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機動女神エターナル・レッド ケモ耳ニャン子は俺の女神様?  作者: さば・ノーブ
第2章 ブルーブラッド
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灼炎王アリシア その3

乗山市の東雲高校。


そこにはドアクダーが居やがりました。

まさかの校長まで?

敵の正体がわかった今、やるべき事は?


「でもな、アリシア。

 今日の処は大人しくして居ろよ?」


盛り上がっている処だが、断っておくぜ。


「何故ニャ・・・なぜニャン子掴みするニャぁ~~」


猫掴みする俺に、アリシアが文句を言って来る。


「暴れるなって。

 今はその時じゃないって云うだけだ」


「ニャぜ?」


分からないのかよ?


「機動ポッドを装備してないだろ?」


「ニャるほろ・・・」


氷結のセッカとの初回の対戦で分かった・・・いいや、思い知らされたんだ。


灼炎王のアリシアになったとしても、勝てる見込みは有るけど。


「巻き込まれるのは御免だからな」


如何イカにも下足ゲソにもニャぁ~」


圧倒的戦闘力を誇れる機動ポッドを装備していない今は、戦闘を控えるべきなんだ。


「家に帰ってから萌にも話しとかないといけないだろ?」


「その通りニャ~」


と、言う訳さ。


考え無しに突き進むのは問題ありだぜ。


「だったら明日ニャね?」


「早くてもな」


今日は相手も手出し出来ないだろう。

氷結のセッカを撃退したのだから。


俺は相手が普通の考えを持っている奴だと踏んでいた。

それに、こっちが敵の正体を見破っているなんて思っていないだろうと多寡を括っていたんだ。



だが・・・



昼休みを終えるチャイムが鳴った。

午後の授業が始ろうとしていたんだ。



クラスにはフローズン・雪華も居た。



だから攻撃を仕掛けて来るとは思っちゃいなかった。


予備チャイムが鳴り終えた時の事だ。



「萌のお兄さん!大変です」


さっき別れたばかりの春香さんが飛び込んで来たんだ俺達の教室に。


「萌が!校長室に呼び出されちゃった!」



急転直下。

俺は軽い眩暈を覚えたよ。


「ニャンと?!」


俺の代わりにニャン子が吠えた。


「しまったニャ!先を越されたニョか?!」


呆然と立つ俺にアリシアが手を差し出す。


「アルジ!アルジのユージ!

 一大事ニャぞ!助けに行くニョだ!」


掴まれた手が痛い。

必死に俺を正気へと戻そうとしているみたいだ。


校長がドアクダーとは、萌は知りもしないだろう。

疑いもなく校長室へ行った筈だ。


「こんなことなら・・・帰らせておけば良かった」


なまじ俺の判断が甘かったばかりに。


「春香さん!呼び出されたのは今なのか?」


「そうです!萌が大丈夫だからって言ったんだけど。

 急に悪寒が奔って・・・教えに飛んで来たんです」


萌は良い友達を持っているな。


「ありがとう春香さん!俺が向かうから大丈夫だ」


親友の気遣いに感謝して、俺はそう答えたんだ。


「アタシも居るニャから。任せて欲しいニャ」


傍でニャン子が付け加えたら、春香さんが眉を顰めたよ。


「なんニャ!その眼は!」


吠える相手が違うだろ?



 むんず



アホニャンを猫掴みにした俺が春香さんに手を振ってから飛び出したんだ。

視界の端に雪華さんの姿が教室にあるのを確認して。




教室を出て、一直線に校長室まで駆けた。


「アリシア!ドアクダー検出器を使え!」


まかり間違っていたらことだからな。


「はいぃニャ!」


何処から出したのか、ニャン子の手には検出器が載っている。


「どうニャ?」


ポチっとスイッチを入れたら・・・





 ビビビィー!




騒音を伴って鳴り響いたよ。


「確定ニャ!」


「だな!」


これでもう、闘わざるを得なくなった。

闘わないと萌を救い出せないのは重々承知だ。


後は萌の身が無事であるのを願うだけ。


「待ってろよ萌!」


校長室まで後数十メートル!







~~~~~~~~~~~






「お話しって?アタシに御用って?」


緊張した萌が城戸校長に訊ねました。


窓を背にした大柄な城戸校長が、ゆっくりと立ち上がり。


「まぁ、楽にし給え。

 話というのはだな、盛野君・・・」


義妹になる前の旧姓を告げられた萌の眼が城戸校長を睨みました。


「盛野ではありません。今は野良ですから」


言い返すのが萌にとっての反抗心だったのでした。

ですが、城戸校長は薄ら笑いを浮かべると。


「いいや、盛野でいいのだよ。

 盛野・・・もえ。いいや、もりもえル君」


城戸校長は萌の名を呼び変えます。


モエル?

萌ではなく?


脂ぎった厭らしい笑顔を向けて、少女の顔を眺めるのです。

どんな反応を見せるのかと・・・嗤うのです。


モエルと呼ばれた萌の躰が、ビクンと跳ね上がりました。

まるで見透かされた逃亡者のように。


偽名を見破られた者が焦りを隠そうとするかのように・・・



カクンと顔を下げた萌が呟く様に溢したのです。


「なぜ?・・・誰も知らない筈なのに?」


再び城戸校長を見た萌の顔が強張ります。


「いいえ、熊太お父さんしか知らない筈なのに?!」


強張った顔のまま、萌が半歩後退りました。

否定もしないで・・・


「残念だったねモエル君。

 君の素性は調べさせて貰ったよ<ナンバー>の命でね」


緑の瞳を半ば閉じた萌が、城戸校長を睨めつけます。


「あなたも・・・あいつ等の仲間だったのね?」


萌の言うアイツ等とは?


「そうですよモエル君。

 あなたの中に仕組まれた地図を手にしなくてはなりませんからねぇ」


翠の眼を窺う城戸校長がバラしました。

自分は怪人の仲間だと告げたのです。


「見つけ出すのに苦労しましたよモエル君。

 日本人に交じり溶け込んでいたとはね・・・さすがは<秘宝を示す者>ではありますね」


ぎらつく城戸校長の眼。

獲物を見つけた野獣のようでもありました。


対峙する城戸校長と萌。

あの怖がりな萌とは別人のようですが?


「原住民を装って逃げているのは知っていましたよ我々も。

 でもまさか原住民との間に出来た娘へ忍ばせていたとはね・・・考えたモノですな」


「あなたになんて、分る筈がないわ!

 この身体の秘密が判るには・・・時が満ちていないのよ!」


まるで別人と化した感の萌。

言葉までもが大人びて感じてしまうのですが?


「<翠の瞳>・・・秘宝の在処を示す地図は何処ですかな?」


城戸校長の躰が崩れ始めました。

本来の姿を取り戻して行くのか?

変身する事に因り萌を恐怖に貶めようとしているのか?


「今は脅したって無駄よ!

 あなたがモエルを呼んだのだから」


後退って逃げ道を探すモエル。


「さてと、どうでしょうかね?

 あなたを捕らえるのが私の務めでしてね。

 その後どうなされるかは<ナンバー>次第ですので」


嘲笑い貶めようとする城戸だった化け物。

その姿は既に人為らざる者と化していました。


ぎょろつく目。

半魚人のような鱗を持つ体には、何本もの棘が逆立っています。


魚で言うところのオニカサゴでしょうか?

棘で身を護り、餌を捕食する強大な顎を持っていました。


「暫くは大人しくして居て貰いますからね。

 それに逃げられなくする為にも・・・毒針を使わせて貰いましょうかね」


逆立つ棘を萌に向けた怪人。

このままでは逃げるどころか死をも与えられかねません。


か弱き少女萌。

いいえ、今はモエルと名乗る別人格の乙女です。


秘宝の在処を示す地図を、怪人はモエルが持っていると告げていました。

それは一体どのような物なのでしょう?

どこに隠されてあり、どのような宝だというのでしょう?



「ユージ・・・助けて」


か細い声でモエルが助けを求めました。

祈る様な声で、嘗て自分を窮地から救った者を呼んだのです。


「ユージ・・・助けて・・・お願い」


迫る怪人の棘。

絶望の淵に居るモエルが呼んだ時です。



「諦めるんだな・・・」


怪人が最期だと言わんばかりに嘲った・・・時。


「諦めたら駄目ニャァ~~~ッ!」


躍り出たのは紅い髪の少女。


校長室のドアを蹴破って踊り込んで来たのはニャン子!


そして?!


「待たせてごめんな萌!今助けてやるぜ!」


赤毛のニャン子の主人、野良ノラ 有次ユージ



左手に填めた機動の装置を掲げて叫んだのでした。


「ノラ・ユージが命じる!

 怪物を倒して萌を救い出せ、灼炎王アリシア!」


命じるのは主のユージ。

受ける下僕は・・・


「ラニャぁッ!」


灼熱の魔法衣を身に纏う・・・ほむらの少女・・・


いよいよ決戦でしょうか?


相手は萌を人質にしようとするのでは?

間に合うのかユージ?

なんとか闘えるのかニャン子よ?


さて、次回からは?!


次回 闘う少女 その1

なんだか・・・モエルようですね?

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