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機動女神エターナル・レッド ケモ耳ニャン子は俺の女神様?  作者: さば・ノーブ
第2章 ブルーブラッド
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妖(あやかし)の少女 その1

挿絵(By みてみん)


今回はニャン子の出番は少ないようです・・・


アリシア「ニャンと?」

普段通りの授業風景。


退屈極まりない歴史の授業なのに、アリシアだけが熱心に聞いているんだ。


教壇に立つのは新たに担任になった畑本女史。

専門は日本史で、特に中世以前に造詣ぞうけいが深いようだ。


なんでも彼女は歴史の中でも<妖怪>に興味があるのだとか。

歴史と妖怪の接点はと訊いたら・・・曰く。


「妖怪は人が造ったの。

 不自然な出来事や架空の物体を観た当時の人々によって、生み出されたと考えられるの。

 妖怪が産まれた時代背景には、何らかの事象が起きたのは間違いないのよ」


彼女の持論では、歴史に埋もれた事象に因って妖怪が生み出されたらしい。


確かに否定できないとは思うよ。

雪華さんを観ていたら、ドアクダーの言っていたのが頷けるからさ。


氷結の魔法を内なる者に託された雪華さんが雪女に相当するのなら、ニャン子なアリシアは猫娘って処かな?


異星から来た異能者を昔の人が観たのなら、妖怪扱いしたっておかしくはないもんな。


まぁ、俺には普通の女の子にしか見えないけどね。



ニャン子なアリシアは日本史に興味があるみたいで、教科書を何度も読み返しては訊いて来るんだ。


「アルジのユージ、どうしてこの国は古来から一系の王族に治められ続けて来たニョか?」


小難しい事を堂々と聞きやがるんだ。


「さぁな、俺は皇族じゃないから分からねぇよ」


一般的な答えなら2600年以上も続いて来たらしいぞって言う処だけど。

アリシアはどうして続いて来たのかと問いかけたんだ。


日本は島国だったから、強大な敵に侵略されずに済んだだけなのかもしれないし。

ついでに言えば、幾度か内紛が起きて血筋が変わっても天皇制が存続しただけなんだから。


「これ程永らく存続出来た国家も珍しいニャが。

 王家を絶やさなかったのにも感心してるニャぞ」


異星人の中でも珍しいのか、日本の歴史って?


「アタシの母国も王国だったニャが、度々の戦で治世が変わったンニャ。

 長く続いたとしても400年が良い処ニャ。

 王家と貴族の時代では、その度に治政が変わって民は苦労したらしいのニャ」


ふむふむ。ニャン子星でも同じような時代があったと言うんだな。


「だから興味があるニャ、この国ニョ歴史には。

 もしもニャン子星がこんな国だったのなら、王家に纏わる悲劇は無かったかもしれないニャ」


アリシアが普段見れない程の知識を公開してるんだけど、俺には他所の星には興味が無かったよ。


「アリシアの星で起きた悲劇っていうのは、王族が民衆に倒されたとか?」


王家の末路って、大概人心の離反が理由だろ?


「違うニャ。

 ニャン子星では王家は今もあるニャ。

 未だに権力をある程度持っているニャが、悲劇は王家の一人に起きたんニャ」


「なんだよ独りってのは?」




・・・リンコーン・・・




勿体ぶるアリシアに問い質したんだが、ちょうどその時、昼休みに突入するチャイムが鳴ったんだ。


「おっ昼~ニャ!」


俺の問いかけを完全に無視しやがったアリシアが、そそくさと教室から出て行く。


「アルジも雪華ニャンも、早く行くニョだ!」


小走りで誘うアリシアに、俺は雪華さんを誘ってから後を追った。


俺達が集う、いつもの場所に向かうんだ・・・屋上へとね。





萌と春香さん、それに俺達3人が加わって弁当タイムに入ったんだ。


「萌ぇ~、今日も大量だねぇ~」


春香さんが萌の持ち寄ったリュックの中を覗き込んで囃し立てた。


「そ~よぉ、どっかの誰かが大喰らいだからさぁ~」


萌があからさまにアリシアを観るんですが。


「ニャ?そうニャか?」


一人だけ倍クラスの弁当箱を手渡されるアリシアが、嫌味を言われても気にもかけずに。


「萌たんの手料理は宇宙一ニャ!」


本気でそう言ってるのか、おだてているのか。


「アリシア・・・褒められてる気がしないよ」


萌はジト目でニャン子に答えています・・・正解だろうけど。




丸く車座になって弁当を食べ始めた俺達。


普段口数の少ない雪華さんが、弁当を片手に切り出して来たんだ。


「そう言えば、今日登校途中で見かけない制服を着た子が居ましたよね?」


不意に切り出した雪華さんが、俺達に訊ねたんだ。


「そう言えば・・・居たよね」


萌も観たと言うが、俺の記憶には残されていない。


「そうか?どこらで観たんだ」


覚えがない俺が訊き返したら。


「ゆー兄ぃ?惚けてるのか健忘症なのかどっちよ?」


萌が口を尖らせて言い返しやがった。


「彼女が落とした紅いリボンを拾ってあげたんじゃない」


・・・そんなことがあったっけ?


「そうニャ~、その時手が触れたからびっくりして逃げてったニャゾ」


・・・記憶にないんだけど?


「その彼女は、お知り合いじゃなかったのですか?」


・・・知りませんっていうか、思い出せないんですが?


俺が固まっていたら、春香さんがボソッと呟いたんだ。


「萌のお兄さんって、気のある人には優しいですもんねぇ」


・・・俺ってそう見られていたのか?


何気ない春香さんの一言で、その場の空気が凍てついたんですが?


「ちょッ、ちょっとぉ?!ゆー兄ぃ、どう言う事よ?」


「アルジのユージ、はっきり言うニャ」


「野良君?!もしや隠れて付き合っていたなのですか?!」


・・・どうしてそんな考えに行き着くんだよ?


「ちょっと待てよ。俺には記憶さえ残っていないんだぜ?」


本当に記憶も無いんだよ、その見知らぬ制服の子ってのが。

でも、俺が何と言ったって聞いてくれる雰囲気じゃないんだが?


「その子とどこでどう知り合ったと言うんだ?

 それに覚えていない程印象が無いんだから、どんな子だったのかも分からないんだぜ?」


俺は言い出しっぺの雪華さんに言い募ったんだ。


「白いブレザーの制服でしたわ。見覚えが無いなんておかしいです」


「それにニャ。紅いリボンでサイドポニーに結わえ直してお礼を言ってたニョだぞ」


アリシアが付け加えてくれたんだけど、皆目覚えがないのは何故だ?


「それにアタシが観ていた処、あの子はユー兄ぃを目当てにしてた気がするのよね。

 昔馴染みっぽい話し方だったように思えたんだけど?」


ツン状態になってる萌から言われても、俺には覚えが無いんだってば。


「本当にそんな出来事があったのか?

 4人で登校して来たのに、俺だけが覚えてないなんて有得るのかよ?」


事実無根だと言いたいんだけど、3人の眼が痛いのは何故だ?


「それこそ有り得ないわよ!

 ゆー兄ぃが覚えていないと惚けるんなら、よっぽど知られたくない間柄かと勘繰りたくなるわ」


萌の頭に角が生えちゃった・・・


「ほら野良君、きっぱり疑いを晴らさないと」


「そうニャぞアルジ。晩御飯抜きにニャるぞ」


ほっとけ阿保猫。

でも、知らない内に起きていたのなら、事実を確認しなきゃならないよな。


「分かった!俺の疑いを晴らす為にも、その知らない制服の子に会ってみる」


嫌疑を晴らすにはそうするよりないと思ったんだ。


「アルジのユージはどうやって探すつもりニャのか?」


「う・・・そ、それは・・・」


そうだった。

俺は記憶していないんだよな、その制服の女の子ってのを。


「そうだ萌、雪華さん。

 その子の特徴を教えてくれよ」


慌てて教えを乞う俺に、半ば白い眼をした萌が。


「白い制服で茶髪を紅いリボンでサイドテールに結った


ブスッと容姿を教えてくれた。


「それじゃぁ大まか過ぎる。

 もっと特徴とか、どれ位の背丈なのかとか・・・」


はっきり目当てを着けれるくらいは知りたいから訊き返すと。

今度は雪華さんが教えてくれる。


「そうですね。

 細面で鳶色の瞳をしていて左目の下に黒子ほくろが・・・」


「ふむふむ・・・」


細かな部分の描写も欲しい処だけど。


「ちょうど・・・あの方のようですわ」


車座に座り込んでいた俺の真後ろを指差して言ったんだ。


「白い制服を着た・・・野良君を観ている・・・あの子です」



何処から現れたというのか。

屋上にどうやって来たというのか。


その少女は俺の後ろに立っていたんだ。


儚げに俯いた少女が独り。



「朝の・・・子ね?」


「アルジのユージに関わりのある子ニャか?」


「野良君に用があるのですね?」


気が付いた3人が口々に質したんだが。

もっとも気になる一言を口にしたのは、萌の親友である春香さんだった。


「その制服・・・もしかしたら4年前の東雲高校の制服じゃない?」


途端に俺は春香さんを観たよ。

過去の制服を着た子が現れたと告げられちまったから。


しかも4年前だって聞いたから。


その時俺は、何故だか悪寒が奔った。

まるで観てはならない人を観てしまったかのように・・・



「ゆー君・・・・」


俯いた子が、俺の徒名を呼んだんだ。

微かな笑みを浮かべて・・・・


新たなキャラが?!

次話にはキャラのお姿が挿絵で・・・


今回の事件は保安官を見つける手助けになるのでしょうか?


アリシア「本当かニャ?」


・・・無理っぽいですね?


次回 あやかしの少女 その2

新たなキャラ登場?!お昼時に現れるのか・・・幽霊子が?

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