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機動女神エターナル・レッド ケモ耳ニャン子は俺の女神様?  作者: さば・ノーブ
第2章 ブルーブラッド
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闘う少女 その3

あっ?!

まさか・・・ユージまで?


どうなっているんだよこの世界は?

オードアクダーは致命的な失敗を犯したのです。


余計な一言を喚いてしまったのですから。


セッカと剣を交えていたアリシアにも聞こえてしまったのです。


萌とアルジのユージに纏わる秘密を、聞いてしまったのでした。

灼炎王(アリシア)に届いたという事は、変身させた戦闘妖精にだって聞こえていました。


それは機動少女である、もう一人のアリシアにも知らせたに等しかったのです。


ユージの手に填められた時計型の機械から送られた音声を、機動ポットに籠るアリシアは聴いていたのです。


「「やはり・・・間違いじゃなかったんだわ」」


同じアリシアの名を冠する機動少女がポッドの中で頷きました。


「「ミシェル様は全てを予見されていたのね」」


ブルドック星に居る直属の保安官ミシェルが?

一体何を予見していたというのでしょう?


「「私を此処まで送り込んで・・・事件を未然に防ごうとされている。

  次元回廊を通過させ、幼き姿に変えて。

  まだ駆け出しだった<アタシ>を開花させる為と、<翠の瞳>を封じる為に」」


幼き姿に替えた?!

それじゃぁニャン子な状態のアリシアは、機動少女に成る前の姿だとでも?


「「全ては・・・ミシェル様の企てに因るのよね。

  ドアクダーの一味から得た情報を逆手に取った・・・保安官様の狙い通り」」


なんですと?!

機動少女なアリシアは、全て目論見通りだというのですね?


この星に来たのも、ユージに接触したのも?

それにドアクダーが既に地球へ侵入していたのも?


全てが謀だと・・・言うのですね?


「「さすがは女神ゴッデスミシェル様。

  未来を変えるには元から正さねばならないと仰られるのですね」」


未来を変える?

その意味は?


「「もしもモエルの秘密が奪われようものなら。

  機動ポットに仕掛けられた戦闘妖精烈華の全力を以って破壊しなければならない。

  この星・・・地球を破壊し尽くしてでも阻止せねばならない」」


なんですと?!

地球を滅ぼしてでも?


「「<翠の瞳>だけはドアクダーに渡してはならない。

  宇宙を破滅へと貶める<翠の瞳>は、悪に渡してはならないのよ」」


宝物を渡さない為に星を一つ壊してしまう事になってでも?


「「それが私達銀河連邦時空監察局保安官事務所の務めだから・・・」」


機動少女が吐いた声には、そうならないように願いを込めているみたいです。



紅髪の機動少女アリシア。

本当の彼女は、保安官から何を託されたというのでしょう?


ニャン子なアリシアは機動少女アリシアの過去の姿だった・・・


機動ポットに宿る乙女(アリシアは、どんな使命を与えられているのでしょう?




唯、願わくば。


彼女が人類に破滅を齎さんことを・・・・







「ニャ?!アルジのユージが持っているのは何ニャ?」


セッカとの斬り合いの最中、アリシアが観たのは黄金の剣。

ユージが手にしているのは、どうみても魔法剣。

しかも、灼炎王(アリシア)が持っているバスターソードに、勝るとも劣らない魔力を秘めているみたいです。


「あれは・・・歴史の授業で観たことのある・・・王者の剣ニャニョか?」


ニャン子なアリシアにとって、ユージの持つ剣は過去の遺物。

遺物であるが故に、異能は計り知れないと思うのでした。


「そんニャ剣を、どうしてアルジが持っているニョか?」


蒼き光を纏うユージを観て、アリシアは混乱してしまうのでした。

ドアクダーに立ち向かうユージに、なにかしらの異能を感じてしまうのです。


「まさか?魔法力なんてアルジのユージには無かった筈ニャぞ?!」


機動ポットを持てなかったユージを思い出し、更に混乱してしまうのでした。


そう・・・アリシアはユージには魔法力が無いモノと思い込んでいたのです。



野良有次のらゆぅじは、魔法力を授かっていなかった。

地球人であるユージには機動ポットを持ち上げられなかった。


それは確かです。

ユージは機動ポットが持てなかった・・・アリシアの円環を持てなかった。


ですが、萌の過去に出て来たユージは怪物と闘ったと聞いています。


どうやって?

如何にして萌を救えたのか?


その答えが今、目の前で現わされたのです。


蒼き光を纏う者。

蒼き光を放つ剣を持つ者。


その姿を観た氷結のセッカが。


「間違いない。

 アイツは・・・野良有次は蒼き貴族ブルーブラッド

 王者の剣を手に出来る者・・・勇者剣士ブレイヴナイト


教室で吐いたスラングの意味を示すのです。


「アルジが?あのユージが勇者剣士ニャと?!」


剣を交えるのも忘れ、二人の魔法士がユージに注目したのです。


王者の剣を手にしたユージ。

髪はいつの間に金髪となり、瞳の色さえもが蒼く染まっています。


全くの別人・・・まるで機動少女に成ったアリシアや雪華のようでした。


ここがオードアクダーの結界の中だから?

出現したユージニアスの異能の所為?


それとも、この姿が在るべき姿とでも言うのでしょうか?


「アルジ・・・どうしてニャ?」


灼炎王(アリシア)は姿を変えてしまったユージに問いかけるのでした。


「下僕なアタシに黙っていたんニャ?」


輝を放つ強大なる剣を手にしたユージ。

魔法士として駆け出しの自分よりも遥かに力強く感じて。


「これじゃぁ、アタシの出る幕ニャんて無かったニョでわニャ~か?」


・・・そっちですかい?





半魚人オードアクダーは目の前に居る少年が、最早自分では太刀打ち出来ない者になったのを悟ったのです。


もしも王者の剣を一振りされたら、たちどころに蒸発させられてしまう。

やっと手に出来ようとしていた<お宝の地図>を前に、為す術もなく滅ばされてしまう。


オードアクダーは逃げることも出来ず、少年だった相手に畏怖していました。


「こんなことがあろうか?

 地図の在処を示す者と、勇者剣士(ブレイブナイト)が同じ所に存在していたなんて?!」


結界を解く事も出来ず、悪足掻きを考える余裕もなく。

唯吠えるだけしか出来ないオードアクダー。


「セ、セッカよ、小奴から私を護れ!

 王者の剣を奪うのだ、早くしないか!」


下僕としている氷結のセッカを呼びつけ、敵わないまでも手を出せと命じるのです。


呼びつけられたセッカはアリシアと剣戟中でした。


「セッカにゃん、アイツが何だか吠えてるニャが?どうするニャか?」


「私に与えられていたのは灼炎王(アリシア)を倒せとの誓約。

 ニャン子な少女を倒せとの契約は結ばれたが。

 ・・・ブルーブラッドにまでも手を出せとは明言されていなかったぞ」


そうでしょうね。

ユージが勇者剣士だなんてアリシアも知らなかったのですから、当然オードアクダーが知る筈もありませんよね。


無理やり下僕にさせられたセッカが拒否するのは当然でしょう。

誓約に無いことまで請け負う必要はないのですから。



「なんだと?!

 私が持っている珠がどうなっても良いのか?」


隠し持っている珠をセッカに告げて、命令を承諾させようとするのですが。


「お前が今持っているとは限らないだろう?

 どこかに隠してあるのかどうかも分からないのに承諾しかねる」


セッカはオードアクダーに言い返したのです。

それはオードアクダーの切迫した状況を更に悪化させる事態となるのです。

もしも今現在、セッカの珠を持っているのなら・・・


「ここだ!ここに仕舞ってあるんだ。

 だから私を護らねば、珠も斬られて消し飛ぶ事になるんだぞ!」


セッカにとって耐えがたい事だと踏んでいるようです。

オードアクダーをユージが斬れば、珠も斬られてしまうのだと・・・


ですが、セッカは密かに取り返そうと思い立ったのです。


珠さえ取り返せれば、下僕に甘んじる必要は無くなるのですから。


「氷結のセッカよ!

 私が簡単に手渡すと思うのか?!取り戻せると思ったか?

 珠は私の中に有るのだ、倒されでもしない限り取り返せないぞ」


セッカの目論見はあっさりと見破られたようです。


「取り戻すのは諦めるんだな。

 私が存在する限り、お前は半永久に下僕なのだ!」


勝ち誇るオードアクダーは、勇者剣士の前で嘲笑うのでした。


「貴様・・・気に喰わんな」


不意に。


ユージアニスの声が漏れたのです。


「モエルを脅かしただけでなく、か弱き者を手玉に取るとは。

 観下げ果てたモノだな・・・貴様は」


蒼き瞳は半魚人を睨んでいました。


「ひっ?!ひいいぃッ!」


恐怖を超えて、観念でもしたのでしょうか。

半魚人は逃げることもせずに怯えるだけです。


「おい、セッカ!早く何とかしないか」


呼びつけるオードアクダーに、セッカが仕方なく手を出そうとした時。


「君はそのまま・・・手を出すんじゃない」


顔も向けず、ユージニアスが警告したのです。


「この剣が審判を下す・・・観ておれ」


剣をゆるゆると振りかざす勇者剣士ユージニアス。


蒼き瞳は既にオードアクダーを捉まえていました。


「ひぃッ?!ヤメロぉ~ッ!」


攻撃の為に棘を一斉に繰り出すのが関の山でした。

棘でユージニアスを殺せるとでも思ったのでしょうか。


審判ジャッジメント!」



 ビシャっ!!


王者の剣が振り下ろされ、棘諸共半魚人を真っ二つに切り裂いたのです。



「あがっ?!」



絶叫よりも恐怖が勝った叫びを残して。



「ぐず・・・ずぶぶ・・・・」


縦に割れたオードアクダーが崩れ散っていきました。


何もかもが一瞬。


王者の剣を揮ったユージニアスは、滅ぼした敵を見詰めていました。



「これで邪なる者は潰えたよ・・・モエル」


振り返らない勇者剣士。


「もう大丈夫だから・・・戻る事にするよ」


そう言ったユージニアスの髪が、黒髪に変わっていくのでした。

つまり・・・勇者剣士は。


「あれ?俺って・・・何をしたんだ?」


気を失ったと思っていたんだ。

棘の毒にでもやられてしまったのかと思ってたんだけど?


「そうだ・・・萌ッ!萌は大丈夫なのか?」


後ろに居る筈の萌を振り返ったんだ・・・


「あ?あれ?!」


振り返った所に居るのは・・・誰?

あっさり、ばっさり?!


勇者剣士にかかっては・・・勝ち目なし子。


ユージも萌も。

本当は地球外生命体なんじゃぁ?


これではアリシアの活躍する場所が無い?


アリシア「・・・アタシの存在価値が無くなったニャぁッ!」


・・・だ、そうですW


次回 闘う少女 その4

闘うのは機動少女や魔法士だけの特権ではない?!

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