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機動女神エターナル・レッド ケモ耳ニャン子は俺の女神様?  作者: さば・ノーブ
第2章 ブルーブラッド
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アサシン・シンバ その2

ユージを狙う者。


紫髪でオッドアイ?


娘の正体とは?

月夜に現れた少女が笑う。


斬られてみないかと、俺へ嘲笑ってきやがるんだ。


「ちょっと待て。

 いきなり人の足を蹴りつけて、今度は斬るだなんて言うのかよ?」


いくら女の子だからと云って、やっていい事と悪いことぐらいは分かるだろ。

斬るのは冗談だとしても・・・だぞ。


「はんッ!解ってないねぇ・・・アンタ。

 単に斬るのなら、もうとっくに斬っているさ。

 足に蹴りを入れられるのさえ分からなかったんだろう」


嘲笑う少女の言った通りだ。

気配さえも感じ取れなかった・・・俺には。


本気で斬る気なら、とっくに斬られていた筈なんだ。


でも、この子からは殺気のような物を感じられない。

斬る気なら殺気めいたものを感じる筈なんだが。


「どうやら・・・やっと分かった様だねぇ」


身構えた俺へ、少女が口端をねじ上げてニヤリと哂った。

その瞬間、少女の右手に持たれた月明かりをキラリと反射する刃が観えた。



挿絵(By みてみん)



マジでこの子は斬る気なんだ?



俺の中に宿る勇者剣士が、一向に目を開けないのは少女が本気ではないと観ているのだろうか。

それとも俺が死んでも差支えが無いだけなんだろうか?


「本当なら気付かれる前に斬るのがセオリーなんだろうけど。

 アンタという奴がどれくらいの危険人物なのかを知りたかったんだよねぇ。

 もっとこう、手強い奴かと思ったんだけどさ・・・がっかりしたよ」


あのなぁ、不意打ちしときながら云うか?


俺だって萌をイメージしてなかったら蹴りを避けていたんだぞ。

蹴られる瞬間に萌だと思い込んだのは、確かに甘かったとは思うけど。


「さっきから聴いてりゃぁ好き勝手言うけどさ。

 俺だって蹴られるのを感じ取っていたんだよ。

 もえと間違えてしまったのは不覚だったとは思うけどな」


「モエ?それはアンタのなんだと言うんだ。

 そいつはお前を常に狙う者なのか?そのモエって奴はアサシン仲間とでも言うのか?」


急に眉間を寄せた少女が訊き質して来た。

どうやらこの少女はドアクダーの一味とは違うようだ。

萌の存在を知らないのなら、少なくとも邪なる者達の情報を掴んではいない。


それにもう一つ。

アサシンとか言ったよなこの子は。


アサシン・・・つまりは暗殺を手掛ける者。

少女は暗殺を依頼されて来たとでも言うのだろうか。


「俺を斬るって言ったけど。誰かに頼まれでもしたのかよ?」


「頼まれもしないのに斬る必要があるのか?

 暗殺される理由があるからボクが此処に居るんだろう?」


ボクっ子に殺されなきゃならない理由か?

思い当たる節は一つだけだぞ。


「ドアクダーに頼まれたのか?」


訊く迄も無いと思うけど、訊き質しとかなきゃいけない気がしたんだよ。

だけど、オッドアイを半ば閉じた少女は首を傾げて。


「何言ってるんだ?

 ドアクダーって人の名前なのか?それともボクを小馬鹿にしてる気なの?」


憤慨したように言い返して来たんだ。


「依頼主に関しては口外しない決まりなんだよ。

 喩え、後数分で死を迎える奴に対してでもね」


おいおい・・・本気で斬りかかるつもりなのかよ?


「もう、ボクの顔を見てしまったんだ。生かしておく訳がないじゃない?」


あのなぁ・・・自分から名乗り出といて勝手なことを言うなよな。

あ、名前を訊いた訳では無かったっけ。


「そう言えば君の名前を聞いてなかったな。

 暗殺者とか言ってたけど、名前ぐらいはあるんだろう?」


「ふ・・・教える義務があるとでも?」


暗殺者が殺す相手に名前を名乗る筈もなかったか。


「でも・・・まぁ、気が変わった。

 シ  ン  バ ・・・ボクはシンバと名乗っておくよ」


紫髪を掻き揚げた少女が眼を細めて名乗ったんだ。

偽名かも知れないけど、またどこかで会った折にはそう呼べば良いんだよな。


そうさ。


俺は斬り殺されるなんて御免だから・・・




 ポチ



左手の機動装置をオンにする。


アサシン・シンバは気が付いているんだろうか。

この場にもう一人現れようとしているのを。



俺は迫って来る異能を感じ取ったんだ。

いや、異能というより下僕のニャン子が駆けて来るのが判ったんだ。

紅い髪に黄色のトレードマークであるリボンを結わえている少女に備えたんだ。



「「(アルジ)。御命令ください」」


機械音声が装置から流れ出す。


「な?!なんだよ、それ?」


シンバが俺以外の声に動揺した。

だけどもう・・・遅かったみたいだぜ。


視界の隅にアリシアを捉えた俺が、


「灼炎王アリシアへ!アサシン・シンバを取り押さえるんだ!」


Tシャツとホットパンツ姿のアリシアへ、異能姿へ成れと命じたんだ。


「「了解ラジャー」」


音声が了承を告げる。

則ちニャン子は、戦闘態勢になるんだ。


「ニャっ?戦闘ニャ??」


駆け寄って来たアリシアは戦闘を予期していなかった?


「早く帰って来るように萌たんから言付かって来ただけニャニョニィ~?!」


あ、そうだったのですか。

てっきり御主人のピンチにグットタイミィ~ンで、やって来たかと思いましたが。


「でもニャ。アサシンといえば陰で人を殺す者ニャ。

 ほっておく事は出来ニャいのニャ~~!」


なんだかんだ言いながら、やはりアリシアは保安官補助手だったみたいですね。



 



 ボゥッ!




アリシアの周りに炎が舞い上がりました。


「アルジのユージが求めるニャ!

 アタシに闘えと命じるニャら、灼熱の炎で応えるニャ!」


突然命じられても、アリシアは拒否しなくなりました。

ユージに命じられたのなら、如何なる時でも戦闘少女へとなる。

一緒に今迄過ごして来たアリシアが、ユージを認めた証でもあったのです。


挿絵(By みてみん)


炎に包まれたアリシアが片手で胸を押さえ、


「アタシのアルジに悪さするニョは誰ニャ?!

 炎で捲かれたいのはどんな悪い奴ニャ!」


変身を始めたのです。



 紅い髪を結わえていた黄色いリボンが解け、それに併せてTシャツも掻き消される。


 炎が身体を包み隠し、全ての衣装が魔法の元で魔法衣へと還元されて行きました。


 結界の中ではない実世界に現れ出る灼炎王。


 白き魔法衣に包まれ、紅き炎で彩られ。


 現界するのは、アリシアだった灼炎王・・・





「悪しきを焼き払う灼炎王アリシア。

 アルジの求めに今、現界うつつよするニャ!」



紅き炎を纏うアリシアに、アサシンの少女が眼を剥くんだ。


「馬鹿な・・・お前!

 お前は炎王イフリートとでも言うのか?」


「そうニャ。そう呼べば良いニャ」


あっさり炎王イフリートを認めるアリシアに、シンバは顔色を変えると口端を歪めて言うんだ。


「まさかな。

 こんな場所で出遭うとは・・・ふふふ」


「?!なにがおかしいニャ?」


哂うシンバに、アリシアが質したんだ。


「いやなに。アタシと同族が居たなんてね。

 異能スタントは違えども、同じような力を持つ奴が居たんだと嬉しくてね」


?!言ってる意味が分りかねるが。


哂うシンバが、足を踏出すと。


「だったら・・・見せてやるまで。

 お前達にボクの能力を分らせてやるだけの事」


踏出したシンバの足の下が・・・揺れ動いたんだ。


「じ、地震か?!」


「ち、違うニャ!これは・・・」


激震が襲いかかって来るのを何とか堪えるのがやっとだった。

目の前で起こる変化に気が付いたのは、シンバが吠えたからなんだ。


「見せてあげるよ。

 ボクも君と同じように変身出来るのを・・・ね」


踏み鳴らす足元から、何かが湧き上がって来る。


「ボクは地の龍を宿しているんだよ。

 地の龍・・・震王シェイカーをね!」


シンバの足元が盛り上がって割れ、異能スタントが現界し始めた。

マジ展開に?!


これは大変な戦いに発展してしまうのでは?


炎王と震王との決着や如何に?


・・・ホントーに闘う気なの?


次回 アサシン・シンバ その3

いやあの・・・そんなこと言われたってねぇ?黒のカードって何でも出来るの?

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