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友か下僕か? その3

戦闘開始!


先ずは灼炎王アリシアが向かうのです・・・けど?

炎の結界に戦闘開始のゴングが鳴った・・・気がした。



「一撃で葬ってやるニャ~~~ッ!」


アリシアが勢い込んで突っかかって行くのを、停めもせずにいた。

手に捧げ持った魔法剣の威力を知る俺には、当然の事にも思えていたんだ。


これまでの敵を思い返せば・・・倒せると踏んでしまったんだ。


「喰らうニャぁッ!」


炎を纏う剣が上段に構えられ、灼炎王アリシアが吠える。



だが、相手のドアクターは身動みじろぎもしない。


いや、良く見たら哂ってやがるのか?!


「気を着けろアリシア!」


俺の声が届いたのかは分からない。

灼炎王のアリシアは構えた剣を振り下ろそうとしていた。


が?!


「ふふふッ!おいニャン子娘よ」


哂うドアクターのおっさんがアリシアに呼びかけたんだ。


「何ニャぁッ?」


振り下ろす寸でに呼びかけられたアリシアは、咄嗟に訊き返してしまったんだ。


その瞬間、おっさんドアクターは口を邪に歪めやがった。





 ビュルルルゥッ!




何が起きたのかを理解しようにも、あまりに突然だったんだ。




挿絵(By みてみん)




「ニャアアアァッ?引きずり込まれるニャぁ?」


おっさんの手に持たれた瓢箪のような物から猛烈な渦が巻き出る。


いや?違う。


「アリシア逃げるんだ!」


その渦は吹き出されたんじゃない。


「おっさんの瓢箪に飲み込まれてしまうぞ!」


引き摺り込もうとする異能の竜巻が、アリシアを襲っているんだ。


「悲ニャアぁぁぁぁぁあああああ~~~~」


俺の見ている前でアリシアが瓢箪に引き摺られ・・・


「アルジ~たしゅけてぇ~~~ニャァ~~~」


瞬きする間に瓢箪に飲み込まれてしまった!





 パックん!




アリシアを飲み込んだ瓢箪の口に、おっさんドアクダーが蓋をする。


「なっ?!どうなっちまったんだ?」


俺は信じられず、消えてしまったアリシアを探してしまった。


「アリシア?おいアリシア?!」


だが、哂うおっさんドアクダーに気が付いた時。


「キサマっ?!アリシアをどうする気だ」


怒り、そして困惑。

二つの感情が入り混じり、俺の中で爆発してしまいそうだった。


「ぶぁっはっはっ!邪魔者は排除するだけの事だ」


ドアクダーのおっさんから返されたのは、嘲る声と忌み嫌う一言。


「お前達が邪魔するのなら、悉くこの琥珀浄瓶こはくじょうびんに吸い込んでやるわ」


「琥珀?どこかで聞いた事のある様な?」


ドアクダーが言う琥珀浄瓶とは?


「あの伝説である三蔵法師が遭遇した?

 相手を飲み込めるという魔法の瓢箪か?」


金閣銀閣とかいう魔物(実は老子の童子が試練の為に遣わされた姿)が持っていたとされる空想の瓶。

それがどうしてドアクダーが持っているんだ?


「ふ・・・原住民が惧れを抱いて伝説に仕立てたまでの事。

 現実に存在していてもおかしくはないとは考えないのか」


なんだって?

先祖の誰かがドアクダーが持っていたのを観たとでも言うのか?


と、その前に。

数千年も前に、ドアクダーが来ていたのか?


「一体お前達は何者なんだよ?

 いつから地球に来ていたんだ?どの時代から存在しているんだよ?」


ドアクダーって奴等自体が分らなくなる。


「さぁな、俺には係わりが無い事だから知らん。

 だが、一つだけ言っておくぞ小童こわっぱ

 お前が護る<地図の巫女>も同じだというのを・・・な」


萌に宿るモエルさんが?

そんな大昔からずっと?


「そういえば、数万年とか言ってたっけ」


気の遠くなる過去からずっと逃げ隠れて来たって。


「それも今日でお終いになる訳だ。このキンギン様に因って」


嘲笑うドアクダーのおっさんが俺の後ろを指しやがった。


俺の後ろ?

そこに居るのは雪華セッカだけの筈じゃぁ?


「あ・・・萌?!」


危険だからアリシアと雪華さんだけで応戦する手筈だった。


だった・・・のに?


「なぜ結界の中に?」


と、そこに居るのは萌だけじゃなかった。


「みんな?どうして」


倒れ込んだ雪華セッカを介抱するのは(ラン)

既に妖狐の異能を纏った白拍子姿に変身している。


「結界の中に居るんだ?」


3人を後方から護っているのは地龍の鎧を纏ったシンバ。


「それは飲み込まれちゃったニャン子にでも訊いてよ!」


萌が俺に返して来る・・・精一杯の強がりを顔に出さず。


「巻き込まれたんじゃないのだけは言っておくよ」


地龍の剣を結界に突き立てたシンバも。


「ゆー君達のお手伝いをしなきゃ・・・ね」


旋風のランが風扇を開いて雪華を扇いでいる。


「少なくてもセッカには少々キツイ場所だもん」


氷の異能を誇るセッカには、炎の結界での戦闘は荷が重かったか。

熱に負けたセッカが半ば戦闘不能状態にあるのを、漸くそこで知ったんだ。


「すまぬ主よ、私には少々暑すぎの様だ」


ランが扇でセッカを涼ませている状態・・・


「そうだったのか、すまないな。

 次はもう少し考えてから発動させるよ」


セッカが戦闘不能状態・・・だけど。


「まだ、2対1でこっちが有利だ」


シンバと嵐が闘える。


「でもゆー兄ぃ。嵐さんを闘わせるとセッカさんを涼ませられないよ?」


「う・・・そ、そうだった」


だとすれば・・・シンバしかいない。

でも、シンバは異能戦を戦った例があるんだろうか?

相手は手強いドアクダーなのに、独りで立ち向かえるんだろうか?


俺は知らず知らずの内にシンバを観ていた。


「なんだよその顔は?

 ボクが戦えないって思ってるんじゃないのか?」


「あ、いや・・・闘い方を知ってるのか?」


質されて思い出した。

シンバは異能を制御出来るようになったと言っていたのを。


「ボクは地の龍を宿し、邪悪な奴を憎んでいるって言ったじゃぁないか。

 今感じるのは、依頼主だったこいつが邪悪そのものになったって。

 地の龍が言うんだよ、こいつを滅ぼせって・・・ね」


龍の剣を掴み、俺に言うんだ。


「だから・・・こいつはボクが倒す!」


土色の鎧を纏うシンバ。

地の龍を宿した娘が挑むと言うんだ。


「気を着けろよシンバ。

 奴の口車に乗るんじゃないぞ!」


一騎討を停められないと踏んだ俺が警告する。


「分かってるよ・・・」


にこりともしないシンバ。

邪悪なドアクダーを睨みつけ進み出る、地龍の使徒を纏った姿。


「よくもボクを騙したな!

 龍の贄になって貰うから!」


龍の剣を正眼に構えて吠えるシンバ。


「ボクの怒りを受けてみろ!<震撃しんげき巨顎あぎと>!」


剣を結界に突き立てて放つのは、いきなりの最終奥義?





 グガガガガガッ!




猛烈な地震波がドアクダーに向けて放たれる。

結界の地表が割れ、紫の波動が突き進んだ。



「うぎゃぁッ?!」


もろに喰らうドアクダーが揺れでたじろぐ。


「龍に喰われてしまうが良い!」


勝ち誇るシンバが吠えたんだ。


「龍に喰われるなんて嫌だぁ!おたすけ~助けてくださいぃッ」」


泣き声をあげるドアクダー。

だが、その顔には厭らしい笑みが?


「誰が助けてやるもんか・・・あ」


そう。

助けてくれと問いかけやがったんだ、キンギンの野郎は。


途端にシンバの躰が、瓢箪から沸き起こった烈風に巻き込まれた。


「シンバ?!」


「ごめん~ッ!やっちゃったぁ~」



 ギュルルル!



 しゅぽんッ!




あれよあれよという間に・・・

瓢箪が二人を飲み込んでしまった。


「畜生ッ!」


「ぎゃはは!これで分かったろう!

 俺様には勝つ事など出来んっとな!」


キンギンは勝ち誇ったように高笑いをあげやがる。

残された俺達には、奴から二人を取り戻して勝利を収めることが出来るのだろうか?


「だけど・・・やらなきゃ駄目なんだ。

 アリシアとシンバを瓢箪の中から救出して、キンギンを倒さないと」


勝ち誇るドアクダーキンギン。

果たしてユージは勝利を収めることが出来るのか?




 キィ~~~~




何かが扉を開き始めます。


誰かの中で・・・大いなる者が?!

なんということでしょう。

ドアクダーは見事に気勢を殺いだのです。

かつてこんな見事に闘う敵に遭遇した例がありません!

惚れ惚れする敵役ですね・・・なんて。

おっさんドアクダーを褒めてる暇はありませんから。


何かがやって来ようとしていました。

誰かの中で目覚めを果たそうとしているのは?


次回 ブルーブラッド・蒼き貴公子 その1

遂に?彼が目覚める??いいえ、目覚めるのは・・・<彼>の使徒!

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