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機動女神エターナル・レッド ケモ耳ニャン子は俺の女神様?  作者: さば・ノーブ
邂逅の章 堕ちて来たのはニャン子?!
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機動少女アリシア その1

戦闘ッ!

咄嗟戦闘の準備を為せ!!


機動少女アリシアが牙を剥きます?

紅き髪が靡いたんだ。


結わえてあった黄色いリボンが解け、髪が舞い踊った。


俺の眼にはそれだけが印象として残されたんだ。


後のトランスフォーメーションは観ることが出来なかった。


何故かって?


「みっ、見ちゃ駄目ぇええええ~ッ!」


突然萌が目隠ししやがったからさ・・・無念。



何が起きたんだろう?(惚け)

確か・・・




深緑の瞳に異能が籠められる。

魔法士アリシアの魔法力が発動し、機動のシステムが稼働する。


「レッカ!妖精烈華ようせいれっか!目覚めよ!」


金の円環に装備されていた戦闘妖精が、アリシアに呼応して目覚めた。


「ふんふんふ~~ん!」


小唄を詠む銀髪の妖精が、背の羽根を羽ばたかせてアリシアに金色の礫を撒き散らす。



挿絵(By みてみん)



礫は少女アリシアの紅い服を消し去ってしまいます。

産み出された本来の姿に成ったアリシアに、金の円環から武闘着が貼り付いて行きました。


紫の内服、黒の外衣。

スーツを纏い終えた身体に、装甲が付けられていき・・


2重ショルダーガード、3重のホールダー・・・


重要な部分に張り巡らされる装甲は、人間の想像を超えた強度を誇る。

布切れに観えても魔法を込めた装甲板の厚みは20センチを超えているかも知れない。

巡洋艦クラスの主砲弾以上でなければ貫通出来ないだろう。


そう。

彼女に装備された機動システムは、ニャン子アリシアが言っていた通り。

一介の保安官補助手が纏うにしては強力過ぎた。

彼女が身に纏ったのは女神級ゴッデスクラスと呼ばれる最強の魔闘衣。


晒されている肌の部分にさえも、魔法のガードシステムが装備されている。

つまり・・・ドアクダーの下っ端からの攻撃などにはびくともしない。


もし、彼女に脅威を与えられるとしたら。

彼女と同位クラスの魔闘衣を着た相手ぐらいでしょうか?


防御力はほぼ怖いものなし。

だとしたら、攻撃力は?


最初に変身の手助けを行っていた銀髪の戦闘妖精が、アリシアの求めに応じて手の平に収まる。


金色の光を放った妖精が、自らの本性へと変身して行った。

それは・・・



アリシアの手に柄が現れる。

剣の柄だと思われるソレに、紫色の鍔が魔法陣を描きながら形成された。



 シャンッ!



アリシアが柄を一振りするのを合図に、鍔から両刀身が伸びていった。


紅い両刃もろはが伸び切った・・・刀が出来た・・・と、思ったが。


忽ちにして刀身自体を軸に、分厚い片端の剣が刀身自体の周りに装備されていった。


これは?


挿絵(By みてみん)


説明しよう。


両刃を軸にして着けられたのは、刀部分を持つ魔砲。

先端から魔法力を砲弾に代えて発射出来る、魔砲の刀となったのだ。


これが戦闘妖精のあるべき姿なのだろう。

この妖精が女神級の由来でもあるのだろう。


防御も攻撃力も。


新米のアリシアに装備出来る筈もない女神クラス・・・なのになぜ装備出来た?


深緑の瞳に浮かぶのは、主従を誓いし者の姿。

本来の姿には成っていないが、守護すべき者の姿には違いなかった。


「この星になぜ・・・アナタが居たのですか?

 なぜ、あなたは未だ目覚めてくれないのですか?」


アリシアは心の奥で願っていたのです。

本来あるべき姿に成って、自分の主人に収まって欲しいのだと。


「あなたが本当のお姿に成られるその時まで。

 アタシが御守りいたしますから・・・必ず」


アリシアの瞳に写っているのは・・・天髪あまかみの・・・







金色の光に揺蕩う少女。



紅き髪を靡かせる機動のアリシア。


睥睨するかのようにバケモノを見据える少女は、天に舞い上がっている。

それが、本来の姿であるのは俺だって知ったさ。



「馬鹿な?!補助の助手如きが成れる筈がないだろう?!」


驚愕したのはバケモノ。

怪異は現れた少女に怯えたのだ。


「馬鹿な事がある訳・・・あったというのか?」


自問自制しやがったけど、後の祭り状態だな。


「こうなれば・・・・逃げよう」


ほら・・・こうなるんだよ。

でもよ、もう手遅れだぜ?俺は命じちゃってあるんだ。

アリシアに殲滅してしまえと・・・


「ドアクダーよ。逃がしはしないわ」


なっ?


「ひぃっ?!」


アリシアから死の宣告を受けやがった怪異が、怯えて振り返りやがる。

その顔は春香に似せた別ものになり、同情を惹こうとしやがったんだ。


だけどなぁ・・・姑息だぜ?


「アタシには何の痛痒も感じはしないから」


だ・・・そうだ。覚悟完了?


さて・・・機動少女が如何なる手で奴を倒すのか?

じっくり拝見させて貰うとしよう。


・・・


・・・・・



・・・・・・・・・・



「って。睨みあいだけじゃ決着はつきませんからッ!」


いくら待っても何も行動を起こそうとしないんですが、アリシアさんは!


「御命じ下さらないと・・・何も出来ません」


・・・はぁッ?!


どういうこと?

昨日の晩はあっさり倒したのに?


「先程の契約によって、御命じ頂かないと何もできませんから」


・・・はて?


再契約したんだっけ。

えっと・・・その時言ったのは・・・ユオンの設定は俺がする・・・はぁッ?!


「待て待て待て!戦闘の内容まで俺が決めるのか?」


「そう仰られましたけど?」


マジか?


「ど、どんな戦い方をすりゃ善いのかなんて知らないからな!」


「ですが、戦闘中には契約更改を出来ませんから」


なんですとぉッ?!


どうすんだよ俺?!どうすりゃ闘えるのかなんて考えた事がないよ。



俺とアリシアが問答をしていたら、


「ゆー兄ぃ!アイツが逃げちゃうよ?」


そろ~りそろりと、化け物が逃げて行こうとしていたんだな。

目ざとく見つけた萌に、バレちゃったみたいだが。


「糞っ!こうなりゃ自棄だ!

 逃がさないようにしなきゃならねぇ・・・よしっ!」


俺は後先なんてこの際放棄する事にしたんだ。

知っている限りの単語を思い起こして・・・命じる事にした。


「アリシア!結界の中ならば強大な威力の弾でも発射可能か?」


「勿論です。可能ですわ」


即断。


「強力過ぎたら俺達も巻き添えを喰らうか?」


「防御しなければですが。防御を放棄しますか?」


それは困る。


「最後に!そいつを倒せばここから出られるのか?」


「他に術者が居なければ。結界の主を倒せば消えますので」


決めたぞ!

一撃でアイツを倒してしまえば・・・OKだよな?


「よしっ!アリシアに告ぐ。

 奴を反応弾で攻撃しろ!防御を忘れないでくれよ」


「ぎぇッ?!ゆー兄ぃ・・・マジで?

 それは街を一発で吹き飛ばすからって言ってた奴じゃんか?」


そうだよ萌。

そいつなら間違いなくやっつけられるだろ?


「主の命令ならば・・・了解ラジャー


命令に忠実なアリシアが、即答して来たんだ。


「ねぇねぇゆー兄ぃ?!大丈夫なの?」


萌は心配顔で訊いて来るけど、たぶん・・・大丈夫だと思う。


「あのアリシアだよ?ホントーに大丈夫なのかなぁ?」


・・・それを言っちゃぁお終いだよ萌。


「アイツは俺との契約を守る義務があるんだ。

 だから俺達に害を齎すような真似は・・・」


「しないとは限らないんじゃないの?」


・・・そうかも。


心配する俺達を余所に、アリシアは戦闘態勢を整える。


「マスターからの命令に基づき、反応弾クラスの攻撃を行う。

 戦闘妖精に命じる・・・バスターモードへ移行!

 射撃態勢を執れ!メガキャノン粒子砲スタンバイ!」


アリシアの命令を受けた魔砲の剣が、先端を開いて射撃モードとなった。


上下に分割された刀身に、スパークが奔る。


「これが・・・女神クラスの魔砲か・・・」


アリシアも実弾射撃は初めてのようです・・・え?!


「「真紅エターナルレッドに報告。エネルギー充填120パーセント!」」


射撃モードになっている戦闘妖精からの準備完了報告に。


「目標捕捉!追尾!!」


眼前に現れた照準器にドアクダーを捉えて。


「発射と同時に障壁展開!主様達を御守りしろ!」


続けての命令を下した。




照準器にバケモノの姿が大写しになった。

どう撃ってもこの距離ならば外しようがない・・・必中距離。


「メガキャノン・・・発射ぁッ!」


命令が戦闘妖精へと飛んだ。



 キュイイイイイイイイィン!



魔砲の中心から稲光に似た発光が・・・・



「撃て!」



 ドッ!



猛烈な光の迸りが、結界自体を揺るがせる。





挿絵(By みてみん)





「わッ?!」


それしか声にならなかったよ。


悲鳴にも似た声が喉から出た瞬間。




 ドッゴオオオオオオオオオオーーーーー



物凄い音と言うか響きが、俺を打ったんだ。




 オオオオオオオオオオオオオオオーーーーーー




いやもうね・・・世界の終わりかと。




 オオオオオオーーーーーーーーー




ほら・・・音さえも消えていくよ。



「はっ?!」



瞬時に我に返った。

俺が抱きしめていた萌からの声さえも聞こえなくなっちまったから。


・・・て。


気絶しちゃってるW



俺の前で起きたのは光の濁流だった。

反応弾って言うから、もっと爆弾みたいなものかと思ったんだけど、全く違ったよ。


余りの事に、萌の奴は気絶してしまった。

勿論、ドアクダーの影形なんて残ってる訳もない。


「やり過ぎじゃないか?」


自分で命じておきながら、ちょっと後悔している俺が。


「まぁ、俺達には実害がなかったし」


萌を見ながらほっと溜息を洩らした。


「・・・て?!アリシアは?機動少女はどうなった?」


輝の濁流が消えた空間・・・と思っていたら。


気が付いたら元の公園に佇んでいるじゃぁありませんか!


しかも・・・周りには子供達の声がしているんですけど?



「わぁ~~い!変なおネェちゃんが居るぞぉッ!」


男の子の声で振り向くと。


「あ・・・あの馬鹿!」


ベンチの陰で、ニャン子なアリシアが寝そべっている。


「また・・・寝ちまったのかよ?」


男の子達に囲まれているのは紅い服を纏い、円環を胴巻きにしているニャン子アリシア。


「う・・・ううん、ここって・・・はぁッ?!」


目を覚ました萌に気が付かない俺。


「近い・・・近いって・・・ゆー兄ぃ・・・ポ」


萌は俺に抱かれた状態になっているのが、なんだか夢心地に思えて。


「そうかぁ・・・こんなオチも善いかも」


夢の中だと勝手に思い込んだみたい。


「うふ・・・えへへ・・・善いかも」


ポワンとなった萌を抱きかかえて、俺はアリシアを起こすべきかを考えていた。


「このおねぇちゃんコスプレイヤーーだぜ!」


「本物のケモ耳みたいに動いてるよ!」


少年少女達に囲まれた・・・アリシア。

ケモ耳や尻尾を摘ままれても起きないのなら。


「もう少し・・・ほっておいても大丈夫かな」


俺がそう言うのを萌は聞き耳を立てて思ったのです。


「「助けてやれよ・・・」」


そう思うのですが、この嬉しい展開を自分から放棄は出来ず。


「「ごめんねアリシア、役得しとくわ」」


萌たんはちゃっかりだんまりを決め込むようです・・・ね?






ああ、またもや。

チートな少女が現れたようですね?

圧倒する攻撃力。圧倒的な破壊力。

相手にしたくないタイプですネェ・・・


でも、魔法を使い終えたら・・・損な子に?

これは<さば・>ワールド必定のシステム(?)でしょうね。


次回 機動少女アリシア その2

君は損な状況に慣れたのか?それとも叛旗を翻すのか?無理ニャ・・・Orz

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