本当のアリシア その1
ニャン子なアリシアに対して機動少女は?
ボンキュッボンW
俺は気になる事が2つあった。
萌に対して初めてではない素振りを見せた事の意味と。
もう一つは、なぜ今になって姿を見せたのか・・・俺達の前に。
テレパシーで話し合った時に聞いたんだ。
機動少女と話が出来るのは、召喚者の俺だけだと言っていたのを。
それが何故?
萌にも話し合えているんだ?
俺は機動少女であるアリシアが、地球へ来た本当の訳を知りたくなった。
「さっき萌とは初めて逢ったのでは無さそうな素振りについて訊きたい。
機動少女のアリシアと萌との関係を知っておく必要があると思ったんだ」
いきなりだが、核心部に攻め込んでみた。
遠回しな聞き方では、うやむやにされてしまう虞があったからだ。
「それに、王の依頼とか言ったよな?
それじゃあニャン子アリシアの言っていたのは全て嘘だったのか?」
初めから仕組まれていたのかと思ったからだぜ、この機動少女によって何もかもが。
赤髪の少女は、俺からの問いかけに沈黙する。
何処から話すべきかを考えているのだろうか?
「言い難いなら、事の起こりから掻い摘んで話してくれたらいい」
促す俺に、アリシアは萌を見たんだ。
主人の俺ではなく、義理妹を観やがったんだ。
これで大体の察しが着いた。
アリシアは萌に何かを伝えたがっているんだ。
どうして俺の元へ墜ちて来たのか・・・どうして萌を一目見ただけで察したのか。
そして・・・だ。
これから萌に何を望んでいるのかも・・・分かって来た。
「事の起こりは、この星から70億光年先のニャン子星で起きたの。
一人の王女様がお乗りになった恒星間旅客船が突然行方不明になったの。
王は臣下の者達に手分けして探させたわ、何年も懸けて。
そしてやっと手がかりを得たのよ、遠く銀河の果てで生きておられると」
アリシアは萌を見てそう言ったんだ。
つまり俺が想像するに、萌がその王女様なのだろうか?
あまりにも現実離れしている空想劇に、信じることは出来かねたが。
「その王女が萌だというのか?」
はっきりするべく追及したんだ・・・けど。
「あのね主。
どうしてそんな考えに辿り着くのかしら?
萌たんの年齢を考えてもみなさい。
王女様が行方不明になられてからこの星で生きておられるとしても、
少女のままでは居られはしないわよ?
ワープで渡って来たにしても、もう20年くらいは過ぎているわよ」
なんだって?!俺の想い過ごしだったのか?!
「萌たんを観てごらんなさいな。
どう見たって20過ぎの女性になんて見えないから」
「確かに・・・萌は少女から抜け出てはいないな」
二人で萌を見たら、顔を引き攣らせていやがった。
「ふんっだ!どうせアタシはレディーじゃないわよ!」
大人の女性ではないと自覚しているだけ立派だよ凶悪娘。
「それじゃぁ、他に王女が居るのか?」
萌ではないとしたら・・・誰なんだ?
「あなたの義理妹ではない・・・今は少なくてもそう言い切れる。
主が目覚めれば自然と分かるようになる筈よ。
どうしてあなた達を機械が選んだのかって意味も・・・」
また・・・話をややこしくしやがるなぁ。
「どう言う事だよアリシア?
俺が何に目覚めるって言うんだよ?」
「それは・・・これから分かるようになる筈。
だってアタシにだって分からないんですから。
本当に間違いないのかなんて・・・不確実過ぎるから」
さっきは意味有り気に萌を見ていた癖に?
俺と萌がアリシアをジト目で観ると、居住まいを正した機動少女が。
「ニャン子なアリシアは本当に保安官を探しているの。
これは銀河連邦時空監察局に務めているアリシアに命じられた事実。
そしてアタシがニャン子に授けられて同化したのも本当の事」
え?!授けられた?
ということは、機動少女のアリシアが仮の姿ってことなのか?
「この機動少女はね、ニャン子星で優秀な魔法士になりたがってたアリシアに授けられたの。
まだ見習い中のニャン子に、望外な異能を授けられたのよ女神ミシェルが。
どう言った意味なのかは分からないけど、その時にアタシが目覚めたの。
準女神級の機動少女として、ニャン子アリシアと同化したのよ」
・・・よくわかりません。
簡単に言ってください。
「ニャン子アリシアはケモ耳族の少女であり、必要ならば機動女神にも成れる。
戦闘に特化した異能を持つ、機動の女神に変身出来るだけの魔法力を備えていたのよ。
魔法士試験をパス出来たことで、それが裏付けられたから。
保安官でもある女神ミシェルによって、補助の補助であるアリシアに与えられたの」
つまり・・・ニャン子アリシアはかなり特殊なケースとして機動少女になったのか?
「そう。
だから、未だに機動少女に成れているのを知らずにいるの。
身の丈にそぐわない強大なる魔法力を行使するなんて、考えても居ないのでしょう」
だからか。
機動少女のアリシアが知らせて欲しいと頼んでいるのは。
「これで大体の事が分かったかしら。
ニャン子なアリシアも本物。
機動少女のアタシも現実に存在している。
今、こうして二人の前に出られるようになったのは、ニャン子が覚醒を始めているからよ」
そうなのか?
覚醒したらニャン子はどうなってしまうと言うんだ?
「覚醒したからと言って、極端に変われるとは限らないわ。
惚けた少女のままかもしれないし、アタシ同様に成長するかもしれないわ」
ふっと顔を挙げるアリシア。
胸を張る姿に、俺は何か別の事を想像してしまったよ。
ニャン子アリシアが、目の前に居る女みたいになったら?
「たゆんたゆんに輪がかかるのか?」
ぼそっと呟いたつもりだった・・・が。
ボグッ!
萌の肘鉄が脇腹を襲った・・・痛い。
「大きければ良いってもんじゃないわ!」
そりゃぁ・・・そうかもしれんが。
萌は自己主張を俺に与えやがった。凶暴な娘も良いだろってか?
「大きさより美しさよ!」
・・・萌。病んでるだろ?
ま。胸の話は置いておき。
「ニャン子なアリシアと機動少女なアリシア。
どちらが本物なんだ?どっちが俺達に手伝いを求めるんだ?」
これからどう付き合っていけばいいんだと、俺が確かめようとしたら。
「それはね・・・どっちもお願いしたいのよ」
欲張りな奴め!どっちもと、きたもんだ。
「保安官を探す手伝いも、王女を求める手伝いも。
同じ星の上で行うんだから、アルジのユージと萌たんに手伝って貰いたい。
だから二人の前に出て来たの・・・この円環に因って」
金色の円環をそっと撫でる機動少女のアリシア。
「アルジのユージが居る近くでなら、こうして姿を見せられるのよ」
そうだ。
どうして俺が選ばれた?
どうして俺だけがアリシアを呼び出せるんだよ?
「俺の上に墜ちて来たのは偶然じゃなかったと言ったな。
どうして俺が選ばれたって言うんだよ?
俺に秘密があるんじゃないのか?」
機動少女に成れるのは、俺が契約してしまったからだとも言った。
でも、そもそもだ。
俺が選ばれた理由が知りたいし、俺には何があると言うんだ?
「アルジのユージが選ばれた理由・・・ね。
機動ポッドに入力したのはミシェル様だから・・・知らないわ」
がくっ!
マジかよそれ?
訳も判らず俺の上から墜ちて来たのか?
それならニャン子と同じだろうに?
「一つだけ言えるのは、アルジのユージがミシェル様の求めに対応していただけ。
女神ミシェルが望まれた結末に、必要だと判断されたのよ。
誰でも良いって訳ではなかったと確信してるわ」
・・・うう、なんて理不尽な。
俺が天を仰いで嘆いている横で、萌が何やら考えていたんだが。
「そっかぁ~、ゆー兄ぃは騎士だったんだぁ~」
なんだよ、騎士って?
萌が小説か漫画でも頭に描いたか、なにやら嬉しそうに言ったんだ。
「アリシアと共に姫を救う騎士・・・いいじゃない?」
「あのなぁ萌。この時代に騎士なんかが居るかよ?」
萌の軽薄な一言に突っ込む俺。
でも、アリシアだけが違ったんだ。
悲し気にも映る顔で、萌を見ていたんだ。
「騎士でも、ゆー兄ぃは上級者だよね。
アリシアみたいな機動少女を下僕にしてるんだから」
おい萌・・・認めた訳じゃないんだからな俺は。
「もしもアタシが姫だったのなら。
二人に護られるのなら安心よね、騎士と魔法使いに護られてるなんて」
そう・・・萌は小説のヒロインにでも成ったかのように言いやがったんだ。
「アタシ!辺境の星に流された哀れな姫なのッ・・・なんちゃって!」
「アホか」
義兄弟がボケを交わす間。
ニャン子ではないアリシアが見詰めていた。
何気ない萌の言葉が、機動少女の心に刺さっていたのだった・・・
曰く有気ナアリシア。
隠された真実は何時になれば明かされるのか?
そして機動少女の目的とは?
女神ミシェルの狙いとは?
まだ、真実は明かされそうにもありません。
次回 本当のアリシア その2
萌の記憶に居たユージは?化物へ果敢に挑む勇者なのか?
アルジのユージ「俺・・・覚えてないんだけど?」




