表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
機動女神エターナル・レッド ケモ耳ニャン子は俺の女神様?  作者: さば・ノーブ
第3章 Heaven On Earth 地上の楽園
134/144

地上の楽園Heaven On Eath その2

女神アリシアが空を舞う!


二柱の女神は、如何に闘うというのか?

貨客船<アイン>号が小さく霞んでいく。

甲板上で見送ってくれているであろうユージの面影も・・・


女神となったアリシアは、足元に紅い魔法陣を描かせて飛んでいました。

その姿は常人には観ることは出来ません。

監視カメラにだって捉えることなど不可能でしょう。


ですが、地球外の文明であれば探知出来るようです。




「来たわね・・・紅ニャン」


ミシェル保安官が気付いたのは、黒の鎧が姿勢を変えたからでした。

黒の鎧に与えられていたのは、飽く迄もアリシアの抹殺。


赤毛の機動少女の撲滅だけが、目的だったからです。


「ほぅ?予想より随分と立派な女神姿ね」


遠方からでも赤毛の女神を捉えたミシェル保安官が、新たな機動女神姿に表情を緩めます。


「どうやらあの子達は、全てを託したみたいね」


女神となれ・・・そう言い渡したのはミシェル保安官だったのでしたが。


「まさか、本当に異能を紅ニャンに次ぎ込んじゃうとは。

 あっぱれとしか言いようがないわね」


ユージ達が異能を託してまでも、アリシアを女神へと変えたのだと看破したようです。


そしてアリシアが右手に携えている剣を観て。


「あれがエクスカリバー?!私の知っている形ではないわ?!」


ニャン子星で観たユージの聖剣とは違うのだと気付いたのです。

長さ2メートルの剣は、自分の記憶にあるエクスカリバーでは無いとまで見切ったのです。


「なるほどね。

 ユージ君達の異能だけではなくて、元天使モエルの宿命まで受け取ったか」


人間だったユージニアが神となり、手にした聖剣てんしよりも。

アリシアの携えた聖剣エクスカリバーの方が、より強力な威力を秘めていると見抜いたのです。


「フ・・・想像以上ですわよ、理の女神様。

 もう、我々の手出しなど無用かと思えますわ」


胸元の蒼き珠に話しかけるミシェル保安官に、蒼き珠も明滅して同意を表します。


「なりたてほやほやの新米女神でも、小奴などに後れを執る事はないでしょう。

 私は約束通りに惑星破滅ミサイルを迎撃することにしますわ」


ワン子な保安官は、蒼き珠の承認を得ようとしたのですが。


珠は何かを告げんとするかのように明滅を繰り返すのです。


「フフフ。いけませんわよ理の女神様。

 折角変換宝珠をお貸頂いたのに申し訳ございませんが、手出しが不要です」


ミシェル保安官の言い方だと、理の女神が介入したがっていたようですね。

手出し不要と言われた珠が、拗ねる様に明滅を辞めました。


「超1級神な理の女神様を担ぎ出すには、相手が役不足でしょう?」


笑うミシェル保安官は、蒼き珠から見守っている上長神に断りを入れたのです。


「この星の未来は、アリシアに任せておけば大丈夫。

 紅ニャンな女神は、必ず務めを果たすでしょうから」


地球の事はアリシアが護り抜くと、言い切ったのです。


「ですから私は。

 私の汚点を拭わねばなりません。

 それが審判ジャステス女神リーン様から命じられた務めなのですよ?」


審判の女神を告げたミシェル保安官に、蒼き珠の女神が恐縮したように瞬かせました。


どうやら理の女神様も、審判の女神様には頭が上がらないようです。


「それでは宜しいですね?

 私は私の務めを果たしに参りますから」


視界の端にアリシアを捉え続けたミシェル保安官が、黒の鎧目掛けて牽制の一撃を打ち込みました。


「お前は暫くそこに居なさい!」


レーザーサーベルから蒼い光線が迸り、黒の鎧を撫で斬ります。




 ガシュッ!



本当なら一撃で破壊出来る威力を持っていたのですが、破壊してしまえば元の木阿弥。

牽制の一撃は、鎧のミサイル発射管を切り裂くのに留めたのです。



 ドンッ!



発射管を破壊された黒の鎧は、空中で姿勢を崩して下方に墜ちて行きます。


「これで良し。暫くは紅ニャンと立ち話が出来るわよね」


意図していたのはアリシアとの申し次。


ー 黒の鎧を破壊するには、空間震爆弾をも同時に破壊しなければならない。

  空間震爆弾の破滅的破壊から防ぐには、鎧を先に破壊してはならない


・・・と。


上昇して来るアリシアへ向けて、女神級機動保安官ミシェルが呟いたのです。


保安官の言霊が女神となったアリシアに届きます。

女神になれたアリシアには、常人には聞き取れない位の言葉でも脳裏に届けられるのです。



「ミシェル様?!本当なのですか。

 空間震爆弾が黒い鎧と同期してるのは?」


近寄って来るアリシアからの質問も、ミシェルに届きます。


「ほほぅ?早速女神の異能を使ったか。

 なまじユージニア様の元で暮らして来なかった証拠ね」


ニャン子星で、アリシアはユージニアに恋い焦がれて傍に居ようとしていました。

モエルの末裔であるアリシアは、当時から異能が開花されていて神の声を聴けたのです。


ユージニアからの願いを受理した審判の女神様が、ミシェルを派遣した折にアリシアと出会い。


「王女だった頃から人一倍、私達かみの声に敏感だったわよねぇ。

 それというのも愛故って奴かしら・・・フフフ」


神であるユージニアの声を聴けて、姿さえも眼に映していたのを思い出すミシェル保安官が。


「聞けるのなら応えなさいアリシア。

 あなたならこの状況をどうやって打開するかを!」


近寄って来る女神アリシアへ向けて、問い質すのでした。


空間震爆弾と黒の鎧。

双方が連動している状況を、如何にして打破するのかと。


「それは・・・両方を一度に破壊するしか・・・」


悩む声が答えます。


「どうやってよ?」


質し直すミシェルへ。


「空間震爆弾諸共・・・空で撃破するしかない様に思いますが?」


「ビンゴ」


あっさりと肯定するミシェル保安官。


「宜しいアリシア。

 あなたに全てを任せることにする」


頷きながら、墜ちて行った黒の鎧が体制を立て直しつつあるのにも目を向けて。


「鎧と空間震爆弾を、上空300キロ付近まで突き飛ばして後に撃破しなさい」


いとも容易く出来るように命じたのです。


「ええッ?!300キロって?

 殆ど宇宙空間ではないですか?!」


女神となって数十分しか経っていないアリシアには、とんでもない偉業に思えた様なのですが。


「多寡が300キロじゃないの。

 3光年先にだなんて、言ってはいないわよ?」


喩えが無茶苦茶です!


「そんなことが出来ないようでは女神失格だと思いなさい。

 ユージニア様だって、嘗ての地球ちたまにおいてやり通されたのよ?」


「ニャ?!ユージニア様も?」


驚いたアリシアでしたが、並行世界で待っているユージニアを想って。


「そうだったのですね?

 それが神になられた理由の一つだったのですね」


人間では不可能でも、神になら出来るのだと思ったのでした。


「どう?やれるでしょうアリシアにならば」


「はいッ!やってみせます」


今度は即答して来たアリシアへ、


「それじゃぁ・・・後は任せるわね紅ニャン」


微笑を浮かべたミシェルが言い渡すのです。


「え?!ミシェル様はどちらへ?」


手伝ってはくれないのですかと問おうとしたのですが。


「こんな事さえも独りで出来ないのなら、ユージニア様に顔向けできないでしょうに!」


嘗てのユージニアが成し遂げたのだからと断られてしまうのでした。


「はい・・・ニャァ~」


幾分自信無さ気なアリシアの声に、


「しっかりしなさい新米女神。

 あなたは大切な人との約束を破るつもりなのではないでしょうね?

 この世界での約束を、果たさないつもりなの?」


激励と叱責を孕んだ一言をぶつけて来たのです。


「約束・・・そうでした!

 私はユージを守るって約束しているのですから!」


「だったら。守りなさいよ、約束も大切な人達も」


ミシェル保安官は微笑んでいました。

敢然と立ち向かおうとするアリシアへ。


「私から手向たむけれるのは、あなたの中の力を信じなさいって一言。

 女神にしてくれた友を信じ、愛する人へ誓うの。

 必ず護る、必ず果たす。

 もう一度逢いたいのならば、守らねばならないのよアリシア」


はなむけの言葉を贈るのでした。


「はい!やってみせますからッ!」


力一杯の声で、全うすると言い切るアリシア。


「うん、良く言ったわアリシア。

 それでこそ紅ニャン。女神レッド・・・くれないのアリシアよ」

 

「レッド?私が女神レッド?!」


アリシアが眼を見開いて訊き直した理由とは。

くれないを意味するレッドの称号が、畏敬を込められていたからです。

紅い血潮、紅い魂、紅く燃え上がる太陽を意味し、赤毛族だったアリシアに伝承されて来たのは。


「私が英雄神レッド?!王家に伝わる永遠の戦女神ヴァルキュリア?!」


星の王家に伝えられていた伝説の女神だと揶揄されたのです。


「そうなりたければ、務めを完遂しなさいな。

 護り抜きなさい、大切な人々を・・・いいわね?」


ミシェル保安官は宙を見上げて諭しました。


「そろそろ・・・時間ギリギリになって来たわ。

 あれを始末するのが私に与えられている務めなの。

 あなたも良く知っている助手が、今回の真犯人だと確定したからね」


女神の瞳には巨大なミサイルと・・・


「アイツは保身の為に見境無しに撃つつもりなのよ。

 この太陽系諸共、私達を消滅させる気みたいね」


ワープアウトして来る巨大戦艦を映しているのです。


「奴の事は審判の女神様がお裁きになられる。

 ミサイル共々、裁きの鉄槌が放たれる。

 アリシアは役目だけを果せば良いのですからね」


最後に、ミシェル保安官は教えてくれました。


「この星の住人には申し訳なかったと思っています。

 このような悪事が罷り通っていた事に。

 ユージニア様にも珠子さんにも辛い想いをさせてしまった。

 何十億もの魂達にも、謝って済む筈が無い過ちを犯したの。

 それは誰あろう私。保安官で女神であるミシェルの罪でもあるの。

 だから、この世界だけは守らねばならない。

 女神であり続けるミシェルに因って・・・ね」


ニャン子星に星間転移してきたユージニア神の願いは、事実を知ったミシェルの想いと重なったのでした。願いを訴えられた審判の女神様も、実情を吟味するまでもなく即座に手を挿し伸ばされたのです。臣下髄一の理の女神を派遣し、事が為されるかに目を配られてもいるのです。

銀河連邦時空管理局に審理の差し戻しを告げた超1級神は、犯罪組織に加担する者の蔭を掴みました。


それはこともあろうにミシェル保安官の助手であるレミュウスだったのです。

彼女は配された星ルーボックが科学局技術廠を有していたのを利用してドアクダー幹部と接触し、不法に機動鎧を転売したのです。


横流しが明るみに出ようとしているのを察知したレミュウスは、巧みに事件を利用しようと企んだのです。

ちょうど歴史改変を許可され、過去の地球へ新米時空局員アリシアが向かうのならば、ドアクダーを唆して黒の鎧共々殲滅してしまおうと。

追及を自分から逸らす為と証拠の隠滅を図り、同時に監視に向かうミシェルをも暗殺してしまう。

そうすれば次期保安官の名誉さえも手に出来ると、一石二鳥な考えに染まったようでした。


事の始まりは、公正であるべき時空局員の不正が発端。


古からモエルの隠して来た反次元装置の獲得は、ドアクダーの勝手な暴走にすぎなかったのです。

並行世界ではドアクダーにより悲劇に巻き込まれたユージと珠子だったのでしたが、この世界ではレミュウスに因って悲劇に巻き込まれてしまっていたのでした。


全てを終わらせる為には、地球を護り抜き・・・レミュウスに審判を下さねばならないのです。



レッドなアリシアに頼むわ。

 どうかこの星から悪夢を消し去ってあげて。

 そしてあなたを待っている人達に幸福を齎してあげて」


上昇していくミシェル保安官は、鎧に向かうアリシアに願います。

最後には笑っていて貰いたいのだと。


愛しい人の傍で・・・微笑んでいて貰いたいと。

アリシアに黒の鎧を任せたミシェル保安官。


彼女と対峙するのは?


そして。

やはりと言いましょうか?!


あのお方が出役されるみたいです・・・大恐ぁ。


次回 地上の楽園Heaven On Eath その3

理の女神といえば?知ってる方は・・・だいヴんと<さば・ワールド>に侵されていますぞ?!



理の女神「文句あるニャか?!」


挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ