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機動女神エターナル・レッド ケモ耳ニャン子は俺の女神様?  作者: さば・ノーブ
邂逅の章 堕ちて来たのはニャン子?!
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俺が特異点だっただと?!その2

俺の過去には。


もう一人の萌が居たんだ。


少し前まで栗毛だった・・・義理妹になる前の面影が眼に映るよ

ベットに寝かせてやったんだニャン子なアリシアを。


腰に巻いた金属の輪っかが邪魔だとは思うけど、俺達には外しようがなかった。

なにせ、異星人の造った代物だから、勝手に弄って何か起きたら嫌じゃんか?


それに萌ならいざ知らず、男の俺が仮にも女の子の躰をまさぐるなんて非常識だろ。


俺が手をひっこめたら、傍で観ていた義理妹もえがニコリと笑いやがった。


「抱っこして来た癖に、今更触れないなんてシャイにも程があるんじゃないの?」


にこりと笑ったんじゃなくて、嫌味を言う為に笑顔になったのかよ?


俺が文句を返してやろうかと思ったら。


「そんなとこがゆー兄ぃの良い処でもあるんだもんね」


しおらしいセリフを溢しやがった。


「まぁ、アリシアになら触ったって怒らないから・・・アタシ」


おや?アリシアになら・・・って言うのか?

じゃぁ、お前に触れたら怒るのか?


怪訝な顔をしていたのだろうか、俺が何かを言う前に。


「あ・・・触れるっていっても。

 意味もなく手を出したら怒るからね!

 触れて良いのはアタシの前でだけ・・・だからね」


きっぱりと俺に対して制限をかけて来やがる。

なぜに萌の了解を取らなきゃならんのだ?

俺は萌の持ち物かよ?


「勝手に他の女の子に触れたら駄目だもん!」


俺は萌の監視下におかれちまうのか、プライバシーはどこに行った?




寝てるアリシアの傍で、萌はいつものように俺に明け透けな態度を見せる。


アリシアが寝ているからなのか、二人きりの時と同じように喋っている。

昼間、学校では見せない姿。

俺を避けている昼間の態度は、俺だけの前では影を潜ませる。


義理妹になる前まで、義理の兄になるまで。

一つ屋根に暮らすようになる前までは、萌と俺は・・・






高校生になった時だ、行方不明になっていた俺の母さん。

もう数年経っても帰って来なかった母さんの代わりに、よりにもよってアメリアさんが義理母として親爺と再婚しやがったんだ。


萌の母アメリアは、アメリカ国籍の金髪で濃緑色の瞳を湛えた女性ひとだ。

父親は日本人で、親爺と親交の深かった盛野もりの 熊太くまたという堅物だった。


俺の母さん野良のら珠子たまこが突然行方不明になるまで、萌には逢った事が無かった。

まるで神隠しに遭ったでも言うのか母さんの足取りは一向に判明せず、悪戯に時だけが過ぎていったんだ。


萌の父と俺の親爺、勇人ゆうとは、考古学を修める学友だった。

何を調べていたのかは教えられてないけど、二人はなにか共通の物を調べていたみたいだ。

そんな折、アメリアさんと萌に初めて逢った。

母さんが居なくなった俺に、なにかと親身になってくれたアメリアさん。

白人と日本人のハーフで、その頃は長い茶髪だった萌が家族のように俺に接してくれたんだ。

僅かの間だったけど、俺を本当の兄のように慕ってくたよ、萌は。


挿絵(By みてみん)


朗らかに笑う翠瞳みどりめの少女萌は、日本人離れした顔立ちで俺に言ったもんだ。


「「ユージお兄ちゃん!」」


可愛い妹が出来た様な気がしたもんだった。


・・・だけど。


萌の父熊太も、俺の母さんと同じく行方不明になった。

それが4年前の事だ。


突然の知らせに、親爺は駆けずり回って探したそうだ。

だが、何の知らせも手がかりも掴めず・・・3年が過ぎ去った。


母さんと同じように・・・


友人の家族ということもあり、親爺は手厚く支援を行ったのは言うまでもない。

また失踪した母さんを探す手伝いをしてくれたアメリアさんを身近に置いたのは良いだろう。



だけど・・・だ。



俺は親爺を責める気にはならないが、母親にアメリアさんが成るのは釈然としない。

一緒に住むのも我慢できる。

だけど、未だ諦めきれない母への感情が、アメリアさんを母とは呼べなくしていたんだ。


だから・・・俺は親爺に頼んだんだ。

親爺はアメリアさんと一緒に暮らせば良い。

だけど俺は家を出る・・・他所に住むのを認めて欲しいってね。


俺の態度を観ていたのだろう、親爺は断らなかった。

親爺の態度に、少なからず怒りを覚えたよ。残念だったよ心底。


珠子母さんに対する謝罪だったのかもしれないけど、親爺があっさり家から出るのを認めやがったのが癪に合わなかったんだ。

連れ子が居なければ、自分は萌達と居やすくなる・・・そう考えたのではないかってね。



複雑な家庭環境で育ってしまった俺は、何もかもが嫌になっちまった。

高校に入っても先の目標が見つけられない。

大学に進学するのか、就職するのか・・・なにも考えちゃいなかった。


唯、平凡な毎日を送るだけ・・・じゃぁ、つまんないとは思っていたけど。


家を出てから半年。

俺と同じ学校に入学した萌。

昔から人一倍賢かった萌が、なぜ俺と同じ学校に入ったのか。

なぜ髪を黒く染めて、髪型も変えてまで同じ高校に入学して来たのか。


そして最近、なぜアパートへ来るようになったのか。

学校での態度とはかけ離れた義理妹もえの中にある心に、触れてはいけないと感じていた。

だから・・・俺は余計に実家いえに帰れなくなっていたんだ。


惚けたふりをしている・・・萌の前では。

敢えて見る必要もないピンナップを押し入れに仕舞い込んでおいたのも、萌が気が付くだろうと思ったからだ。


萌とはタイプの違う女性の画像を集めて、俺の好みが義理妹とは違うのだと思わせる為に・・・だ。





一頻り思い出に酔った俺は、眠るアリシアを観て想う。


ー アリシアは俺の心の内を見破っていやがる・・・大したニャン子だぜ


のほほんとした口調で話すアリシアは、萌との関係を感じ取っているのだから。


そうだよアリシアの言う通りさ。

俺は萌の義理兄じゃぁなかったら、とっくに言っちまってただろうさ。

傍に居てくれって・・・俺一人じゃぁ何も出来ないんだから。


「どうして・・・こうなっちまったんだろう」


アリシアが現れるまでは、なんとか自制出来ていた。

萌がアパートに来ても、義理兄として振舞う事に徹して来れた。


そこら辺りに萌ぐらい可愛い子は、そう簡単には見つけられない。

誰から観たって萌は可愛く見えるだろう・・・自慢したって罰が当たらない程に。


入学式の後、萌が俺の妹だと知った悪友達が、挙って紹介しろと言って来た。

俺が拒んでいるのを観た萌は、次の日から態度を変えてしまった。


俺に対して無視するようになり、妹として甘えなくなった。

無関心を装い、兄とは仲が良くないふりをし始めたんだ。


なぜ学校ではあんな態度をとるのか・・・分かっている。


入学式で俺に迷惑をかけた・・・そう思い込んでいるのだろう。

だから髪を黒く染め、日本人らしく振舞う・・・全ては俺に対しての想いから。


そう・・・萌って妹は、健気なんだ。

分かってるさ、自分には勿体ない位の可愛い妹だって。


だから・・・人目を気にせず居られる時は、兄というより幼馴染に戻りたがる。

昔に戻り、楽しかった日々へと戻りたがる・・・そんな子なんだ。




「ゆー兄ぃ、もうこんな時間になっちゃった」


萌の声で時計を見て、しまったと感じた。

時計は10時を・・・萌の門限を過ぎようとしている。


「今から家に帰ったら、義理父ゆうとさんに叱られそう」


そう言う萌は、俺に何かを頼んでいるみたいだ。


「ねぇ、電話してくんない?」


やっぱり・・・そうくるか。

萌は極端に強請って来る事がある。

帰るのが嫌な訳じゃない。帰れない訳じゃァない。


「お願いだよゆー兄ぃ。今晩だけだから」


そう言うのも何度か聴いて来た。

だけど、決まって俺は断り続けて来たんだ。

もしかしたら・・・俺は一線を越えてしまうかもしれないと思って来たから。


だけども、今晩は今迄とは違う。

寝ているアリシアが居るんだから・・・大丈夫だと言えた。

ニャン子なアリシアの前で、俺が何かをする訳がないだろうから。


「今晩だけだからな・・・萌」


「うん・・・分かった」


スマホを取り出した俺を観て、萌が安堵の顔を見せた。

初めてのお泊りに、少し喜んでいるようだ。


親爺の携帯にアクセスすると、直ぐに出やがる。

俺からの電話を待ってやがったんだな?


「あのさぁ、今晩萌を泊めるからな」


「「ユージ、分かってるんだろうな?」」


言われなくったって重々承知だ。


「「俺との約束だぞ、萌に一指でも触れたら家に帰る事になるからな」」


俺は家を出る時の条件を思い出した。

もしも妹との関係を損ねる真似をしたのなら、直ちに実家へ引き上げることになる。


親爺は俺が萌をどう想っていたかを知っていた。

だから実家から出ることを承知しやがった。

家の中で間違いを起こさせなくするために、俺を萌から遠ざけた様なものだったのだろう。


「言われなくったって分かってるさ」


はっきりと言い切ってやった。


「「ならば良し」」


了解を得られた俺は、少し驚いたよ。

絶対送って来いって言われると思っていただけに。


「「それからなユージ、これだけは言っておくぞ。

  お前が萌を護らねばならんのだと肝に銘じておけ」」


はいはい。いつもの御達しですね。


親爺は決まって言うんだ。

萌を護るのが俺の務めなんだってね。


姫様と騎士じゃあるまいし・・・時代遅れなんだよ。


「分かってるさ、それくらい。じゃぁ・・・切るぞ」


これ以上話すこともあるまい。

スマホの通話ボタンを切断し、俺の報告は終わった。


「ゆー兄ぃ・・・どう?」


恐る恐る萌が訊いて来た。


「泊まって・・・よし!」


勿体ぶって俺が答えてやったら。


「よっしゃぁ~!」


ガッツポーズで盛り上がりやがったよ。


「じゃぁさ、これから何やる?なにしようか?」


お道化る萌が、本心でそう言ったのではないことぐらい観抜けていた。


「決まってるだろ・・・風呂入る」


「ひゃぁああああ~?!お風呂タイムぅ~?」


冗談なんかじゃない。本気でそう答えたんだよ。


「もしかして・・・覗いちゃう?」


「覗くか!」


いくらなんでも明け透けすぎるだろ?


「なぁ~んだ、覗かないんだ?」


「覗いて欲しいのか萌は?」


ニカッと笑う萌。

俺が絶対しないとでも踏んでるのか?


「覗きたかったら、覗けば?死んでも良いのなら」


そう来るだろうと思った・・・確かに笑える。


「まだ死にたくねぇし・・・」


「でしょ?」


俺と萌は顔を突き合わせて、その日最高の笑みを見せ合えた。


これがニャン子が齎してくれた笑顔なのだと、後で思ったよ。


妹になる前の萌たんは栗毛だったようです。

だってお母さんはアメリアという金髪の女性だったのですから?


萌たんが何を想っていたのかは・・・内緒です。

と、

言うより?!


気がつかんのか主人公よ?

だから萌たんが焦れるんだぜ?


焦らしプレイはほどほどに!


次回 俺が特異点だっただと?!その3

その時・・・俺の周りは変わって行った?またもや妖しげな者が?

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