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機動女神エターナル・レッド ケモ耳ニャン子は俺の女神様?  作者: さば・ノーブ
第2章 ブルーブラッド
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平穏家庭戦線異状アリ?!その2

モエル・・・


彼女はユージに何を話す?

なぜ?

どうして俺に話しかけたんだ?


もう一人のモエルは、俺に何を求めるのだろう。

自分が秘宝の在処を示す者だと言ってたんだ。

隠れ逃げる運命の娘が、俺に何をして貰いたいと言うんだ?


背中に居る義妹もえではない娘に質してみたくなった。


「なぁ、モエルさん。俺に何をしろって言うんだ。

 何がして欲しいのかを教えて貰いたいんだけど」


萌の躰に宿る娘が願うのは?


「そうね。あなたの中に居る勇者剣士(ブレイヴナイトユージにいだかれたいのよ」


へ?!


「あ、勘違いしないで!

 抱かれるっていうのは完全に覚醒して貰う為よ。

 剣士様の異能を完全なものとする為に、私をいだいて頂きたいって意味よ」


いやあの。それってつまり?


俺が赤面してしまうと、モエルさんは増々言葉を濁すんだ。


「ち、違うからァッ!抱擁じゃなくて身に纏うって意味で・・・ああ、もう!

 私はユージに抱かれたいなんて、想ってなんて・・・」


聴いていて思うんですが。


「想っているんだろ?」


思わず口を挟んでやったよ。


「そうよユージに抱しめられたい・・・うわッ?!」


誘導尋問に弱いんだな。

宿り主がこうだから、萌も口を滑らせやすくなっちまったんだろうか?


「あはは、正直なのは良いことだよ。

 モエルさんはもう一人の俺に抱しめられたいんだよな?」


「い、今のは聴かなかった事にして!」


慌てふためくのも萌と同じか。


きっとこの子も萌と同じように純情な子なんだろうな。


話してみて少しだけ、ほんの少しだけほっとしたよ。

萌に宿る巫女が人間臭い・・・いいや、可愛い子なんだと知れて。


「俺は良いけど、モエルさんの憑代はどうなんだ。

 もしも話が聞こえているんだったらさ、卒倒しかねないぜ?」


萌の意識が聴いていたらと思うと、何だか笑えてくるんだけど。


「あ、大丈夫。しっかり寝てるから」


そうなんだ、寝てるんだ。


「闘いの中で、既に私と入れ替わっていたから。

 あのままずっと眠っているわよ・・・もう直ぐ目覚めそうだけどね」


入れ替わる・・・萌とモエルさんが?


「あなたがユージ・・・いいえ、ユージニアスに変わるみたいにね。

 アルジのユージから勇者剣士に成る時には、意識を途絶えさせられちゃうでしょ?」


「そうだよ、気が付いた時には何もかも終わってるんだ。

 何も思い出せないし、何があったのかも分からない。

 突然だから・・・いつも」


突然・・・とは、言い切れないのかもしれない。

耳に入った巫女の名を聞いた時、俺の中で何かが目覚めるのを感じ取れたから。


「ユージはね、私の名を聞いた時に目を覚ますように暗示をかけたの。

 私の声が届いた時には現界してくれる。

 たった一つの約束を果たす為に・・・護ろうとしてくれるのよ」


ブレイヴナイト・ユージニアスは、巫女モエルを護り続けている。

それは今迄の経緯からも容易に分かる。

だけども、俺は釈然としない事があったんだ。


「それは分かったけど。

 一つ訊きたいのは、どうして二人が此処に居るのかって事だよ。

 逃げて来たのは分かったけど、なぜ隠れ続けなければいけないんだ?」


真実を話してくれたら、力になれるかも知れないと思ったんだ。

だけど、俺が訊いたのはモエルにとって残酷な現実だったようだ。


「私・・・私はね、死ねないの。

 もしも死を賜れるのなら喜んで受ける。

 でもね、私が死ぬ時には・・・宇宙の半分が消え去ってしまいかねないの。

 私が死ねば<翠の瞳>が発動して、強大な反転体が目覚めてしまうのよ。

 そうなれば反物質が宇宙に拡散して、どんな災いを呼んでしまうのか分からないの」


反物質・・・つまりブラックホールか?


モエルさんの秘めた地図というのは、俺達の知る絵図なんかではない。

秘められた凶悪な兵器を形成させる方法を指しているのではないのか?


<翠の瞳>と云う宝は、モエルさん自体を指している?!

まだ完全ではないモエルさんに秘められているのは、終末兵器の設計図を意味しているのではないのか?


逃げ隠れしてきた二人。

遂に邪悪なる秘密結社に存在が知られてしまった?!

だとすれば、ドアクダーは何としても手に入れようとするだろう。


「宇宙を我が物としようと企む者達から狙われ続けて来たの。

 何万年もの歳月を越えて、私達は逃げ続けているの・・・」


何万年?!そんな前から?


驚いたというより呆れてしまったぜ。

モエルさんもブレイヴナイトも、俺にとっちゃぁ化石だよ。

何万年も逃げ隠れして来たなんて・・・どうして闘わなかったんだ、運命とやらに。


「それじゃぁモエルさん達は永久に逃げ隠れするだけに終わる気なのか?」


「え?!」


俺は段々と腹が立って来たよ。


「どうして運命に抗わないんだよ?

 永久に逃げ続けられる訳がないじゃないか。

 逃げていたって何も幸せじゃないだろ?どうして立ち向かわないんだよ」


「え・・・えっと。考えた事も無かったわ」


ほらみろ。逃げの一手だけじゃ幸せなんて来る訳ないんだぜ。


「俺は思うんだ。

 永遠に隠れ続けようと努力する位なら。

 その力を幸せを勝ち取る為に使う方が賢明だとね」


「え?!どうやったら幸せになれると思うの?」


それを考えるのが幸せに向う第一歩だろ?


「俺にはどうこう言う資格なんて無いけど。

 一つだけはっきり言えるのは、逃げていたって何も解決できない。

 永遠に逃げ続けられたって、、君達の存在は無に等しいんだぜ」


そうだろ?

遠く永く続く逃避行は、有るべき者をも居ないと言ったにも等しいのだから。


「無・・・存在自体を打ち消す。

 もしも君達がそれに甘んじるのならば別だけどね」


でも、今はそれだって不可能になったんだ。

存在が知られた今、逃げるのにも限界があるだろう?

だったら、やる事は一つだけじゃないのかな。


「永遠に逃げるのは不可能だって言うのねアルジのユージは」


「永遠なんてもの自体が存在しないんだよ」


いつの日にかは終わりが来る。

それが俺達の生きる世界のきまりだから。


「なんだか。

 あなたと話していたらユージと話しているような気になるわ。

 彼もきっと同じ事を口にしたかも知れない」


あ、俺もユージなんですけどね。


「ありがとう子孫。話せて善かった・・・」


子孫?!


「もう、萌が起きるから。

 またの機会にお話ししましょう」


「ああ、話せて善かったのは俺もだ」


答えた俺にモエルさんが・・・萌の躰を使って。




 フッ




首筋に廻していた手に力が籠ったと感じたら。


頬に柔らかく暖かな感触が与えられたんだ。



「今日のお礼よ・・・ユージ」



はにかむ様な少女の声が耳に入った。

頬にキスを与えたモエルさんが、萌と入れ替わる前に残していったんだ。



「・・・え?!」


モエルさんの気が消え、萌となった。

どうしてそう思えたのかって?


急に背中の感触を感じるようになったからさ。

今の今迄軽かったおんぶが、途端に重く感じるようになったんだ。


「うおッ?!」


思わず背中からずり落としそうになった。

で、思いっきり背負い直したら・・・少女の躰を感じてしまった。

俺に似ていない美少女の萌の柔らかい躰ってモノを。


「うにゅ~・・・アタシどうしちゃってたの?」


眠気眼ねむけまなこの萌の声がする。

間違いなく義妹もえだと認識できる。


「おはよう寝坊助」


「はいぃ・・・いいいいいぃッ?!」


やっと自分が俺に背負われていたのを知ったのか。


「わぁ!このすけべ兄ぃ!」


暴れる萌だけど、降りようとしないのは何故だ。



「あ、萌さん目が覚めたのですね」


雪華さんが振り返って来た。

今の今迄ずっと黙っていたのが不思議だったよ。


「起こしたら悪いかと思って黙っていたんですよ」


そうなのか?なんだかそうじゃないような気がするんだけど?


「野良君が綺麗って・・・言ってくださいましたの」


そ、それは・・・いや。黙っておこう。


「ですから・・・余韻に浸ってましたの!」


あはは・・・そうだったんですか。


「そ、そりゃぁ・・・そうなの、ゆー兄ぃ?」


萌も雪華さんの可憐さを認めていたから、俺がフッとした瞬間に零してもおかしくないと考えたようで。


「雪華さんになら言ってもおかしくないけどぉ~」


なぜに語尾を引っ張る?!


「夜に言ったってボヤケルだけだと思いますねぇ~」


そりゃなにか?暗がりで言ったら綺麗も嘘になるとでも?


「まぁ、ゆー兄ぃがそう言っても・・・良いんだけどね」


今迄背中で暴れていた萌が、何故だかしな垂れて来やがった。


「ねぇゆー兄ぃ。本当に寝てたと思う?」


小声でボソッと言われた時は、びっくりしたんだけど。


「嘘寝だったのかよ?!」


正直信じられなかった、起きていたなんてね。


「どうかなぁ~。教えてあげない」


ニヤリと笑う・・・悪戯顔の萌。

屈託のない萌を見せられては、俺も笑うしかなかったよ。


もし、もしも。

頬にキスして来たのがモエルさんじゃなくて萌だったのなら・・・


どぎまぎする俺を、萌はにこやかに観ていたんだ。



家に辿り着く前。

ほんの一瞬、俺は萌が妹で良かったと思えたんだ。

ユージにとって、今回はご褒美回だったか?

どちらの萌がキスしたのかは・・・ご想像にお任せします。


段々とお話が見えてまいりましたね。

でも、まだ新キャラが必要なのです。

どんな子が?

それはまたの機会に・・・


次回 平穏家庭戦線異状アリ?!その3

平穏だった?!高校生活に新たな脅威が?それは・・・ユージを巡る女の戦い?!

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